人に流されず、信念を貫く! 常に恐れずチャレンジしてきた坂本龍馬の覚悟/心が強い人は みな、「支える言葉」をもっている

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更新日:2022/7/20

 歴史上の人物の人気投票をすれば、必ずベスト3に入るスターが坂本龍馬です。小説、映画やドラマにも繰り返し取り上げられ、多くのファンがいることがうかがえます。

 坂本龍馬といえば、薩長同盟に尽力したこと、大政奉還実現に向けた「船中八策」を立案したことが主な歴史的業績です。明治維新に向けた大きな活躍ではありますが、その業績に比べても、ちょっと人気が高すぎるのではというくらいです。

 それは、生き方に憧れるからなのでしょう。龍馬は常に恐れずチャレンジし、若々しい青年の覇気を持つイメージがあります。しかも、物事をよく見ており、合理的思考も持ち合わせている。とても魅力的な人物なのです。

 龍馬誕生の地、高知市上町にある「龍馬の生まれたまち記念館」を訪れたとき、来館者が書くことができるノートが置いてあるので何気なく開いてみると、龍馬に対する思いが綴られていました。その文章の熱いこと。龍馬について本当によく勉強しているし、生き方に共感・憧れていることが伝わってきました。

覚悟の固さと、「何と言われようといい」というやわらかさ

「世の人は われをなにとも ゆはばいへ わがなすことは われのみぞしる」は、龍馬が遺した言葉の中で最も有名なもののひとつでしょう。「世間の人には好きなように言わせておけばいい。自分のすることは自分にしかわからない」といった意味です。人に流されず、信念を貫く龍馬の覚悟、気概にあふれた句です。

 土佐藩を脱藩した龍馬は、勝海舟の弟子になります。もともと攘夷思想を持っていた龍馬は、開国派に見える勝を快く思っていませんでした。しかし、勝が語る世界情勢と日本の近代化の必要性に感服し、弟子入りするのです。

「天下無二の軍学者勝麟太郎という大先生に門人となり、ことの外かわいがられ」という内容の手紙を、姉の乙女に送っています。ちょっと子どもっぽさもある、かわいい手紙ですね。龍馬は旅先から乙女によく手紙を書いており、これらの書簡集を読むと、龍馬の人となりが伝わってきます。

「日本を今一度せんたくいたし申候」も有名な言葉ですが、これも乙女への手紙の中にあった表現です。長く幕藩体制でやってきたけれど、黒船がやってきて開国を迫られているような状況の中で、政治体制を入れ替えて日本を一新しなければ対応できない、ということでしょう。

 日本を洗濯するという言い方は面白く、龍馬はこんなふうに自分の言葉で語れる人だったのだなぁと感じます。

 勝の弟子となった龍馬は、薩摩と長州という対立する藩を結び付けて、倒幕に向けて動きます。先生である勝は幕府側にいるのですが、弟子が幕府を倒すよう仕向けたのです。対立する藩を結び付けるのも並大抵のことではないし、非常に混乱した世の中です。事情を知らない人、先が見えていない人は好き勝手なことを言うに違いありません。

 でも、龍馬は自分のやっていることの意義をわかっていました。だから、何と言われようといいのです。それは気概でもあるし、やわらかな心とも言えるでしょう。「自分がわかっているのだから、それでいい」という気持ちがあるわけです。

「誰もわかってくれない」を「自分だけは知っている」に

 自分がやっていることを誰も理解してくれないと感じると、つらいものです。心が折れそうなときの原因をたどってみると、そういうことがままあります。しかし、「自分だけは知っている」と思えば、そうつらくもなくなります。

 考えてみれば、自分だって周りの人のやっていることを本当にわかっているわけではありません。誤解していたり、よく知らずになんだかんだと言っていることもあるでしょう。「わがなすことは われのみぞしる」は、みんながそうであるはずなのです。

 とくに、内側にある信念、自分の持つワールドは「われのみぞしる」くらいでちょうどいい。いたずらにダダ漏れさせて、「わかってもらえない」と傷つく必要はないと思うのです。もちろん、龍馬にとっての「姉への手紙」のように、一人の理解者にそのときどきの気持ちを伝えることができれば、それも大きな心の支えになるでしょう。

レッスンのポイント
・内に秘めた信念は、「われのみぞしる」くらいでちょうどいい
・「われのみぞしる」は気概であり〝やわらかな心〟でもある
・「誰もわかってくれない」を「自分だけは知っている」に置き換えよう

<第5回に続く>

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