2022年盛り上がりそうなアニメ聖地4選! “着せ恋”“宇崎ちゃん”“五等分”“ゆるキャン”に旅心を誘われて――

アニメ

更新日:2022/7/3

 コロナ禍によって奪われたものはたくさんあるが、中でも旅行は代表的なもののひとつだった。ただ2022年の春から夏にかけ、県民割の実施などもあり検討する人も増えているのではないだろうか。そこでこの記事では、「巡礼したくなる4つのアニメ聖地」を紹介したい。ピックアップしたのはいずれも2022年以降も盛り上がりが続きそうな作品の聖地である。

・埼玉県さいたま市岩槻区・東京都豊島区:『その着せ替え人形は恋をする』
・宮城県仙台市、鳥取県三朝町・倉吉市ほか:『宇崎ちゃんは遊びたい!』
・愛知県東海市:『五等分の花嫁』
・山梨県、静岡県ほか:『ゆるキャン△』

埼玉県さいたま市岩槻区・東京都豊島区『その着せ替え人形は恋をする』

その着せ替え人形は恋をする
その着せ替え人形は恋をする』(福田雄一/スクウェア・エニックス)

 コスプレ少女と雛人形職人を目指す少年のラブコメが本作『その着せ替え人形は恋をする』だ。2022年上半期、非常に話題になったTVアニメのひとつである。

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 原作の『その着せ替え人形は恋をする』(福田晋一/スクウェア・エニックス)は、アニメ開始前で累計発行部数が350万部、これだけでも大ヒット作なのだが、2022年4月時点の累計発行部数は600万部を突破している。いかにアニメ版が魅力的だったかが分かる。

 主な聖地は埼玉県さいたま市岩槻区だ。岩槻は同じ埼玉県の鴻巣と並び、雛人形を含む人形の町として知られている。作中でも実家として「五条人形店」が登場し(原作8巻)、雛人形職人である祖父と暮らす五条新菜(ごじょうわかな)の家に、何だかんだとヒロイン・喜多川海夢(きたがわまりん)がやって来ることが多いのである。原作コミックスにも取材協力で名を連ねる「鈴木人形」をはじめ、新菜の実家のモデルとなったお店も存在する。

 なお作中では、コスプレ衣装の生地やグッズを販売しているショップやコスプレ会場がある東京・池袋が頻繁に出てくる。こちらはサブ聖地と言ってもいいかもしれない。

宮城県仙台市、鳥取県三朝町・倉吉市ほか:『宇崎ちゃんは遊びたい!』

宇崎ちゃんは遊びたい!
宇崎ちゃんは遊びたい!』(丈/KADOKAWA)

 後輩に“ウザ絡み”されるドタバタラブコメディ。今はアニメ第2期『宇崎ちゃんは遊びたい!ω(だぶる)』の放送を待つばかり。原作はTwitterで発表していたショート漫画から商業連載になった『宇崎ちゃんは遊びたい!』(丈/KADOKAWA。コミックス8巻時点で累計200万部を突破している。また「次にくるマンガ大賞 2018 Webマンガ部門」にノミネートされるなどしている。

 大学三年生の桜井真一(さくらいしんいち)が高校の後輩である宇崎花(うざきはな)に“ウザ絡み”されて振り回される、その場所はほぼ仙台だ。仙台駅前のペデストリアンデッキも忠実に描かれ、二人が通う大学は仙台市内の某大学以外の何物でもない。ただ一部、明らかに神戸の風景も描かれている。

 そしてアニメ第1期9話から10話の鳥取旅行エピソードでは、鳥取県の三朝町や倉吉市の具体的な観光スポットをたっぷり紹介しており、聖地巡礼旅行にうってつけである。

愛知県東海市:『五等分の花嫁』

五等分の花嫁
五等分の花嫁』(春場ねぎ/講談社)

 勉強だけはできる高校生、上杉風太郎(ふうたろう)が、同い年の一花(なかのいちか)、二乃(にの)、三玖(みく)、四葉(よつば)、五月(いつき)という“中野家の五つ子”の家庭教師になるラブコメディ。連載開始時から五つ子のうちの一人との結婚を控えた風太郎が高校時代を回想する形で描かれていた。アニメ版第1期、第2期を経てついに完結する『映画 五等分の花嫁』は公開館数が約100館にもかかわらず、公開から数週間で興行収入10億円を突破し大ヒット上映中である(2022年6月時点)。

 原作『五等分の花嫁』(春場ねぎ/講談社)は2022年3月時で累計発行部数は1600万部を突破、2019年5月に第43回講談社漫画賞の少年部門を受賞している。

 原作者の春場ねぎ先生は出身地である愛知県知多市の観光大使をつとめているが、本作の聖地も愛知県だ。東海市の太田川駅周辺が有名で、映画のメインの舞台となった高校のモデルらしき大学も太田川駅そばだ。駅を中心に行われたイベントでは、印象的な撮影用の顔出し大仏パネルを設置。さらに登場シーンマップが製作され、スタンプラリーが行われたことも。駅の周辺には背景で描かれた多くの場所がコンパクトにまとまっており、非常に巡礼しやすい聖地だといえる。

山梨県、静岡県ほか:『ゆるキャン△』

ゆるキャン△
ゆるキャン△』(あfろ/芳文社)

 ソロキャンプ好きの志摩リン。彼女と出会ってキャンプにハマった各務原なでしこ。リンの友達の斉藤恵那。なでしこの高校の「野外活動サークル」の大垣千明と犬山あおい。彼女たちがアウトドアを満喫する、ゆるやかな日常を描く本作。原作『ゆるキャン△』(あfろ/芳文社)は13巻・2022年6月時点で累計700万部を突破。テレビアニメ、テレビドラマともに第2期まで制作された。

 2022年7月には原作者・あfろ氏が監修した完全オリジナルストーリーの『映画 ゆるキャン△』が公開になる。大人になって、それぞれの場所で暮らしていたかつてのキャンプ仲間たちが集まり、山梨県に新たなキャンプ場を作るというものだ。

 本作の聖地は枚挙に暇がない。アニメ第1期は山梨県がメインの舞台。身延町に実際に存在するキャンプ場、身延駅や山梨駅が登場。本栖湖や笛吹川や四尾連湖といったアウトドアスポットが描かれている。

 山梨県内では聖地イベントや、身延町、南部町、市川三郷町、山梨市までのスタンプラリーが開催され「やまなし観光推進機構」は公式サイト上で、劇中に登場した実在の土地と実際の写真を比較する形でロケ地を紹介している。また第1期では長野県も舞台に。中信の霧ヶ峰や、岡谷市と塩尻市との境にある高ボッチ高原も登場した。

 アニメ第2期は、静岡県が作品とのコラボレーションによる観光振興策を発表。先行上映会会場でのブース出展や、キャンプ場を含む静岡県内への宿泊に特典を付けたり、県内のモデル地マップとキャンプ地マップの配布を行った。

 静岡県掛川市の日本茶専門店など、モデルとなったピンポイントなローカル店舗から、磐田市のキャンプ場や見付天神、浜名湖といった一般的な観光スポット。そして第2期のクライマックスを飾った伊東市のシンボル・大室山をはじめ、伊豆のスポットも登場。聖地&観光名所の、見どころ満載の旅行をしたくなることうけあいだ。

 さて『映画 ゆるキャン△』はどのような聖地を見せてくれるのだろうか。ちょうど夏季休暇をとれる時期の映画公開に、多くのファンが旅心を誘われるはずだ。

 コロナ禍が完全に収まっていないなかではあるが、2022年7月時点では、都道府県が独自に行う旅行割引「県民割」(地域観光事業支援)は動いており、今後の展開に関しては動向が注視されている状況だ。

 また現在は誰もが感染対策を徹底しており、その延長で出かける際は少人数、一人での行動が推奨されている。つまり思い立ったら一人でもぶらっと聖地へ行けるのだ。本稿のライターは昔から一人で旅に行くことが多かったが、一人旅はすべてが自分の思い通りで、気兼ねする必要もないのでオススメだ。

 好きな作品の聖地とは「普段は顔を合わせていない仲の良い友人」のようなもの。会いに行けば、きっとうれしく感じるはずだ。

 ただ聖地は、公式に観光地化されていない普通の施設や個人の敷地の場合もある。料金や営業時間にも留意しつつ、そのスポットや周辺の住民の方に迷惑はかけないように、マナーを守って巡礼してほしい。

文=古林恭