季節風「モンスーン」と、猛暑をもたらす「湿ったフェーン現象」のしくみとは?/面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ
更新日:2022/7/20
集中豪雨、極度の乾燥、高温など…近年、世界各地でこれまでの記録を更新するような異常気象が観測されています。
今回ご紹介する『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』では、著者でもある気象予報士の資格を持つサイエンスライター・今井明子さんが「地理」と「地学」をもとに意外と知られていない「世界の天気」や「異常気象の謎」を、豊富な図解とともにわかりやすく解説します。
なぜこの地域は雨が少ないのか、1日の寒暖差が大きい理由など、『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』を読めば謎が解ける! 子どもから大人まで学べる、おすすめの一冊です。
アジアで顕著に見られる季節風「モンスーン」と、猛暑をもたらす「湿ったフェーン現象」。そしてあまり知られていない「乾いたフェーン現象」のしくみを図を用いて徹底解説します。
※本作品は今井明子著の書籍『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』から一部抜粋・編集しました
季節風はなぜ起こる
季節風はスケールの大きな海風と陸風
季節風とは、季節によって風向きが変わる風のことをいい、英語では「モンスーン」と呼ばれます。季節風は世界のどこでも吹きますが、特にアジアで顕著に見られます。季節風と聞いて日本人がまず思い浮かべるのが、冷たい冬の季節風ではないでしょうか。季節風が発生するしくみは、海風と陸風が発生するしくみと同じです。大陸と太平洋やインド洋など、陸地と海の間で起こる規模の大きな海風・陸風なのです。
日本は、ユーラシア大陸と太平洋の間に位置しています。夏はユーラシア大陸のほうが海よりも温まりやすいため、相対的に気温の低い海側に高気圧が、気温の高いユーラシア大陸に低気圧ができます。いわゆる「南高北低の気圧配置」です。このとき、海からユーラシア大陸に向かって南寄りの季節風が吹きます。この季節風は、日本では梅雨や猛暑をもたらします。
逆に、冬はユーラシア大陸がキンキンに冷えますが、海の水温はそこまでは下がらないため、ユーラシア大陸のシベリア付近に高気圧ができ、比較的温度が高くなる太平洋に低気圧ができます。これがよく天気予報でも耳にする「西高東低の気圧配置」です。すると、太平洋に向かって北西の季節風が吹くのです。日本の日本海側に豪雪をもたらすのが、この北西の季節風です。
季節風は、特に東南アジアやインドでは雨季をもたらすものとして知られています。英語名の「モンスーン」が雨季の代名詞として使われている地域もあります。