図鑑は変わった! ARで楽しめる“目の前で呼吸するかのような”昆虫に昭和生まれの筆者が衝撃

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公開日:2022/7/8

学研の図鑑LIVE 昆虫 新版
学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』(学研プラス)

 大人になってからも『学研の図鑑』と聞くと、子どもの頃をパッと思い出す人たちは少なくないはずだ。かくいうこの記事を担当する、昭和生まれの筆者もその1人だ。小学校時代、どアップのスズメバチが表紙になっていた昆虫図鑑を何度も読み返しては、虫たちの生態を学べることにワクワクしていた。

 そして、令和の時代となった今、現代の図鑑を読んでみたら驚いた。1970年に創刊した「学研の図鑑」シリーズは、2014年からの「学研の図鑑 LIVE」シリーズを経て、2022年6月に「学研の図鑑 LIVE 新版」シリーズとしてリニューアル。「昆虫」「恐竜」「危険生物」と3種類のテーマを扱う図鑑はいずれも、文字や写真で生き物たちの生態へふれられるだけではない。付属のDVDやネット上の動画で学べるほか、スマホアプリ越しに見られるARのCGを通して、目の前に“飛び出してくる”生き物たちにふれられるようになっていた。

昆虫の“生きた状態”の写真を2800種以上も収録。全国の「昆虫館」にも心をくすぐられる

 筆者が手にしたのは『学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』だ。掲載しているのは、カブトムシやクワガタ、チョウなどの2800種以上の昆虫だ。図鑑と言えば、昆虫の標本写真がズラッと並ぶ誌面が思い浮かぶが、本書では“生きた状態”の昆虫を撮影しており、今にも動き出しそうな躍動感溢れる写真が楽しめる。

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学研の図鑑LIVE 昆虫 新版

 もちろん、文字の解説も充実している。導入部分では「昆虫の体のつくり」や、約3億年前から地球に暮らしているという昆虫の進化史。「さなぎ」や「繭(まゆ)」の意味など、昆虫の生態を知るために役立つ用語を学べる。

学研の図鑑LIVE 昆虫 新版

 カブトムシやクワガタムシなどの「コウチュウ目」、チョウやガなどの「チョウ目」など、生物学上の30種類を取り上げたカテゴリごとのページも充実。各章の導入では、分類ごとの生態を学べるほか、個々の分類に該当する昆虫たちが誌面にズラリと並ぶ。

 昆虫ごとの和名や特徴だけではなく、体の大きさ、見られる時期、国内での分布地域などデータもかなり細かい。本書の終盤では、代表的な昆虫の飼育方法を学べるほか、全国各地にある「昆虫館」のリストも紹介しているので、いざ読むと、すぐにでも昆虫たちに会いたくなってくる。

学研の図鑑LIVE 昆虫 新版

ARでは“目の前で呼吸している”かのような昆虫たちをスマホで確かめられる

 約66分のオリジナル動画で学べるのも「学研の図鑑 LIVE 新版」シリーズならでは。人間がなかなか見ることができない自然界の貴重なワンシーンを記録している。ハンミョウやギンヤンマの幼虫がハンティング(捕食)するシーンや、地下に暮らすアリたちの日常、スズムシやコオロギが鳴く仕組みなど、映像と共に生態へふれると、より深く昆虫の生態を知ることができる。

 そして、なんといっても本書の醍醐味なのは、スマホアプリ「ARAPPLI」を通して楽しめる昆虫たちのARだ。アプリ自体は「Google Play (Playストア)」または「App Store」からダウンロードが可能。誌面で「とびだす!AR」と書かれたページでは、昆虫たちの細かなフォルムや鳴き声を手元のスマホで確認できる。

学研の図鑑LIVE 昆虫 新版
アプリストアでの「ARAPPLI」配信ページ。写真はApp Store(筆者撮影)

 図鑑から見られるのは「アキアカネ」「オンブバッタ」「オオカマキリ」「ノコギリクワガタ」「カブトムシ」「ゲンジボタル」「ナナホシテントウ」「アゲハ」の3DCG。筆者は子どもの頃から憧れだった「ノコギリクワガタ」を、手元のスマホに呼んでみた。

学研の図鑑LIVE 昆虫 新版
『学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』で見られるノコギリクワガタのAR動画(筆者撮影)

 ビックリしたのは、スマホの画面内で「ノコギリクワガタ」が躍動していたことだった。写真でしか伝えられないのがひじょうに惜しいのだが、目の前で呼吸しているかのように、画面内のクワガタが上下し、正面に向かって勇ましく威嚇するかのような体勢を取り始める。スマホの角度を変えれば、昆虫の姿を表から裏まで確かめられるのもARならでは。アプリでは、身の回りの好きな場所に昆虫を配置して、擬似的な記念撮影もできる。

 そして、昆虫たちの迫力ある動画が楽しめるだけではない。「コオロギ」「キリギリス」「セミ」の鳴き声も、手元のスマホで楽しめる。

学研の図鑑LIVE 昆虫 新版
『学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』を通して聴ける昆虫たちの鳴き声のページ(筆者撮影)

 筆者が聴いたのは「セミ」たちの鳴き声だ。自宅にいた筆者がスマホのスピーカーから流した途端、妻が思わず「何ごと!?」と驚くほど、その場にいるかと思えるような臨場感溢れる音声が聴こえてきた。図鑑を見た時点は梅雨どきで夏本番の目前だったが、「ヒグラシ」の鳴き声を聴いたら、まだ来ないはずの夏の終わりを想像して、ちょっぴり寂しくなった。

学研の図鑑LIVE 昆虫 新版
せっかくだからと「ノコギリクワガタ」を記念撮影。机上の姿も凛々しい(筆者撮影)

 子どもたちの学習に役立つのはもちろん、大人も知的好奇心をくすぐられる『学研の図鑑 LIVE 新版』シリーズ。「昆虫」以外のシリーズ、「恐竜」ではティラノサウルスをはじめとする恐竜たちの進化史や生態を、「危険生物」では陸上や水中に棲み、ときには人間の生命も脅かすような生き物たちの生態を学べる。もちろん、動画やARも楽しめるので、様々な生き物たちへふれてみてほしい。

文=カネコシュウヘイ