見た目は怪しいけど中身は超優しい! ギャップ全開の日常コメディ『見るからに怪しい二人』/マンガPOP横丁(116)

マンガ

公開日:2022/7/15

見るからに怪しい二人
見るからに怪しい二人』(鬼澤馬勇/KADOKAWA)

“人の印象の大半は見た目で決まる”というのをよく耳にする。例えば街中で困ったことが起きて助けてくれそうな人を選ぶとき、威圧感があって怖そうな人などには声をかけづらいのではないだろうか。今回の『見るからに怪しい二人』(鬼澤馬勇/KADOKAWA)は、そんな外見がヤバい男性ふたりが主人公の日常コメディなのだが、実は彼らは見た目からは想像できない素敵なギャップを持っていたのだ! 表紙から見てもそんな雰囲気を感じさせない彼らの日常を少しだけご紹介。

 とある公園にいつも現れるふたりの男性。身なりをパンクファッションで固める「短髪」と、まるで死に神のような淀みきった瞳と黒めの服装が基本の「長髪」。どちらもピアス開けまくりタトゥー入れまくりで近寄りがたい雰囲気。警察の目に留まることも日常茶飯事だ。そんなまるで悪人扱いされる彼らの本性はというと、街中で発作が起きた人をすぐ介抱したり、迷いペットを見つけては捕獲に全力投球したりと、超イイ人! さらにふたりで知育菓子を楽しんだり、短髪は地元・姫守市のゆるいご当地マスコット「おばけコウモリのモリーくん」のガチファンだったり、長髪は子ども用の自転車ではしゃいだりとほっこりカワイイ一面も。警察官はモチロン、一般市民を巻き込みながらマイペースに過ごす彼らの活躍(?)に今日も目が離せない……!

 そして、のちに新たな人物がこれもまた怪しげな姿で登場する。その人物は、短髪の妹・キーちゃん。彼女はお守りや人形を作るのが大好きで、これだけ聞くとお裁縫が好きな女の子なのかなと感じさせるが、それがまたダーク一色! しかしその人形までもがまさか人助けしてしまうのだ。果たしてどんな展開なのか、ぜひともその目でご確認いただきたい!

 私はこの作品と出会った瞬間、「今年の最“珍”作」と確信した。実にゆるく奇抜で面白い日常を描いたコメディ作品である。1話4ページ、計40話プラス描き下ろし1話という見応えと笑いどころがたくさん! 最初から最後までこの表紙絵とは真逆の優しい勘違いされがちコメディなので、お気軽に手に取っていただきたい。最後に、この作品で個性的俳優さんによる実写化を“怖いもの見たさ”で見たい自分ががが……!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう