73万部突破の『こども六法』が小説になった! 大人も勉強になる法律エンタメで「自分で自分を守る」

文芸・カルチャー

公開日:2022/7/14

こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!
こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!』(山崎聡一郎:原案、岩佐まもる:著、飯田亮真:監修、佳奈:カバーイラスト・挿絵/KADOKAWA)

 現在、73万部突破のベストセラーとなっている『こども六法』(山崎聡一郎/弘文堂)。タイトルにある通り、六法(憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の6つの法律)のうち、商法の代わりに少年法、いじめ防止対策推進法を解説し、イラスト付きで誰もが読んで楽しめるように書き直したという1冊だ。子どものときから「やってはいけないこと」の線引きをきちんと理解し、いじめや虐待の被害に遭ったり、トラブルに巻き込まれてしまったりしたときに、正しい認識で自分を守ることができるようになること――そんな願いをこめて子ども向けに編まれたという本だが、そのわかりやすさと親しみやすさはとにかく抜群。子どもたちだけでなく、大人たちにもおおいに親しまれている。

 ところで、さらにわかりやすく親しみやすく法律の内容を伝えようと、現在、本書がさまざまなカタチで進化しているのをご存じだろうか。漫画になったり、すごろくになったり…そしてこのほどノベライズ版となる1冊『こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!』(山崎聡一郎:原案、岩佐まもる:著、飯田亮真:監修、佳奈:カバーイラスト・挿絵/KADOKAWA)が登場した。

 舞台は、社会制度が変わったことで「司法試験」に中学生くらいの年齢でも合格する子がぽつぽつ出てきた世界。中学1年生の主人公・久家祐樹(くげ ゆうき)は、高校2年生の姉・智紘(ちひろ)が「こども弁護士」として所属する「くげ法律事務所」のお手伝いをしている。日々さまざまな悩みやトラブルを抱える相談者が智紘のもとを訪れるが、ある日、祐樹の隣のクラスの女子とその母親が「『同じ部の子を脅して万引きさせた』といいがかりをつけられ、退学させられそうになっている!」とトラブルの解決依頼に(FILE 1「石蹴り姫の沈黙」)。またある日は「試験前でもバイトを休ませてもらえない」という高校生がブラックバイトを辞めたいと相談に(FILE 2「ブラックバーガー」)。さらには当番弁護士で担当した男性タレントからは「傷害容疑」をはらすように依頼され――(FILE 3「友達の守り方」)。こうしたトラブルに「子どもの視点」を持ち合わせた法律の専門家として挑んでいく智紘。弁護士としての問題解決方法だけでなく、智紘にとっての「正義」のあり方が物語のキーになる異色の法律エンタメ小説だ。

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こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!

こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!

 さらに本書の大きなポイントは、ストーリーにあわせて複数の法律的な視点が登場することだ。3つの物語ではそれぞれ「いじめ」「ブラックバイト」「デートDV」など、いかにもティーン層が巻き込まれやすいトラブルや悩みごとがテーマになっており、そうしたトラブルにはどう対処したらいいのか、解決してくれる法律はあるのかといった「使える知識」を、ストーリーを楽しみながら教えてくれるのだ。「法律」といわれるとつい大人でも身構えてしまうものだが、物語なら感情移入はしやすいし、自分におきかえて考えられたりもするので、身近なものに捉えることもできるだろう。

こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!

 親がなんでも守ってくれた小学生までとは違って、大人へと向かうティーン世代はさまざまなトラブルから「自分で自分を守る」必要がでてくるもの。法律を知ることは、そうした自衛のための大事な武器になってくれるだろう。法律を「勉強する」のはちょっとハードル高めだが、本書ならきっと楽しみながら読めてしまうはず。「大人にも勉強になる!」との感想も寄せられており、親子で一緒に楽しむのもおすすめだ。

文=荒井理恵

■書誌情報『こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!』(KADOKAWA)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322109000924/

■イベント情報
ニコニコ生放送「夏休み こどもネット相談室 〜悩みを聞かせて!〜」(※タイトル仮)
出演者:山崎聡一郎(『こども六法』著者)、小林航太(弁護士)
放送日時:2022年7月21日(木)20:00~
https://live.nicovideo.jp/watch/lv337604857