1日1分でOK。名作の「音読」で子どもの認知能力と非認知能力が飛躍するワケ
公開日:2022/7/15
小学生の宿題の定番のひとつ、音読が「脳を活性化させる」ということで注目を集めて久しい。音読には、視覚、聴覚、発声など、脳のさまざまな部位を刺激し、活性化させ、語彙量、知識量、思考力など、いわゆる認知スキルを向上させる効果があるということで、あらゆる世代向けに音読のための本が発売され、市場を賑わしている。
累計売上150万部の「頭のいい子を育てる」シリーズの最新作『頭のいい子を育てる 名作おんどく366』(主婦の友社)は、その名のとおり「名作」にこだわった1冊。清少納言や吉田兼好、松尾芭蕉や与謝野晶子、アンデルセンやイソップ、夏目漱石、宮沢賢治、谷川俊太郎、金子みすゞ……物語、詩、俳句や和歌、百人一首や童謡など10ジャンル、子どものうちから触れておきたい古今東西の作品が366日分。基本1日1ページで長くても3分ほどで読めるから、忙しい生活の中でも負担にならない。
子どものうちに触れたい、磨きぬかれた言葉や表現、多様な文化や価値観が「名作」には詰まっている
「名作」として愛されてきた作品には磨きぬかれた言葉や表現が使われており、それらに触れることで言葉への感受性が高められるのがわかる。流行り言葉や略語が蔓延する今日この頃の子どもには、必要な経験かもしれない。
また、多様な文化や習慣、価値観などを作品を通して知ることで、知識や教養を身につけることもできるだろう。作品の世界を疑似体験することで、想像力や発想力、自立心などの非認知スキルも養うことができる。名作の音読は、“脳も心も”伸ばせるのだ。
教育学、保育学等の第一人者である監修の汐見稔幸先生(東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長)は、音読は語る人と聞く人が作品の世界を共有する、コミュニケーションだという。向かい合って同じ作品を味わうことで、1日数分のひとときでも心を通い合わせることができる。子どもが文字を読めるようになったら、俳句やことわざなどの短い作品からチャレンジさせてみたい。時には親が読み、時には子どもが読み、ひとつの作品をみんなで味わう、家族の日々の楽しみ、遊びとして取り入れるのはどうだろう。