『なかよし』連載開始から30周年!ときめきが止まらない「美少女戦士セーラームーン ミュージアム」の見どころは?
更新日:2022/7/15
6月30日はうさぎちゃんの誕生日
7月1日より、六本木ミュージアムで「美少女戦士セーラームーン ミュージアム」がスタートしました。『なかよし』の連載開始から30周年の軌跡をたどる大展覧会です。
本展では、原作者の武内直子先生が描き下ろした新作原画を含む、貴重なカラー原画が過去最大規模で展示されるとか。セーラームーン世代の筆者としては、ワクワクです。(ちなみに幼稚園ではセーラービーナスを担当させてもらっていました)
オープンに先駆けて、メディア向けのギャラリーツアーがあるというので、行ってきました。ギャラリーツアーの開催日は6月30日。そうです。物語の主人公、月野うさぎちゃんの誕生日です。素敵な星の巡り合わせを感じますね。
六本木ミュージアムは、都営地下鉄大江戸線の麻布十番駅から徒歩10分の場所にあります。麻布十番といえば、セーラームーンの舞台になった街です。当日、都内の気温は35℃を超える猛暑日。炎天下の中、「ここが、うさぎちゃんたちの暮らす街か~」と汗をたらしながら歩いていると、見えました。六本木ミュージアム。外壁には、いきなりBIGサイズのセーラー戦士たちが、ドン。
原作絵を見ると、無性に胸が高鳴ります。幼い頃に感じた憧れが蘇るせいでしょうか。
ミュージアムに入ると、まずはガラス張りのウェイティングスペースに案内されます。ここにもセーラームーンの巨大ビジュアルが!
武内直子先生がミュージアムのために描き下ろしたイラストだそうです。来館すると同時に、新作イラストを拝める粋な演出ですね。
今回のギャラリーツアーの案内人は、講談社の小佐野文雄さん。『美少女戦士セーラームーン』の原作編集担当者です。レジェンド編集者自らミュージアムの魅力を伝えてくださるということで、しっかりメモを取ってきましたよ。
「2016年に開催したセーラームーン展の反省を活かし、すべての点を進化させました。30周年にふさわしいミュージアムにすることができたと思います」(小佐野氏)
その言葉通り、前回の展覧会では原作原画の展示数が30点だったのに対し、今回はなんと180点に大幅アップ。Vol. 1~Vol. 3の会期に分けて、期ごとに作品が入れ替わります。従ってすべての原画を見るには、3回行かなければいけません。
というのも、1990年代に書かれたカラー原画は、劣化や退色が進んでいるため、長く展示することができないのだとか。そのため、原作原画の展示は、今回の展覧会がおそらく最後になるそうです。しっかりと目に焼き付けなければ。
時空の扉をくぐってセーラームーンの世界へ
『時空の扉』をくぐると、広がるのは「セーラー・プリズム・シアター」。没入型体験シアターです。4.5×8メートルの巨大スクリーンに、『美少女戦士セーラームーン』の映像が映し出されます。レーザーを用いた特殊効果もあって、没入感がすごい。ネタバレになってしまうので内容は言えませんが、ファンならちょっとグッと来てしまうような映像でした。
続く部屋は、「セーラーガーディアンズ・ヒストリー」。
『美少女戦士セーラームーン』の第1部から第5部の漫画の名シーンが、ホログラムになって壁を埋め尽くします。伝わるでしょうか。どこから見てもキラキラ。幻の銀水晶を彷彿とさせる輝きです。
そして、アニメシリーズ、グッズ、ステージの「コレクション展示」ゾーンへと移動します。600点を超える秘蔵資料を一堂に集めたセーラームーンの博物館です。
アニメーションエリアでは、90年代から最新作までのアニメシリーズの設定資料や、絵コンテがずらり。小佐野氏からは、黒猫のルナがなぜ初期のアニメで紺色だったのかの裏話が聞けました。「アニメの中で黒いものが動くと見にくいから」という理由だったそうです。
当時、アニメの制作会社に「ルナの色を170色から選んでほしい」と言われ、あの色に落ち着いたそうですが、現在のアニメでは、無限の色が表現できるようになったそうです。アニメーションの現場も30年で大きく進化したのですね。
ちなみにこちらのエリアでは、『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督による絵コンテも展示されています。『美少女戦士セーラームーン』のスタッフをされていた頃のものです。探してみてくださいね。
そしてグッズエリアには、懐かしすぎて卒倒しそうなアイテムの数々が。歴代のスティック&ロッド! 変身コンパクト! レインボー・ムーン・カリス!
古いものから最新のグッズまで、ほぼ網羅されています。
「今のグッズは洗練されていて再現度も高いのですが、30年前のグッズも今見ると、非常にクオリティが高い。当時の人々を惹きつけたのがわかります」(小佐野氏)
たしかに、どのグッズも今見ても欲しいと思わせる仕上がりです。
なお、こちらのお部屋はバンダイの最初のおもちゃのデザインをイメージした作りになっているそうです。このように、館内にはファンを喜ばせる仕掛けが、あちこちに見られます。
中央に飾られているのは、作品をテーマに作られたウェディングドレス。
美しいです。個人的にこの中だったら、断然「プリンセス・セレニティモデル」がいいです。一度でいいから月の王女になってみたいです。次点が「セーラームーンモデル」。
レトロな乗り物も展示されていました。
お金を入れたら、きっと揺れるのでしょう。椅子の内部にある「キャラクタースイッチ」とやらが気になります。現役で稼働していた頃は、きっとたくさんのちびっ子を乗せて楽しませてくれたのでしょうね。
そして、セーラームーンを語る上で欠かせないのが、ミュージカル。通称「セラミュ」です。1993年にスタートし、現在までの公演数は850回にのぼります。ミュージカルをきっかけに、作品のファンになった方も多いそうです。ここでは、実際に舞台で使用された衣装も見ることができます。間近で見ると、再現度がすごい! 光沢や素材感、「これだよ、これ」という感じです。
「コレクション展示」を出ると、『なかよし』の表紙が壁一面に飾られています。
セーラームーンはもちろんのこと、同時期に連載されていた懐かしい作品たちの名前が! 『魔法騎士レイアース』『怪盗セイント・テール』『デリシャス!』『すてきにディッシュアップ!』…思いがけず、大好きだった作品たちに再会することができました。
アナログ原画の美しさに乙女のため息
そして、ついに展覧会の目玉「セーラー・クリスタル・ギャラリー」へ。初展示を含む、貴重なカラー原画などが、過去最大規模で展示されています。
うっとりするような美しい原画の数々…。一つ一つじっくり見ていると、本当に時間を忘れます。
「アナログ時代の絵の色彩は、独特の良さがあります。僕は今でも格好いいなと思います。武内直子先生は作品を描くのが早いんです。ネームやプロットに詰まることはあったけど、原稿はすごいスピードで描きます。ただ、やはりカラーは時間がかかる。毎月付録や扉、描き下ろしなどがあったので、1ヶ月のうち、半分くらいはカラーページにかけていたと思います。僕はカラーが一番好きなので、それがこれだけ集まっているのが、今回の展覧会の目玉だなと思います」(小佐野氏)
家に飾りたいと思う絵が何枚もありましたが、価値なんてつけられないんだろうなと、リアルに考えたりしていました。
今回の展覧会のキービジュアルとなった絵も、こちらに飾られています。それぞれの惑星が、頭の上に! 単体で見ると、こんな作品だったんですね。可愛すぎる。
そして、時空の扉をもう一度くぐって、現実へと戻ります。でもまだまだ終わりませんよ。目の前に広がるのは、特設ショップコーナー!
こちらの部屋は、新進気鋭のアートディレクター、五十嵐 LINDA 渉氏が、「WINDOW SHOPPING」をコンセプトにデザインを手掛けました。武内先生も訪れ、細かい部分まで一緒に作り上げたそうです。グッズの展示の仕方もこだわっていて、最後の最後まで楽しませてくれる展覧会。30周年にかける情熱を感じられます。
アパレルやアクセサリー、文房具のほか、今では手に入りにくくなった原作関連の商品も多数取り揃えているそうなので、気になる方は早めの来訪がおすすめです。
ここで小佐野氏から、武内先生の最近の裏話をちらっと聞かせてもらいました。パソコンは苦手だという武内先生ですが、IllustratorやPhotoshopなどのソフトは、直感的に使えてしまうそうです。漫画家にとっては画材のひとつなんですね。
ところが、作画がデジタルになったことで、ちょっと困ったことも。アナログと違い、修正や色の変更が簡単にできてしまうため、終わりが見えないんだそう。いつまでも描き続けてしまうって…格好良すぎませんか?
館内には、「美少女戦士セーラームーン ミュージアム カフェ」も併設されています。作品に登場するアイテムやセリフをモチーフにしたオリジナルメニューです。
美少女戦士セーラームーン ミュージアム スライダー!
月にかわっておしおきオムライス!
コズミック・ハート・コンパクト デザートプレート!
セーラー5戦士のレインボーパフェ!
名台詞アートラテ!
などなど、食べるのがもったいないほどの可愛いメニューばかり。存分に写真を撮るといいでしょう。
見応えたっぷりのミュージアムに、大満足でした。大事なことなので最後にもう一度言いますが、これだけの原画が展示されるのは、おそらく今回が最後です。ちょっとでも気になると思うなら、行きましょう。
「ムーンライト伝説」のイントロ、「ドゥルンッ、ドゥル、ドゥル、ドゥルンッ♪」が、あなたを待っています。
取材・撮影・文=中村未来
(c)Naoko Takeuchi
「美少女戦士セーラームーンミュージアム」
会期:2022年7月1日(金)~12月30日(金)
Vol1 7月1日(金)~9月4日(日)
Vol2 9月10日(土)~11月6日(日)
Vol3 11月12日(土)~12月30日(金)
会場: 六本木ミュージアム
開館時間:10:00〜18:00 (※最終入館は17:30まで)
休館日:9月5日(月)~9日(金)、11月7日(月)~11日(金)
住所:東京都港区六本木5–6–20