ご無沙汰だけど、もう一度運転したい! そんなあなたへ、ペーパードライバー歴約20年の著者が実体験からコツを紹介
公開日:2022/7/17
長引くコロナ禍の中、3密を避ける移動手段として再注目されている自動車。同じくコロナ禍で注目された地方移住や、子どもの送迎・親の介護などライフスタイルの変化に伴い自動車が必要になるケースも多く、今は自動車を必要としていない人でも、今後必要になる機会がないとも限りません。
しかし一度運転免許を取得しても、その後しばらく運転せず、「もう運転できる気がしない」、いわゆるペーパードライバーな方も多いのではないでしょうか(私もその一人です)。『脱ペーパードライバー やっぱり運転できるようになりたい!』(沢村秋岳:監修、森下えみこ:著・イラスト/ナツメ社)は、ペーパードライバー歴約20年の著者・森下えみこさんが実際にペーパードライバーのための講習に通い、運転の基礎知識やコツをまとめたもの。運転に欠かせない知識やコツがマンガとイラストでわかりやすく図解されており、運転に苦手意識を持つ方におすすめの一冊です。
まずは基本のキから振り返る!
本書でまず解説されるのは、運転前の準備。いざ運転席に座ったものの、ブレーキペダルがどちらだったかもあやふや……という著者と一緒に、各部の名称や使い方、運転席やミラーの調整方法などからおさらいします。運転中に前方の窓が曇って「どうするんだっけ!?」と焦った経験を持つ筆者としては、この段階からおさらいできるのはとてもありがたいなと感じました。また実際に運転を始める際も、まずは、“車を動かせる状態にしたまま、ブレーキペダルから足を離すと車がゆっくりと進みだす”、いわゆるクリープ現象の状態から少しだけブレーキペダルを踏んで、車の速度を一定にするトレーニングからスタート。つまりほとんど速度が出ていないので、どんなに運転に苦手意識がある方でも「これならできそう!」と思えるはずです。
“なんとなく”だった感覚を図解で詳しく解説
運転経験が豊富な人は、運転に必要な感覚やタイミングを体得できているため、“なんとなく”で運転できます。しかし苦手な人が“なんとなく”で運転してしまうと、車線変更のタイミングがわからなかったり、駐車スペースへの入庫がうまくいかなかったりで、さらなる苦手意識や恐怖心を生んでしまうことも。そこで本書ではその感覚やタイミングを詳しく説明。「車線変更のタイミングは後続車と車2台分の距離が空いたとき」「駐車の際は駐車スペースと車が40~45度の角度になったくらいでバックする」など目安を提示し、さらにイラストでわかりやすく図解してくれます。「駐車スペースに入庫する際、ハンドルをどちらに切ればイメージしている方向にバックできるのかわからなくなる」など、運転苦手あるあるの解決法をしっかり紹介してくれているのも、ペーパードライバー歴が長い著者だからこそ。もちろん自動車の運転にはその場その場での状況判断がもっとも大切で、必ずしも上記の目安でうまくいくとは限りません。それでも苦手意識の強い人にとっては、一度基準や理屈を理解してから実践することで、運転への恐怖心を最小限に抑えたり、早くタイミングや感覚を掴んだりする効果があると感じました。
また本書には、万が一の事態に備えて車に乗せておくべき常備品、事故を起こした際の対処法、車が海や川に落ちた際の対処法など、すべてのドライバーにとって必要な情報も。カーリース、カーシェアなどサブスクリプションの普及で、車を買わずとも運転する機会が持てるようになった昨今。まず本書を読んで、“車のある生活”への第一歩を踏み出してみませんか?
文=原智香