食物繊維と体に良い栄養素がたっぷり! ダイエットにもピッタリの「痩せパン」レシピ
公開日:2022/8/18
ダイエット中は控えるべきと思われがちな「パン」。でも、糖質&脂質で太ると分かっていても、あのふわふわもちもちの食感と焼きたての香りにはなかなか抗えない。そして食べたあとに「やってしまった……」と後悔。『はじめまして「痩せパン」です。―食べてスッキリ!33レシピ―』(小野由紀子/青春出版社)は、そんな私のような意思弱めな人にオススメしたい、ダイエット中でも食べられる「痩せパン」レシピの本。
掲載されているのは、よくあるおからや大豆粉を使うものではなく、れっきとした「小麦粉」と「天然酵母」を活用して作る手法。そのため、たとえば大豆臭さが苦手な人でもおいしく食べられるのが特徴だ。こだわるのは、その「小麦粉」と「天然酵母」の選び方。
まず、小麦粉は古代エジプト時代から使われているという「スペルト小麦粉」。このスペルト小麦粉には、一般的な小麦粉だと製粉段階で除去されてしまう良質なたんぱく質、ビタミンB群、ミネラルなどの栄養素がしっかりと含まれている。しかも低GI値で、血糖値の上昇も抑えられるらしい。
また、酵母は「あこ酵母」という日本伝統の醸造技術を用いて作られた天然酵母を使用。なんとこのあこ酵母は、普通の酵母より10倍も多くうまみ成分(遊離アミノ酸)が含まれているとか。さらに酵素が多いため、パンの老化も遅いという。どちらもネット通販で簡単に購入できるため、「手に入らない!」と嘆く心配もない。筆者も早速この「スペルト小麦粉」と「あこ酵母」を入手し、作ってみた。
「塩パン」(P.28~P.29)
まずは下準備。ここは少し時間がかかるため、日数に余裕を持って始める必要がある。煮沸、アルコール消毒をした容器にあこ酵母と35度の水を入れてよく混ぜ、穴をあけたラップをかぶせて27度~32度に保った場所に24時間置いておく。
これができたら生地作り。ボウルにスペルト小麦粉とスペルト全粒粉、塩、起こしたあこ酵母に水を加えたものを入れて混ぜ、生地がまとまったらボウルから出して揉みほぐすようにこねていく。あとはオリーブオイルを塗ったビニール袋に入れて空気を抜き、発酵で膨らむことを見越して袋の上の方を縛って常温にしばらく置き、それから冷蔵庫で10時間~2日ほど置く。ちなみにこのとき納豆の傍に置くと発酵が阻害されるため、納豆と一緒に置かないよう要注意。
ここまでできれば、あとは普通のパン作りと同じ。今回は「塩パン」を作るため、冷蔵庫から取り出して1個分ずつに分けた生地を15分ほど休ませ、伸ばして中にバターを置いてくるくると巻く。35度のオーブンで30分ほど二次発酵させ、表面に溶かしバターとあら塩をのせて、170度のオーブンで10分焼けば完成だ。
ふわふわの生地からジュワっと出てくるバターの芳醇な香りに、思わず頬が緩んでしまう。生地は小麦の味がしっかりとしていて、噛めば噛むほどうまみが溢れてくる。手間をかけた甲斐があったというものだ。生地自体のおいしさを実感できるパンはやっぱり嬉しい。
「フォカッチャ」(P.36~P.37)
続いて、「フォカッチャ」。上記の手順で作った生地を冷蔵庫から取り出して小分けにし、15分休ませて楕円形に伸ばしオリーブオイル、ガーリックパウダー、ローズマリーを散らす。ガーリックパウダーがなかったので、にんにくチューブで代用。あとは170度で10分焼けば完成だ。
オリーブオイルやガーリック、ローズマリーなど風味の強いものと合わせても、生地の味がしっかりしているため全然負けていない。まるでちょっとお高めのパン屋さんで買ったかのような風味の良さだ。
「ベーグル」(P.40~P.42)
最後は「ベーグル」。同じく冷蔵庫から取り出した生地を小分けにし、15分ほど休ませて細長く伸ばしてドーナツ状に形成し、沸騰したお湯に入れて片面1分を目安に茹でる。あとはごまをつけ、170度のオーブンで10分焼けば完成。
さっと茹でるだけなのに、ほかのパンとはまた違った強いもっちり感が楽しめるベーグルは、レパートリーに加えておいて損のない一品。焼きたてはごまの香ばしさも引き立ち、シンプルな味わい深さがどんなおかずも引き立ててくれそう。
実際に作ってみて、この「痩せパン」が砂糖を一切使わないパンであることに驚いた。これでしっかり膨らみふわもち食感に仕上がるのだからすごい。ただやはり時間がかかるので、一気にまとめて作って冷凍保存、という手法を強くオススメする。ストックしておけば、いつでもすぐにおいしい「痩せパン」が楽しめる。
ほかにも総菜パンやハード系のパンなどさまざまな種類が紹介されている。パンを食べたいけど……と悩んでしまう人は、この「痩せパン」に置き換えてみては?
文=月乃雫