“毎日を楽しめているか否か”が仕事の能率にも影響する!? 精神科医による“遊び”のススメ
公開日:2022/8/28
「日本人は働きすぎ」とはよく言われることですが、確かに毎日仕事に家事に育児にと“やるべきこと”をこなすだけで終わってしまうという人は多いのではないでしょうか。かくいう筆者もその一人。特に在宅勤務以前は、平日は家と会社を往復、休日は寝だめの日々を過ごしていました。そんな働きすぎな国・日本に必要なのは“遊び”であるとするのが本書『精神科医が教える 毎日を楽しめる人の考え方』(樺沢紫苑/きずな出版)です。
本書は「遊び=仕事以外の楽しい活動」と定義。仕事以外の時間を楽しむことが、仕事で成果を出すことにつながることを脳科学的に解説します。本書の著者・樺沢紫苑さんは『学びを結果に変えるアウトプット大全』の著書などでも知られる精神科医。氏は精神科の患者さんに今日あった楽しい出来事を3つ書く「3行ポジティブ日記」を勧める中で、「趣味がない、楽しいことがない」人はストレスをためやすくメンタル疾患になりやすい、反対に「毎日が楽しい」と言える人は大きなストレスが少なく、ストレス疾患になりにくいと気づきます。
また“毎日を楽しめているか否か”は仕事の能率にも影響することを脳科学的に説明。例えば「楽しい!」と感じたときに出る物質・ドーパミンは脳を活性化し、集中力や記憶力がアップ、学習効果を高める働きがあります。逆に「辛い、苦しい」という状況が続くと通常夜間は低下するはずのコルチゾールという物質が一日中分泌。コルチゾールはモチベーションを下げ、記憶力を悪化させる働きがあるため、仕事の能率は下がります。つまり仕事も「楽しい」と感じながらやるのと「辛い」と感じながらやるのとでは、気の持ちようだけでパフォーマンスが全く違ってくるのです。しかし今楽しくないと思っている仕事を「楽しい」と思いながら取り組むのは困難。そこで本書は「仕事以外の時間=遊び」でドーパミンを分泌し、コルチゾールを抑えることを提案します。
また、著者自身映画好きが高じて文章を書くようになり、そこで現在の仕事につながることを学んだと回想。その経験から、遊びがもたらすメリットを創造性をはじめ5つ紹介します。さらに「どう遊べばいいか?」という疑問に答えるため、“遊びがもたらす効果を最大化する6つの掛け算” “脳をさらに活性化させるための遊びのコツ8つ”を紹介します。
ちなみに本書では遊びにも“良い遊び方と悪い遊び方”があり、例えば動画配信を深夜まで見てしまうことは、寝不足を招き翌日のパフォーマンスを下げる悪い遊び方であるとしています。良い遊び方の条件とは「楽しい」「リラックス・疲労回復できる」「ストレス発散・リフレッシュできる」「脳を活性化できる」の4つ。本書の後半では具体的な遊び方についても多数紹介されているので、あなたに合った“良い遊び方”を見つけることができるでしょう。
“良い遊び方”で仕事以外の時間を楽しく、なおかつ有効に使うことができれば、人生全体の幸福度がアップすること間違いなしです。
文=原智香