平野レミさん、待望の新作レシピ本! 息子家族との絆も深める、時短&大胆でおいしくて気取らないごはんばかり
公開日:2022/8/31
平野レミさんが新作レシピ本を出したという。
平野レミさんといえば、明るくパワフルな振る舞いでユニークな料理を教えてくれる料理家さんというイメージ。でも1つひとつのレシピをよく見ると、実はどれも簡単で、おいしくて、気取らない、ごくごく普通の主婦の目線で考えられた家庭料理ばかり。私はそんなレミさんのレシピが大好きだ。
8月に発売された『平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる』(平野レミ/主婦の友社)も、レミさんが家族のために作ってきた料理の中から手軽で楽しい気分になれるレシピを厳選して紹介している。
レミさんは家族と向き合う際、料理を通してスキンシップならぬ、“ベロ(舌)シップ”を大切にしてきたという。それが功を奏してか、2人の息子さんたちはレミさんの料理を食べてすくすく育ち、結婚して離れ離れに暮らすようになったら今度は、上野樹里さん、和田明日香さんらお嫁さんたちがレミさんの料理を受け継いで、今ではお互いに手料理を食べさせ合うようないい関係にあるそうだ。
レミさんの料理をみんなで囲み、いつも賑やかな和田家の食卓。本書を開くとそんな楽しい食卓に招かれたような気分になる。
料理はすべて和田家で撮影! 食器もレミさんのお気に入り
最初の章で紹介されているのは、レミさん流の世界の料理。海外旅行が大好きなレミさんが日本人の舌に合うようにアレンジした簡単で楽しいレシピが並んでいる。
鶏もも肉と春巻きの皮で手軽に作れる「ペキンじゃない ペテンダック」、いちいち包まない「食べれば小籠包」、えびの煮汁で春雨を戻す旨みたっぷりの「ヤムヤムおいしいヤムウンセン」。本場のおいしさはちゃんと味わえるのに、スーパーで手に入る材料で簡単に作れてしまうレミさんらしいレシピの数々は、料理に自信がなくても「これなら作ってみたい!」と思わせてくれる。
ちなみに本書に掲載されている料理はすべてレミさんのお宅で撮影されたもの。器もレミさんのコレクションの中から使用されており、器選びや盛りつけの参考にもなりそうだ。(和田誠さんがデザインしたかわいい器も必見!)。
レミさんならではのひらめき料理もたくさん!
「料理は大好きだけどめんどくさいのは嫌い」というレミさんの料理は、図らずも時短&大胆。小さめのフライパンに生地を全部流し入れて焼くだけの「食べればたこ焼き」、材料を一度に鍋に入れて作る「手間0分めん」のような手間いらずのアイデア料理は、忙しい日々をおくる人にとって毎日頑張る自分を支えるお助けレシピになってくれそうだ。
個人的に気になったのは、豚の薄切り肉をかつおに巻いて揚げた「トンカツオ」や、カジキマグロをはんぺんと一緒に春巻きにした「おさかな春巻き」など、魚を上手に使った料理。うちの息子は魚が苦手で食べさせるのにいつも苦労するのだが、他の食材と合わせたこんなレシピなら魚嫌いの子どもでもおいしく食べてくれそうな気がする。
“もったいない精神”が生んだミラクルなもう1品も
野菜の皮やきのこの軸の部分など普通は捨ててしまうような部分も、レミさんの手にかかるとおいしい料理に生まれ変わる。
例えばえびの殻は冷凍してとっておいてスープに、しいたけの軸はボウルの底などでたたいてバターじょうゆと一緒にレンチンすればいいおつまみに。大根の皮や葉も、レミさん宅では漬け物やふりかけにして食べ切っているという。
本書には「野菜を肉の3倍食べる」という和田家の家訓にもとづいた野菜たっぷりの料理や、家族に愛され続けてきた和田家の定番レシピも掲載。また最後の章では和田誠さんとのエピソードや毎日の生活ぶりなど、意外と知らないレミさんのプライベートな一面も紹介されている。
「料理は、『心』の栄養にもなるようで、作る人と食べる人が『おいしいね!』でつながると絆も深まります」と本書の中で語るレミさん。キッチンから幸せを発信し続けるレミさんのレシピ本を手にとれば、普段忘れがちな料理の楽しさやおもしろさがきっと再発見できるはず!
文=齋藤久美子