親の預貯金が認知症で凍結!?「知らなきゃ泣き見る」 超裏ワザで1円でも安く介護を乗り切る!!
公開日:2022/9/9
そろそろ親の介護を考えないと…そう思ったらまず頭に浮かぶのは、自宅介護か施設に預けるかといった「介護の方法」かもしれない。だが同時に考えておいたほうがいいこと、それは「介護のお金」の問題だ。よく介護の本には「親の介護は親のお金で」と書かれてあり、すでに心構えはできている人もいるだろう。しかし、そこには大きな穴があるので要注意。もし親が認知症になってしまってから介護を考えようとすると、認知症を理由に親の預貯金が凍結されてしまい、利用しようにも利用できない状況に追い込まれることがあるという。
8月25日に発売された『増補改訂版 親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(鳥居りんこ/双葉社)は、そんな想定外の出費や大ピンチ、高齢者詐欺、金喰い虫と化した “負動産”売却問題など、実際に著者が母親の介護で直面したお金のトラブルが満載。あらゆる情報を駆使し、「介護ビンボー」を徹底回避するための凄腕テクニックをわかりやすく指南してくれる一冊だ。
実は著者も、認知症の母親の代わりにATMで預金を下ろそうとしたら、教えられた暗証番号が違って冷や汗をかいた経験があるという。本書ではその時のことも赤裸々に振り返っているが、その展開はかなりハラハラ。「やばい、うちも前もって考えなきゃ」と思わずにはいられない。
本書の素晴らしいところは、そうした自らの痛恨の経験(特にお金関連)をふまえ「親の具合が悪くなる前に最低限やっておきたいことチェックリスト」をまとめてくれていることだ。親の資産の内容や書類の確認などが軸となるが、ざっと目を通すと「キャッシュカードの暗証番号の確認」や「保険証書や有価証券の有無と場所の確認」「定期預金があれば普通預金に切り替える」など、なかなかデリケートなポイントが多い。親子の関係にもよるし、ちょっと気後れしそうな感じもあるが、いざという時に泣きを見ないためにも、ここは心して確認しておきたいもの(ちなみに「銀行の家族カードをつくっておく」「マイナンバーカードの場所を押さえておく」は最重要とのことだ)。
なお本書のコンセプトは「物価高の折、介護費用は1円でも安く済ませて、1円でもトクをしよう!」とのことで、手続きが面倒でも申請すれば 超過分の払い戻しが受けられる公的なお金についても、きちんとまとめてくれているのがありがたい。たとえば月の介護の自己負担額が上限を超えると払い戻される「高額介護サービス費制度」、1年間の医療・介護の自己負担額が上限を超えたら払い戻される「高額医療・高額介護合算療養費制度」などいろいろ(実際に著者は後者を利用して6万円ほど払い戻しを受けたとのこと)。条件や必要書類など詳しくは本書で確認してほしいが、あらかじめ知っておくと安心なのは間違いない。
実は著者はこうした情報を介護しながらキャッチしたため、大いにふりまわされた。そしてその経験があるからこそ、こうした本を書いてくれたわけだ。「増補改訂版」が出るのも、本書の内容がいかに切実に求められているかの表れだろう。紹介されている超裏ワザの数々はとにかく説得力というか切迫力大。老齢の親を持つ世代なら、読んでおいて損はないはずだ。
文=荒井理恵