キャリアに迷う人に読んでほしい! 今秋ドラマ化作品の続編 『北欧こじらせ日記 移住決定編』

マンガ

公開日:2022/9/11

北欧こじらせ日記 移住決定編
北欧こじらせ日記 移住決定編』(週末北欧部chika/世界文化社)

 10月4日にテレビ東京系でスタートするドラマ『北欧こじらせ日記』。著者・週末北欧部chikaさんの北欧愛と、その愛をモチベーションに唯一無二のキャリアを築いていく過程などが描かれた同名のエッセイが原作です。主人公を演じるのは、AKB48の本田仁美さん。テレビドラマ2度目の出演にして主役、また自身も韓国という異国の地で夢を追った経験のある彼女がchikaさんを演じる点でも注目を集めています。

 そんな話題の1冊『北欧こじらせ日記』の続編となるのが、『北欧こじらせ日記 移住決定編』(週末北欧部chika/世界文化社)。chikaさんがハマったフィンランドとの出会いから、自分のキャリアと向き合って“フィンランドで寿司職人として働く”というオリジナルな夢を見つけるまでを記した前作からその先へ。今作では実際に寿司修業を始めながら移住の決意を固めるまで、就活を経て実際にあこがれの地で寿司職人として働く様子などが描かれています。

 前作と今作共通の魅力は、chikaさんのフィンランドへの愛が伝わってくることだけでなく、フィンランドを仕事の場として生活の一部にする方法を考え抜き、夢を見つけるところ。そして“フィンランドで寿司職人になる”という、当時魚も捌けなかったchikaさんにとって大きな夢を叶えるまでの道筋が描かれていることです。

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 副業・在宅・フリーランス……多様な働き方が選択できる今、「自分のキャリアはこのままでいいのかな?」という漠然とした不安を持つ人も少なくないはず。そんな人にとって海外移住のうえ未経験業界に飛び込むという、大きな夢を持つchikaさんの生き方は、一見縁遠いものに思えます。しかし本書をじっくり読むと、自分の夢が見つからない時に参考になる要素がたくさん。気になることをどんどん試してみる“週末ギャップイヤー”や、なかなか夢が叶わず焦ってしまう時は一旦ひと休みして“モラトリアム期間”を設けること。毎日英語を勉強することが辛くなった時には、必ず達成できるミニマムの目標を設定するなど、夢がない人、夢はあってもなかなか叶わず焦っている人など、人生のどんなステージにいる人にも“なるほど”と思う部分があるはずです。また、自分のキャリアを長期的な視点で捉えられるchikaさんならではの、ここぞという時を逃さない勢いと息抜きのバランスは、メンタル面でも“あなただけのキャリア”を目指す後押しをしてくれるはず。

 そして前作に引き続き、フィンランドのおススメ情報や移住の具体的な経験談などお役立ち情報が満載。特に今回はコロナ禍でフィンランドに行けなかった期間に出会った、フィンランド人のペンパルとのやりとりの様子が俊逸です。離れていても、出会ったことがなくても、現代の私たちはここまで繋がれるんだという感動があるのと同時に、自分の国のお菓子を送りあい、WEBカメラを繋いで開封しあうやりとりは、読んだら「やってみたい!!」と思うはず。

 ちなみに筆者が本書で一番心に残った言葉は、chikaさんが急性膵炎で入院した時に職場の上司から言われたという「神様が休めと言ってるんだよ。その意味は、ずっと後に分かる」との言葉。自分のやりたいことがわからなくなったり、子育てや介護で自分の人生に向き合う余裕がなくなったり。そんなときでも腐らずに目の前のことに真剣に取り組んで、それでも辛くなったらひと休みして……そうしていればいつかなにかに繋がっていく。そう考えたら、肩の力を抜きながら自分の人生と楽しく付き合っていけそうな気がします。

文=原智香