「もし恐怖がなかったら何をする?」全世界2800万人が読んだ名著『チーズはどこへ消えた?』を5分で紹介!
更新日:2022/9/22
ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトしたベストセラー『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン:著、門田美鈴:翻訳/扶桑社)をご紹介します。
こんな人にオススメ!
●新しい仕事や環境など「変化」に不安を感じる人
●つい「現状維持」にこだわってしまう人
●最初の一歩がなかなか踏み出せない人
3つのポイント
要点1
本の中心は「二匹のネズミと二人の小人の寓話」。二匹と二人は「迷路」(会社、地域社会、家庭などの象徴)の中に住み「チーズ」(仕事、家族、財産、健康、精神的安定などの象徴)を探す。自分の道を見つけるには? 状況の変化にどう対応? シンプルな寓話は多くの示唆に富む。
要点2
社会の変化はむしろチャンスと捉えよう。自分の人生は自分しか変えられない。私たちの新しい可能性(チーズ)は変化の先にある――寓話は私たちに勇気を与えてくれる。
要点3
2000年の初版より20年以上。本書は世界の2800万人に読みつがれたベストセラー。
プロフィール
著者:スペンサー・ジョンソン
医学博士・心理学者。心臓のペースメーカー開発にも携わる。さまざまな大学や研究機関の顧問をつとめ、シンクタンクに参加する一方、著作活動を続ける。ハーバード・ビジネス・スクールの名誉会員。主な著書に『1分間マネージャー』(共著)、『1分間意思決定』『人生の贈り物』ほか。
訳者:門田美鈴(かどた・みすず)
翻訳家、フリーライター。主な訳書にスペンサー・ジョンソン『人生の贈り物』『1分間意思決定』、ハリー・デント『2000年 資本主義の未来』ほか。
●自分のチーズが大事であればあるほどそれにしがみつきたがる
ネズミのスニッフとスカリー、小人のヘムとホーは、毎朝きっちり迷路に出かけ、自分たちの特別なチーズを探しつづけ、長い苦労の末に好みのチーズが大量にある場所を見つける。すっかり安心して暮らしていたある日、突如としてそのチーズは消えてしまう。ネズミたちはすぐに本能で次のチーズを探しに出ていったが、小人たちは「なぜこんなことに」と嘆くばかり。人は愛着のあるものや日常がなくなることは認めにくいし、むしろそれに執着してしまうのだ。
●変わらなければ破滅することになる
そのままでは破滅するかもしれなくても「事態を見守ったほうがいい」と動かない人はいる。この物語ではヘムがそのタイプ。「物事は変わることがある。新しいチーズを探しに進まなければ」といくらホーが訴えても動かず、結局ホーはひとり迷路へと向かう。恐怖に足はすくんでも「なすがままになっているのではなく、自分でなんとかしようとしているのだからずっといい」とホーは自分に言い聞かせる。
●つねにチーズの匂いをかいでみること。そうすれば古くなったのに気がつく
考えてみるとチーズは一夜にして消えたわけではなく、何か変化があったはずだ。「もっと注意して、それに気がつくようにしなければ」とホー。どんな物事も変化する。大事なのは変化を予期し、適応する準備をしておくことだ。
●新しい方向に進めば新しいチーズが見つかる
やっと見込みがありそうな大きなチーズを見つけても、中は空っぽということもある。どんなにくじけそうになっても、迷路に足を踏み出した時の思いに立ち返り、ホーは先にすすむ。
●恐怖を乗り越えれば楽な気持ちになれる
新しい道に進むのは怖い。先に何があるのか、何もないかもしれない……だがそんな悪い考えも恐怖がひきおこす。恐怖がなければ自分は何をするだろうと問い、答えにしたがって行動すると、新しい方向が見えてくる。さらに事態がよくなるように自分の理想をイメージしてみよう。
●古いチーズに早く見切りをつければそれだけ早く新しいチーズが見つかる
ある日、ホーはこれまで知らなかった美味しいチーズのかけらを見つける。だが、それがあったはずの場所はすでに誰かが食べ尽くした後だった――もっと早く現実に見切りをつけていたら、このチーズを手に入れたのは自分だったかもしれない。
●チーズがないままでいるより迷路に出て探したほうが安全だ
人が恐れている事態は実際には想像より悪くないし、自分の心の中にある恐怖のほうが現実よりひどかったりもする。思いきって出かけてみれば少しずつチーズは見つかるし、その先の予測だってできるようになってくる。
そうしてチーズを探しにさらに「迷路」の中をすすむホー。この先、彼はどう行動し、どんな選択をしていくのか……。そして、彼が求める“チーズ”は見つかるのか。予期していようといまいと変化が起きるのは自然のことだが、それを受け入れられるかはその人次第。“考え方”を変えること、そしてそれが心と行動にどんな変化をもたらすのかを暗示する。
文=荒井理恵