エゴイストが磨かれて世界一のストライカーに? アニメ化も話題の新感覚サッカー漫画『ブルーロック』
公開日:2022/9/24
※この記事は最新刊までの作品の内容を含みます。ご注意の上お読みください。
サッカーという競技は点を取る選手=“ストライカー”さえいれば勝てるわけではない。相手が点を取りにくるのを防がねばならないからだ。だが、勝ち続けて優勝を争うようなチームには“ストライカー”がいる。点を取れなければ勝つことはないからだ。これもまた事実である。
『ブルーロック』(金城宗幸:原作、ノ村優介:漫画/講談社)は、日本サッカーを世界一にするために、“ストライカー”を育成するプロジェクトを描いた新感覚のサッカー漫画だ。そのプロジェクトの目的は「世界一のエゴイストフォワード=世界一のストライカー」を生み出すこと。
高校生ストライカーたちが「ブルーロック」(青い監獄)という施設に集められる。そこでさまざまな選考でエゴイスティックに評価を高め、「デスゲーム」のような文字通りの“蹴落としあい”をする。そして「世界一のストライカー」を目指すのである。
「史上最もイカれたエゴイストサッカー漫画」というコピーで連載開始より大きな話題を集め、このたびテレビアニメが制作された注目作品だ。この記事ではストーリーのまとめと見所を紹介する。初見でアニメを楽しみにしている方には予習に、原作を読んでいる方には復習にしていただきたい。
累計発行部数1000万部超!テレビアニメ化!話題のイカれたエゴイストサッカー漫画
原作は『神さまの言うとおり』『僕たちがやりました』の金城宗幸氏。漫画を『ドリィキルキル』のノ村優介氏が担当。サバイバルシチュエーションのジャンルを手掛けてきたふたりが、コンビを組み「デスゲーム」のようなヒリヒリする生き残りストーリーを描く。
第45回講談社漫画賞・少年部門に輝き、累計発行部数1000万部を突破(2022年9月時点)と乗りにノっている本作がこのたびテレビアニメ化となり、いよいよ2022年10月に放送がスタートする。
キャストは主人公・潔世一(いさぎ よいち)役に浦和希。共に戦う蜂楽廻(ばちら めぐる)に海渡翼。國神錬介(くにがみ れんすけ)役に小野友樹。凪誠士郎(なぎせいしろう)役に島﨑信長。スタッフは監督に「パワフルプロ野球 パワフル高校編」を手掛けた渡邉徹明。シリーズ構成・脚本に「イジらないで、長瀞さん」「フルーツバスケット」の岸本卓。メインキャラクターデザインは同じく「フルーツバスケット」の進藤優。アニメーション制作はエイトビットが担当する。
一気に予習! 復習! “青い監獄”で繰り広げられるエゴイストたちのサバイバル
日本がサッカーW杯で優勝するために“あるプロジェクト”が立ち上げられた。それが“青い監獄”(ブルーロック)である。日本の積年の課題は決定力不足。そこで絶対的な点取り屋、ストライカーを生み出すために、ストライカー養成機関・ブルーロックに日本全国から高校生プレイヤーたちが集められた。
謎のコーチ、絵心(えご)は、彼らに「世界一のエゴイストでなければ、世界一のストライカーにはなれない」と告げる。選手たちはエゴをむきだしにして競い、勝ち続ける必要がある。負ければブルーロックを去るのはもちろん、永久に日本代表への道を断たれてしまうからだ。
主人公・潔世一はこのブルーロックの“エゴイズム・セレクション”で頭角をあらわし、ライバルでもある仲間と競い合い、その能力を開花させていく――。
一次選考
11人ずつ組んだチームで行う、総当たりのリーグ戦。潔は全員がフォワードで行う試合に苦労しつつも戦う。最大のライバルになるのは、トラップの天才・凪。彼を擁するチームと、一次選考突破をかけた熱闘を繰り広げる。
二次選考
一次選考を突破した選手たちは二次選考へ進む。最初に3対3のゲームを行い、勝者側が敗者のうち一人を引き抜いていく「奪敵決戦」(ライバルリー・バトル)に参加した潔は、ブルーロック最高評価のストライカー・糸師凛(いとし りん)と出会う。潔は凛にまったく相手にされず試合も敗れるが、再起と成長を誓い立ち向かい続け――。
三次選考~U-20日本代表vs“青い監獄”11傑戦
二次選考を勝ち抜いたストライカーたちは、チームを組み、同世代のU- 20(20歳以下)日本代表とスペシャルマッチを行うことになった。海外のトッププレイヤーたちとの試合、適性試験(トライアウト)を経て、潔はスターティングメンバー=“青い監獄”11傑に選ばれる。試合で彼らの前に立ちふさがったのは海外クラブの下部組織に所属している凛の兄、糸師冴(いとし さえ)だった。この世界基準の天才が繰り出す異次元のゲームメイクに翻弄される潔たち“青い監獄”11傑。この死闘で勝利を掴めるのか。
“青い監獄”計画第二段階「新英雄大戦」(ネオエゴイストリーグ)
U-20日本代表との試合が終わり、“青い監獄”計画は第二段階を迎える。潔たちは欧州5大サッカーリーグから1つを選び、そのリーグチャンピオンクラブの下部組織から選抜されたチームに所属する。その5つのクラブによるリーグ戦が「新英雄大戦」。新たな世界一のストライカーを創るこの戦いは、リアルタイムショー「ブルーロックティービー」として全世界に配信される……。
4つのステージを戦ってきた潔たちの戦いは終わりが見えない。U-20W杯(同世代限定の世界選手権)も控えており、最終的にはA代表(サッカー日本代表)でW杯を目指さねばならないのだ。
最新単行本20巻では、潔が選んだドイツの強豪クラブ「バスタード・ミュンヘン」が、イングランド「マンシャイン・シティ」と激突する。イングランド仕込みの肉体革命によりパワーとスピードを進化させた、凪をはじめとするブルーロックメンバーが潔の前に立ちふさがる。世界中に自らのプレーが晒されるルールのなか、潔は己の価値をアピールし、真の「エゴイスト=ストライカー」に到達できるのか……。
日本の「ブルーロック」は、間違いなくフットボールの世界一熱い場所となっている。この熱さがアニメで“動く”のかと思うとワクワクがとまらない。潔たちストライカーたちの覚醒がアニメでどう表現されるのか。キックオフまでもうあとわずかだ。
文=古林恭