すぐ緊張する、不安になる…。呼吸法やセルフケアで心のザワつきと上手に付き合おう
公開日:2022/10/10
緊張しやすかったり、心配性で不安になりやすかったりすると、日常生活の中で心がザワつくことが多い。私自身、そうした性格であるため、心穏やかに過ごせない日の多さに苦しめられていた。
そんな時、出会ったのが、心の在り方を変えられそうな『パニックくんと不安くん ―パニック障害・不安障害を自分で治す方法―』(小塚高文/自由国民社)。
著者の小塚高文氏は、月間500人が訪れる鍼灸院を経営する鍼灸師。パニック障害や不安障害も専門にしている。
本書では医師監修のもと、イラストを交えながら、乱れた心を整える呼吸法やセルフケアを紹介。パニック障害や不安障害の人に向けた本だが、病院でそうした病気であると診断されていない人も、今より楽に毎日を送れるヒントが得られるはずだ。
不安を解消するヒントは「呼吸法」にあった!
なぜ、不安障害やパニック障害は起きるのか。著者いわく、それには呼吸が深く関係しているのだとか。
不安は、体の緊張によって呼吸が速く・浅くなることで起きると指摘。呼吸が浅くなると心臓の動きが速くなり、それを脳が緊張状態であると捉えることで精神的に不安な状態になってしまうそう。
過去にパニックを起こしたことがある人は、呼吸が浅くなることで不安が生まれると、再び発作が起きるのではないかと思い、脳の中で「呼吸が浅い=不安」「不安=パニック」という負のサイクルが生まれてしまうのだとか。
だから深く呼吸ができるよう、呼吸の仕方を見直すことが不安を解消するには重要なのだと著者は語る。本書では、自宅で手軽にできる呼吸改善法を多数紹介。そのひとつが、肋骨の隙間(肋間)を広げる「超呼吸法」だ。
この呼吸法は縮こまっていた肋間が大きく広がるため、深い呼吸ができ、日頃、浅い呼吸しかできていない人の「脳の認識」を書き換える効果も期待できるそう。
呼吸が浅い人は脳が「自分は常に呼吸が浅い」という認識をもっており、深呼吸しようとしても深く吸うことができなかったり、パニック発作を起こした時にゆっくり呼吸をしようと思っても難しかったりするそう。
だが、超呼吸法は瞬間的に深く吸えるようになるため、「実は深く吸える」ということを瞬発的に脳に教えることができるのだとか。
行う時は、大きく息を吸った後で普段の姿勢に戻って息を吐くのがポイント。こうすることで、「普段の姿勢でもこんなに深く呼吸できた」と脳に覚えさせるのだという。
自宅だけでなく、外出先でも気軽にできるこの呼吸法は、不安を感じた時に頼れるお守りのような存在になってくれそうだ。
1日1回、30分程度の散歩がおすすめ!習慣化したい「心のセルフケア法」
著者は呼吸法だけでなく、日常生活の中で落ち着いた自分を保ち続けられるセルフケアや生活習慣も紹介。
著者によれば、パニック障害や不安障害になっている人は自律神経の乱れによって、血流と呼吸も大きく乱れているという。そのため、血流と呼吸を整える生活習慣を日常生活の中に取り入れることも重要。
例えば、1日最低1回、30分ほどの散歩は効果的。散歩は一定のリズムで動くため、呼吸にも一定のリズムが生まれる。このようにリズミカルな動きをすると、セロトニン神経が刺激され、呼吸はだんだん深くなっていき、吸って吐いて、吐いて吸って……といういい呼吸の循環が生まれるという。
散歩は「第2の心臓」とも言われるほど血流において重要な役目を担う。ふくらはぎが動くため、血液が心臓からふくらはぎへ、そして心臓に戻って……という、いい血液循環も得ることができるそうだ。
また、デジタル社会の今、意識して実施したいのがスマホやパソコンを使う時に「目線を上げる」というひと工夫。著者いわく、猫背で背中が丸まると、みぞおちが圧迫され呼吸が浅く・速くなってしまうそう。
そのため、目線が下がって姿勢が丸まらないよう、スマホを見る時は高めの机で腕を固定する、少し高めの台にノートパソコンを乗せてモニターの位置を上げる、などといった工夫をしていこう。
本書には、真面目できちんとしている人が肩の荷を下ろせるセルフケアが満載だ。ぜひ参考にして、不安になっても穏やかな心を保ち続けられるきっかけを得てほしい。
文=古川諭香