チンパンジー100匹、ヒト100人がそれぞれ無人島で暮らすと? 経済の始まりはここから!/東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!

暮らし

公開日:2022/10/25

③どうやって分ける?

答えは「生きていける。ただし、住民全員が仲の良い家族のような関係だったら」です。

ちゃんとみんなで「平等に分け合える」なら、食料も家も日用品もサービスも人数分足りているので、誰かが飢え死にしてしまうことはないでしょう。
実際、お金が存在しなかった時代には、原始人たちは小さなグループで話し合って、みんなで仲良く分け合いながら暮らしていたのですから。

しかし100人もいるとそうはいきません。問題が発生します。
「もっとたくさんイモをよこせ」
「あいつの家の方がいい。交換してほしい」
「あの人よりたくさん魚を獲ったのに、あの人と同じ服しかもらえないなんて不平等だ!」
などと文句を言う住民が現れはじめるのです。

このように人数が多くなってくると、みんなで食料や家や日用品やサービスを、仲良く分け合うことはだんだん難しくなってくるのです。

さらに、役割分担(仕事)を決めるのも大変です。
「100人分のイモを作るのは大変だから、もっと農家を増やして」
「職人は危険だからやりたくない。農家かサービス業をやりたい」
「ヒマなら町のゴミ拾いをやってよ」
「いつ誰が橋を作ってくれるの?」
仕事によって大変さが違いますし、また住民にとっての「必要度合い」も変わるので、それぞれの仕事を誰がやるのか、何人でやるのか、仲良く決めるのは困難です。
人数が多ければ多いほど、「資源や仕事をバランスよく分配する」のは不可能に近くなります。

東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!

そこで住民たちはリーダーを選びました。

そしてリーダーが
「あなたは怠けていたので、イモを1個とボロボロの服」
「あなたはよく働いたので、イモを10個と素敵な服、ヘアカットもつけましょう」
と決めていくことにしたのです。

しかし、これでもうまくいきません。
リーダーが良い人だとは限らないからです。
住民たちから集めた食料・モノ・サービスを、
「自分の得」あるいは「自分が好きな住民にとって得」
になるように分配するかもしれません。

また、リーダーが良い人だとしても、住民が100人もいると、リーダーは全員の「がんばり度」を正確に把握することはできません。
「隣の畑よりおいしいイモを作ったのに」「壊れにくい椅子をたくさん作ったのに」「島で一番面白い物語を作ったのに」と不満も出てきます。

100人は話し合いました。

そしてついに全員の損得を調整してくれる、「システム」を開発しました。

そのシステムさえあれば、食料・モノ・サービスを平等に分配できる。仕事の役割分担もスムーズにできるようになる。
そしてみんなが暮らしやすくなる。
そう期待しました。

さて、このシステムとはどういったものなのでしょうか?

東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!

<第3回に続く>

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