100人の島で100人が生み出す食料・モノ・サービス。バランスよく分けるシステムって?/東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!
公開日:2022/10/26
わかっているつもりの経済用語や数字…改めて、自分の暮らしとの関わりから、シンプルに考えてみませんか?
『東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』は、日本や世界のお金の動きを「100人の島で起きた出来事」としてぎゅっとまとめ、わかりやすく解説しています。
難しい経済の話をシンプルにスケールダウンすることで、全体像から経済の仕組みをひもときます。ユーモラスな動物たちの図解入りだから、大人はもちろん、経済について初めて学ぶ中高生でも楽しく読めて「経済がわかる自分」になれる入門書です。
食料・モノ・サービスを平等に分配し、仕事の役割分担をスムーズに行うために取り入れたシステムとは?
※本作品はムギタロー著、井上智洋、望月慎 監修の書籍『東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』から一部抜粋・編集しました
④ルールとお金を作ろう
100人の島をもっと暮らしやすくするために、住民たちが取り入れようと決めたシステム。
それが「国」です。
100人の島に「国」というシステムを取り入れるため
住民たちはまず基礎となる「国のルール(憲法)」を決めました。
国のルールは
「好きな仕事を選んでもいい」
「自由に表現してもいい」
「みんなで幸せに生きられることをめざす」
「人の思想を邪魔しちゃダメ」
「戦争はしない」
などの絶対に守った方がよさそうなルールで、よほどのことがない限りあとから変えることはできません。
それから「住民のルール(法律)」も必要です。
住民のルールは
「モノを盗んではいけない」
「モノを壊したら弁償する」
「人の家に勝手に入ってはいけない」
「人をだましてモノを売ってはいけない」
「子供を働かせてはいけない」
などの細かいもので、あとで変えようと思えば「国のルール(憲法)」よりは柔軟に変えることができます。
さらに住民たちは、「お金」というアイテムを取り入れました。
「お金」があることによって、
「イモをみんなでどう分けるか?」ともめることはなくなりました。
いっぱい食べたい人はたくさん働いて、たくさんお金を稼いで、たくさんイモを買えばいいだけだからです。
ルールとお金によって、「モノやサービスの分配」だけでなく、「役割分担」の問題も解決されました。
この島ではルールによって、住民の誰もが自分の好きな仕事につくことができます。
そのため「みんなに必要とされているけれど、大変で誰もやりたがらない仕事」は、
どんどん人手不足になっていきます。
しかし、その仕事がみんなに必要とされていることは変わらないので、人手不足になるほど、たくさんお金を稼げるようになります。
たくさん稼げるとなると、またその仕事をやりたがる人が増えて、自然に人手不足が解消されるのです。
さらに、もっとイモを食べるためにお金を稼ぎたいから、
もっと良いモノを作ろう、
もっと良いサービスをしよう、と
住民ががんばるようになり、
島全体のモノやサービスが良くなっていきます。
このように、
「国を作って、ルールとお金を取り入れる」ことによって、
「モノとサービスの分配」と「役割分担」が
スムーズにできるようになりました。