気配りは「ほどほど」で。人間関係での“力の抜きどころ”をおさえよう/気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント
公開日:2022/10/27
1 だれも私のことなんて気にしていないとしたら
私たちは、まるで自分にだけスポットライトが当たっているかのように、周囲の人たちから浮き上がっていると感じてしまうことが少なくありません。
心理学では、こういう心の働きのことを、「スポットライト効果」と呼んでいます。
けれども現実には、まわりの人たちは、自分のことを気にかけるのが忙しくて、他人のことなどぜんぜん気にしていないものです。
つまり、周囲の人たちは、あなたのことなど、これっぽっちも気にしていないことがほとんどなのです。
ですから、「私はどんなふうに見られているんだろう?」などと考えて、気にしながら生活する必要は、まったくないというわけです。
「そんなのウソでしょう」と思いましたか?
じつはこれ、心理学の実験でもすでに確認されているんです。
「スポットライト効果」
コーネル大学のトーマス・ギロヴィッチは、大学生に、「バリー・マニロー」という無名のミュージシャンの写真がでかでかとプリントされた、とても恥ずかしいTシャツを見せて、「キャンパス内を歩いて一周してきてくれ」とお願いしました。それから実験室に戻ってきたところで、こうたずねました。
「通りすがりに出会った人たちは、どれくらいあなたのことを見ていたと思いますか?」と。
すると、参加者たちは、「47%の人は、確実に私のことを見ていたはずだ」と推測したのです。
じつはこのとき、別の実験協力者が参加者の後からこっそりついていって、通りすがりの人に出会うたびごとに、「今通りすぎた人のTシャツを見ましたか?」と確認してまわったのですが、このおかしなTシャツに気づいた人はわずかに24%だったということです。
つまり、私たちはとても自意識過剰なところがあって、たいして見られてもいないのに、「絶対に見られているはず!」と思い込んでしまうところがあるんですね。
このように極端に恥ずかしいことがなくても、私たちは、つい自分のことをあれこれと気にしてしまうわけですが、現実には、周囲の人たちはそんなに他人のことなど気にかけていないもの。ですから、よけいな心配はしなくとも大丈夫ですよ、と心理学的に保証できるわけです。
「なるほど、自分が人の目を気にしすぎるのは、スポットライト効果なのね」と思えば、少しは心の重荷も減らせるのではないでしょうか。