気配りは「ほどほど」で。人間関係での“力の抜きどころ”をおさえよう/気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント
公開日:2022/10/27
2 「おかしい」「みっともない」と思っているのは、自分だけかも
あなたは人前で話すのが得意なほうでしょうか。それとも苦手なほうでしょうか。
人前に立つと、顔が真っ赤になってしまい、声が震え、指先も震えてしまう人がいます。そういう人は、会議で意見を求められたり、朝礼でスピーチをさせられたりするのをひどく嫌うものです。
「みっともない姿を見せたくない」
「恥ずかしいところを見せるのはイヤだ」
と思うのですね。
読者のみなさんも、そんなふうに気にすることがあるかもしれません。
けれども、この心配についてもまったくの杞憂です。
みっともないとか、おかしいと思っているのは、じつは自分だけ。他の人は、まったくそんなふうには思っていないのですから、心配いらないのです。
いったいどういうことでしょうか。
「人は自分に対して〝厳しい評価〟を下してしまう」
カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のリン・アルデンは、意見を述べるのが得意な人と、苦手な人に集まってもらい、自分の意見を述べてもらう姿をビデオに録画させてもらいました。
それから、そのビデオを別の学生に見せて評価してもらう一方、意見を述べた人にも自己評価してもらいました。
その結果、意見を述べるのが苦手な人は、「私は手が震えて、声が震えて、ものすごく情けない姿をさらしている」と自己評価しました。
ところが、ビデオを見て評価した人は違いました。
なんと「この人は、きちんと自己主張ができているし、スムーズに話せているし、不安も感じていないように見える」と評価したのです。
ひどいとか、おかしいと思っているのは本人だけで、他の人はぜんぜんそんなふうに思っていないということが実験的に確認されたと言えるでしょう。
自分の声を録音したものを聞くと、たいていの人は、恥ずかしいと思うもの。「えっ!?私の声ってこんな声なの?」と感じた経験、ありますよね。
ところが、他の人はそうは思わず、ごく普通の声としか思わないはずです。
どうも私たちは、自分自身に対しては、ものすごく厳しい評価を下しやすい傾向があるようなのです。
「私は人前で話すのが苦手」と思っている人はきっとたくさんいると思いますが、現実には、「スピーチが本当にヘタ」という人はほとんどおらず、本人の「否定的な思い込み」であるケースがほとんど。
実際には、そんなにヘタでもなければ、他の人もおかしいなどとは思っていませんから、大丈夫なんですよ。
<第2回に続く>