40代後半、妙齢女子は何かと心が乱れがち。大事なのは女同士の心の支え合い!/大久保佳代子『まるごとバナナが、食べきれない』④

文芸・カルチャー

公開日:2022/10/29

大久保佳代子著の書籍『まるごとバナナが、食べきれない』から厳選して全6回連載でお届けします。 今回は第4回です。家族、恋愛、友情、仕事、そして…ひとりで生きること。数々のバラエティ番組で大人気活躍中の大久保佳代子さんが、「変化と分岐の40代」を食の思い出を通してユーモラスに描きます。“妙齢の女性”たちに元気を与え、「わかる!」「あるある!」と共感を集める等身大の人気エッセイをお楽しみください。年頃ゆえ、女性ホルモンの問題も勃発。気分が乱高下する日々の大久保さん流の対処法は?

まるごとバナナが、食べきれない
『まるごとバナナが、食べきれない』(大久保佳代子/集英社)

咀嚼が面倒で素うどんをすする、大人女子の憂鬱な休日

乱れがちな妙齢女子の心。大事なのは女同士の支え合い

Marisol 2021年5月号

 今年もまた五月病の季節がやってまいりましたね。

 ただでさえ、コロナ疲れで気分が滅入るというのに、さらに年頃ゆえの女性ホルモンの問題まで勃発。気分が上がったり下がったり、忙しい毎日を送っております。

 

 40代も後半に差し掛かると、刻々と閉経が近づいてくる足音が。故に周りの妙齢女子達の心もなんだか乱れがち。

 ついには、あの飲み友・いとうあさこさんまでも「無気力になる日がある」と言い出して。

 過酷なロケで体はアザだらけ、目の下もクマだらけ、それでも常に驚くほど明るく元気……あの気力だけで生きてきた女が‼ 休日は何もやる気が起きなくて「ソファの上でボンヤリとゲームばかりしてしまう」とか言うんですよ‼

 

 で、最近は二人で飲むたびに「今まで頑張ってきたんだから、ぼちぼちゆっくりやってもいいんじゃないか」と互いを慰め合っては気力を養い「でも、結婚もしていないし、仕事が思うようにできなくなると、この先はボンヤリとした暗闇しか見えないよね」とまた落ちる、終わりのない不毛なループを繰り返しているっていうね。

 

 生理前後はイライラしたり落ち込んだり、今までも女性ホルモンに振り回されながら生きてきた私ですが、ここ数年、その振り幅が増幅傾向に。

 ズドンと落ちる時は「何のために生きているんだろう」なんて急に自分の存在意義まで考え始めたりして。

 そんな時はとことんダメ人間になるのが佳代子流の対処方法。ノーメイク、ノー風呂、ノーブラで、思い切り一日ダラダラ。食事は乾燥ワカメをぶっ込んだ素うどんのみ。作るのも面倒なら、もう咀嚼すらしたくないから。

 思考も体の機能も全てシャットダウン。

 

 小腹が空けば棚の奥からいつ買ったかすらわからない化石化寸前のお菓子を発掘して貪り食い、夕方から酒を飲みそのまま就寝。

 朝から晩まで汚物と化し、底辺まで堕落すると、翌日は気分がスッキリ。不思議とまた前を向き歩き出せるっていうね。

 

 基本的に自分の中のモヤモヤは一人で解決。たまにいるじゃない、延々とネガティブトークを続ける人。私の周りで言うとたんぽぽの川村エミコちゃんね。

「私なんて」と落ち込む彼女を「そんなことないよ」といくら慰めても「でも……」を繰り返す。「何回、褒めればいいんだよ‼」っていう。

 褒め言葉というお薬は一回分、話を聞くのは一回まで、それが大人の愚痴ルール。

 それを超えると本当にお清めの塩をまいてやろうかと思いますからね。

 

 この歳まで一人で頑張って生きてきたプライドもあるし、このイライラに他人を巻き込むのが申し訳ないし、甘えたら歯止めがきかなくなりそうで怖い。

 甘え下手な大人女子代表の私ですが、それでも誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらいたい時がある。

 

 そんな時は遠慮なく、今度は私がエミコちゃんのもとへ。そして、グチを吐き出し、巻き込み、気持ちが落ち着くまで、思い切りサンドバッグになってもらいます。それは大人の愚痴ルール違反? いやいや、彼女はいいんですよ。今まで愚痴を聞いてきた貯金があるから。その貯金を切り崩しているだけだから。それに、彼女はめちゃくちゃ励まし上手だから。

 

 心が乱れる繊細なお年頃、大事なのは妙齢女子同士の心の支え合い。時には弱音を吐き合って、前を向いて生きていかないとね♡

「若い頃はすぐに心が回復したのに。最近はその回復力までも衰えがち。そんな日は咀嚼も全て忘れて素うどんを飲み込み、しけったポテトチップスを貪り食い、酒を飲んで寝る。思う存分、堕落すればあとは這い上がるだけ!

<第5回に続く>

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