結婚8年目で5年間セックスレス…夫の不倫や年下の同僚からの「好き」を受けたレス妻が出した答えとは?

マンガ

公開日:2022/10/29

それでも愛を誓いますか?
それでも愛を誓いますか?』8巻(萩原ケイク/双葉社)

 夫婦として、生涯添い遂げる――。幸せの絶頂を過ぎると、かつて笑いながら誓い合った、その言葉が重く感じられることがある。

 結婚は恋愛とは違い、「生活」だ。だから、恋人の頃には見えなかった問題が浮き彫りになり、夫婦であることの意味を考えたり、「この人を選んで正解だったのか」と答えなどない問いを自分に投げかけたりする日もある。

 特に悩みが子どもに関することであった場合は自分だけで解決ができないため、パートナーとぶつかったり、喧嘩すらできないまま悩んだりと、苦しい状況が長く続くことも少なくない。

 そんな思いを抱えている人に、読んでほしいのが『それでも愛を誓いますか?』(萩原ケイク/双葉社)。本作は2021年にドラマ化された、大人の女性に刺さる恋愛漫画。セックスレスによって生まれた夫婦間の溝がリアルに描かれており、夫婦でい続けることの意味も考えさせられる作品となっている。

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結婚8年目の子なし夫婦がセックスレスによって不仲に――

 純須純(35)と夫・武頼(39)は、結婚8年目の子なし夫婦。仲は悪くないが、5年間セックスレス。純は年齢的に妊娠を焦るも、レスについて話し合うことはできず、子どもに関する話題に触れることが苦痛になっていた。

 夫と付き合いだした頃の自分を取り戻したい。そう思い、純はほぼ専業主婦な暮らしをやめ、派遣社員に転身。だが、セックスレスは解消されず。限界な心を隠し、何事もないかのように振る舞う日常を続けていた。

 だが、偶然、武頼が高校時代の元カノ・足立沙織といるところを目撃。これにより、武頼へ不信感を抱き、自分を気にかけてくれる年下の同僚・真山篤郎との距離が近づいていく。

 その後、武頼がこっそり足立と会い、キスをしていたことが発覚。武頼は過ちを反省し、足立と決別するが、夫婦の溝は埋まらない。

 見かねた武頼の上司の計らいにより、純たちは初めて本音を伝え合うことができたが、悩みの根本であるセックスレスは解消できず。純の頭には、離婚が浮かぶようになる。

 そんなある日、子宮頸がんの検査を受けた純は手術が必要であることが発覚。その際、思っていた以上に武頼が自分を必要としていることを痛感するが、退院後、会社の研修を通して再び真山と急接近し、彼への想いが膨らんでいく。

 その態度を見た真山は、告白。純は答えを出すべく、武頼や子どもを持つことに対する本音と、もう一度向き合うことにした。

 そんな怒涛の展開が繰り広げられる本作は、ついにクライマックスへ。最終巻である8巻も、ラスト1ページまで見逃せない。

 曖昧な関係に決着をつけようと考えた純は好きだからこそ、百年の恋も冷めるような汚い自分を見せ、真山に終わりを告げようと考えていた。

 ところが、予想外の出来事が。なんと、真山を妬む同僚・赤城が課長に、純たちが不倫していると密告。純は力を注いでいた案件から外され、正社員登用試験の話も先送りにされてしまう。

 自分の行動が招いたこととはいえ、純は落ち込む。だが、それをいい機会だと捉え、真山を振った後、もう二度と会わないように、自主退職を申し出ることに。その際、ひょんなことから課長と子どもの話に。言われた“ある一言”が刺さって、純は子どもに対する自分の本音に気づき、心が軽くなる。

 一方、真山は純が案件を外されたことを知り、不倫の話を撤回してほしいと赤城に懇願。提示された条件に従い、純と共に力を注いできた案件から手を引いた。

 それを知った純は、動揺。真山へ連絡を取り、初めて彼の部屋へ。そして、自分の中で出した答えをぶつける――。

 結婚と恋愛の間で揺れ動く純が下した決断とは…? それを目の当たりにした時、あなたの中で結婚への価値観が変わるかもしれない。

アラサー以降の女性が生き方も見直せる恋愛漫画

 本作は、自分の在り方についても考えさせられる作品だ。他人の幸せがSNSで簡単に見られる今、自分の日常に不満を持つことは多い。そんな気持ちを友人に話したくなるが、20代の頃とは違い、結婚や出産、離婚などでバラバラの道を歩むようになった友に相談することはなかなか難しい。

 なぜなら、自分が友人の悪気ない言葉で傷ついてしまうように、自身も何かを話すことによって親しい人を傷つけてしまうのではないかという恐怖がアラサー以降の女性にはあるからだ。

 そんなモヤモヤを抱えながら生きている人にこそ、本作が届いてほしい。純だけでなく、武頼や足立、真山が隠している本音を知ったり、彼らの心の成長に触れたりすると、心についた傷が包み込まれるように感じ、新しい自分への一歩を踏み出す勇気も湧いてくるだろう。

 それでも愛を誓いますか――? 読後は、本作のタイトルであるこの言葉を自分に問いかけ、心が軽くなる生き方を探してみてほしい。

文=古川諭香