50代でライターからインスタグラマーに転身! 片づけを通して手に入れた「自分らしく生きる暮らし」
公開日:2022/11/2
自分の人生、これでいいのだろうか…。そんな不安を抱いた時は転職サイトを見たり、ビジネス本でモヤモヤを晴らすヒントを探したりしたくなる。だが、今、目の前に広がっている「暮らし」を見直してみると、新たな道が開けることもあるかもしれない。
『不要なものを手放して、50代からは身軽に暮らす 自分、おかえり!』(しょ~こ/主婦の友社)は、そんな気づきをくれる1冊だ。
著者は、フォロワー数17万人超え(※2022年10月時点)の人気インスタグラマー。実は50歳を過ぎて、20年続けてきたフリーライターを辞め、インスタグラマーに転身した。
本書では、異業種へ飛び込んだ経緯や、我が家をサンクチュアリ(聖域)にするために行った暮らしの工夫、人生の後半戦を自分らしく、軽やかな気持ちで生きるための「思考のヒント」などを紹介。
心に染みるアドバイスが多数ちりばめられ、部屋と心、両方の掃除ができる。
長年住んでいた我が家の「いいところ」に気づいて片づけを開始!
インテリア系のフリーライターとして活躍していた、著者のしょ~こさん。しかし、出版不況で仕事が減少。そんな中コロナ禍となり、家の取材に行けない日が続いて、未来への不安はより募っていった。
だがある日、春の日差しに誘われてベランダに出ると、目の前に気持ちのいい景色が。長年暮らしていた我が家のいいところを知らなかったなんて…。そう思った著者は、忙しさを理由に、すっかり汚部屋になっていた住まいを見直すことに。
すると、2年間で自宅はサンクチュアリと呼びたくなるほど、居心地がいい場所になった。
例を挙げると、単なる作業場でしかなかったキッチンは吟味した道具や器に囲まれることができる場所に大変身。
片づけが憂鬱になりがちなシンクまわりは「今日はここだけを片づけよう」とハードルを低く設定し、コツコツ整理。処分に迷うものは保留箱に入れて別室に置き、1カ月間、目に入れずに生活し、必要度をチェックした。
また、押し入れはふすまを外して、見せる収納に。一番目につくところには古道具の小引き出しやナチュラルなカゴを配置。布団はシンプルな白い布ケースに収納し、スッキリさせた。
こうした片づけを通して、著者の中で考え方が変わっていく。自分に鞭を打つのではない働き方・生き方をしようと思えるようになったそうだ。
今から思えば、人生の半分を過ごす家を「どうでもいい」と扱うことは、自分の暮らしの半分を切り捨てることでした。(中略)ものを捨て、家を片づけて見直したのは、私自身の生き方。片づけは、人生の見直しでした。
そう綴る著者は、片づけが苦手な方に向けた、「片づけ下手による片づけ方法」も伝授。アドバイスを参考に、自宅と心を整理してみてほしい。
等身大の自分を幸せにする「思考のヒント」
50代にして働き方を見直した著者は、本書内で、時代を味方にし無理せず楽しく働くためのコツも紹介。例えば、やりたいことが分からないと悩む人にとって、このアドバイスは心に刺さる。
すべての人が「好き」を仕事にしなくてもいいし、働き方や価値観は人それぞれ。ですがもし、やりたい仕事で生きていきたいと思いながら、それがなにかがわからないという人は、今まで夢中になれたことを思い返してみるといいかもしれません。
また、著者が教える幸福度を高めるための心がけや、“これから”を明るく、軽やかに生きる思考のヒントも胸に響く。
個人的にグっときたのが、「自分らしい小さな船をこぐ」という助言。生きていると、もっと立派な人間にならなければと、自分を追い込んでしまうこともあるが、著者は等身大の自分で、私らしい船をこぐことの大切さを訴えかける。
時代の荒波にもまれながらでも、自分らしい帆を立てた船をおのおのでこぐ。「小さい船でもいいじゃない」と思うのです。
著者の言葉に触れると、もっと肩の力を抜いて生きてもいいと自分を労りたくなるだろう。
「大きな決意」や「ものすごい覚悟」がなくても人は変われるし、変わっていく。そして、これは私だからではなく、だれにでも、いつでも、何歳でも起こりうること。自分らしく生きるきっかけはなんだっていい。
こんな背中を押すメッセージも綴られている本書は、いつ間にか封じ込めた自分の本音に気づくきっかけも授けてくれる。疲れた日や人生に悩んだ日にこそ、手に取ってほしい。
文=古川諭香