人脈は、多ければ多いほどいい――そんな人脈神話に捉われた「出会い癖」は身を滅ぼす?/君は誰と生きるか
公開日:2022/11/14
SNSで気軽に人とつながることができる今、本来大切にすべき人との関係を疎かにしていませんか?
ミリオンセラー『人は話し方が9割』の著者・永松茂久さんの最新刊『君は誰と生きるか』は、「師匠」と「若者」の対話を通して、人間関係の本質を説き明かします。
「人脈」や「いいね!(承認)」の数ばかりを競いがちの現代で、「自分の人生を変えたい」「人生をもっと明るいものにしたい」と考える人に、より良く生きるための勇気と希望を与えてくれる1冊です。
今から17年前、いつものように、東京にいる人生の師のもとに学びに行っていたときのこと――。
※本作品は永松茂久著の書籍『君は誰と生きるか』から一部抜粋・編集しました

(永松茂久/フォレスト出版)
プロローグ ——その出会い癖は身を滅ぼす?
2005年、今から17年前の秋、30歳のある日の朝。
東京のとある下町の商店街を抜けた先の脇道にある、小さな事務所に僕はいた。
テーブルを挟んだその向こう側には、事務所の主が座っていた。
その主とは、後に僕の人生を信じられないくらい素敵な方向に導いてくれることになる大実業家だった。
その人にふと聞かれたこの言葉から、僕の価値観の大転換が始まった。
「初めて会ったとき、君は人と出会うことが何よりも好きだって言ってたよね。行動力とフットワークの軽さが特技だって。今もそうやっていろんな人のところに会いに行ってるの?」
僕は自信を持って答えた。
「はい。行ってます。多くの人から『人生は出会いで変わる』と教えられてきたので」
「そうか……」
あれ?あまり反応が良くないな。何か間違っていることを言ったのだろうか?
僕の頭に少し不安がよぎった。
「それはとてもいいことだね。人生は誰と出会うかで大きく変わる。だからいろんな人に合って話を聞いて見分を広げるといい」といつもならそう返ってくるのに。
人は誰しも、自分の頭の中で「普通はこう返ってくる」と予測しながら話をする。
しかし、その反応がイマイチだったとき、会話での予定調和が狂ってリズムを失ってしまう。
そのときの僕は、おそらく完全にその状態だったと思う。
「あの、僕、何か間違ったことを言ったでしょうか?」
おそるおそる質問してみた。
「いや、君がそれで楽しいならそれでいいんじゃないか。でもね……」
そのあとにどんな言葉が返ってくるかが、そのときの僕にはまったく想像できなかった。
あれこれ考えている僕に対して、その人はこう続けた。
「お金と時間がもったいないな」
「???」

