チャンスは外にしかない? 出会いを無理に広げるよりも、最短で最高のつながりをつくる必須条件/君は誰と生きるか
公開日:2022/11/15
SNSで気軽に人とつながることができる今、本来大切にすべき人との関係を疎かにしていませんか?
ミリオンセラー『人は話し方が9割』の著者・永松茂久さんの最新刊『君は誰と生きるか』は、「師匠」と「若者」の対話を通して、人間関係の本質を説き明かします。
「人脈」や「いいね!(承認)」の数ばかりを競いがちの現代で、「自分の人生を変えたい」「人生をもっと明るいものにしたい」と考える人に、より良く生きるための勇気と希望を与えてくれる1冊です。
商売を始めたばかりの頃は、何かチャンスをもらえるのではないかと人脈づくりに躍起になっていたが…。
※本作品は永松茂久著の書籍『君は誰と生きるか』から一部抜粋・編集しました
チャンスは外にあるのか?
「人脈は広ければ広いほどいい」
26歳で商売を始めたとき、僕は一片の疑いもなく、この言葉を心から信じていた。
だからこそ、人から誘われるイベントやパーティー、交流会に、とにかく足を運んでいた。
スタッフたちと一生懸命稼いだ中で生まれたなけなしのお金を必死に絞り出し、
「すごい人がいる」と聞けば、日本全国どこにでも会いに行った。
プロローグで触れた、質問をくれた大実業家(以下、師匠)の言葉どおり、正直、僕の根底には、「誰かと出会えば人生が開けるチャンスをもらえる」という、下心が満載だった。
つまり、「自分が相手に何ができるのか?」ではなく、「出会った相手から何をもらえるのか?」しか考えていなかったのだ。
相手のメリットを考える、当時の僕にはそんな余裕なんてまったくなかった。
ありがたいことに、この新しい価値観に出会った日から17年経ち、2022年になった今、数こそは多くないが、僕には本当の意味でお互いを研鑽し合い、助け合うことができる大切な人たちがいる。
この文章を書きながら、「そう言えば、その人たちとはどこで出会ったんだろう?」と振り返ってみると、ほとんどが、仕事の現場、もしくはお店にきてくださるお客さんからの始まりが一番多かった。
自分から出会いを求めて行った先で出会った人とのつながりは、ほぼ100%と言っていいほどない。
ということは、無駄に外に出歩いて回っていたときより、自分の仕事に対して一生懸命に打ち込んでいたときのほうが、結果としていい出会いに恵まれていたということになる。
「外へ、外へ。チャンスは外にしかない」
そう思い込んでいたとき、人のつてを利用して頼み込み、仕方なく僕の店に来てくれた師匠と出会えたことで、この人間関係の講義に発展したのだ。
贅沢にもマンツーマンで。
そんな経緯で、シーンはもう一度プロローグの冒頭に戻る。
「君はいろんな人に会いに行って、いったい何がしたいんだい?」
「え?いや、いろんなことを教えてもらえたり、チャンスが広がるかなと思ってます」
「あのね、それは確かにすばらしいことかもしれない。でもね、君が会いたいと思う成功者たちは、君が『ただの出会い好き』なのか、『本当に仕事に打ち込んでいる人』なのかはすぐわかるよ」
数々の成功者のもとを訪ね歩くことに病みつきになっていた当時の僕は、完全に前者の部類だった。
「そもそも、人にチャンスをもらおうってやっきになっている若者より、自分の持ち場で一生懸命人に喜んでもらってる若者のほうが、ずっと魅力的だよ。自分から会いに行くんじゃなくて、わざわざ人が会いに来てくれる生き方のほうがカッコ良くないかい?」
たんたんと語られるその言葉を耳にして、僕は恥ずかしくなってきた。
自分が、よく漫画やドラマなんかで、誰かのおこぼれをもらおうとこびを打っている脇役のように思えてきたのだ。