チャンスは外にしかない? 出会いを無理に広げるよりも、最短で最高のつながりをつくる必須条件/君は誰と生きるか
公開日:2022/11/15
財布はどこに消えた?
「少し刺激が強かったかな?表情が暗いよ」
僕自身、基本的には明るいほうの人間だとは思う。
しかしそのぶん、喜怒哀楽もわかりやすいと、よくまわりの人たちからは言われてきた。
「大丈夫です。ちゃんと聞いてるので、続けてください」
僕は気を取り直して聞く姿勢をつくった。
「君だけじゃなくてね、多くの人が『外へ、外へ』って出会いを求めるんだよ。そのほうが、チャンスがあるように見えるのかもしれないね。確かに外にいけばいい出会いはあるかもしれない。でもね、それには前提条件があるんだよ。何かわかるかい?」
「いえ、まったくわかりません」
「大切な人が何より満足して、自分を温かく外に送り出してくれている状態かどうか、ってことが必須条件なんだよ。そうじゃなくても、もし今、無理して出歩いているとしたら、君にはまだやるべきことが他にあるってことなんじゃないかな?」
「やるべきこと……」
「まだピンときていないね。じゃあ質問しよう。実はね、君はもうすでに手の中に最高の人脈を持っているんだよ。でもそれに気づかないまま、外に行っているんだ。たとえると、財布をカバンに入れたまま、その財布を探し続けている人みたいな状態かもしれない」
やる。よくやる。僕はいつも財布を探す。
他にもある。
例えば鍵をポケットに入れたままそのカギを探しまくったり、メガネを自分の頭にひっかけたまま、メガネを探し続けたりする。
そんなとき、「そこにあるじゃん」と、いつも気づかせてくれるのはまわりの人だった。
「君にとって、一番の人脈ってなんだと思う?」
はて、何だろう?それはあまり深く考えたことがなかった。
「それは、もうちょっとあとで考えることにしようか。それと私はね、あまり『人脈』という言葉が好きじゃないんだよ。どうしてもその言葉には仕事でも人生でも、自分を有利に導くための下心を感じてしまうんだよ」
「では、どう表現したらいいでしょうか?」
「私の場合は、『人脈』ではなくて、『つながり』という言葉を使うようにしてるけどいいかな?」
そう言われると、「人脈」という言葉に対して持っていたイメージが、突然打算的なものに感じてきた。
いや、最初から感じていた違和感を師匠が言葉にしてくれて、明確になったのかもしれない。