本当のつながりより「つながっている感」を求めがち…心の奥の「傷つきたくない」心理を逆から見ると/君は誰と生きるか
公開日:2022/11/16
SNSで気軽に人とつながることができる今、本来大切にすべき人との関係を疎かにしていませんか?
ミリオンセラー『人は話し方が9割』の著者・永松茂久さんの最新刊『君は誰と生きるか』は、「師匠」と「若者」の対話を通して、人間関係の本質を説き明かします。
「人脈」や「いいね!(承認)」の数ばかりを競いがちの現代で、「自分の人生を変えたい」「人生をもっと明るいものにしたい」と考える人に、より良く生きるための勇気と希望を与えてくれる1冊です。
SNSなどのバーチャルのつながりを、本当の人間関係と錯覚してしまうことはありませんか?
※本作品は永松茂久著の書籍『君は誰と生きるか』から一部抜粋・編集しました
傷つくことを
怖れすぎないほうがいい理由
人が本当のつながりより、つながっている感を求める人が多くなったと書いたのは、「そうなる理由の一つには『傷つきたくない』という心理がはたらいていることが挙げられる」と、ある人から聞いたことが一つのきっかけだ。
例えば今の時代、重いを寄せる相手に気持ちを伝える際、つまり告白するとき、多くのケースにおいて、LINEなどのツールで告白するなんてことが当たり前のことらしい。
こう言ってしまうと、自分がえらく歳を取ったように感じてしまうが、僕が若い頃はツールを使った告白といっても、せいぜい電話での告白くらいしか選択肢がなかったのだ。
しかも、大概の家は固定電話だった。
しかし、それだと相手の親が出てくる可能性があるし、実際にまわりに人がいるとうまく伝えるのが難しい。
ということで、基本的に僕は祐樹を振り絞って相手を誘い出し、直接会って告白をしていた。
ただ、それは時代や人それぞれのやり方があるので置いておこう。
僕がひっかかるのは、その方法や手段ではない。
根底に流れるその理由だ。
「傷つく」という結果を必要以上に怖れて、すぐに身を引くことができる安易な方法を選んではいないだろうか、と問いたいのだ。
もしそうだとすれば、言い方を選ばずに言えば、それは相手と向き合うことから逃げていると言える。
「人と深くつながると、いろいろとめんどうなことが起きそうだ。だから深入りせずに、適当に付き合おう」
「仕事で叱られると傷つくから、新たな挑戦はできるだけしない。言われたとおりのこと、リスクの低いことだけをやっていればいい」
目の前にいる人が、もしそんな気持ちで自分に向き合っているとしたら、あなたはどう思うだろうか。
「そうは言ってもめんどくさいことは、できるだけ避けたいんだよ」
そう言いたくなる気持ちは、もちろんよくわかる。
相手に断られて傷つかない人なんていないだろうし、仕事で上司に叱られたとしたら、誰だって心を痛めるものだ。
しかし、逆から見ると、これは悪いことばかりではない。
時として、傷つくことは、自分が成長していく上で、大きな効果をもたらせてくれる。
行動力がつく。
心が強くなる。
その傷から立ち直っていくことで、次に同じことが起きたとしても乗り越えることができる免疫力が手に入ることだってある。
これは、告白や仕事に限ったことだけではない。
僕たちを当たり前のように取り巻いている人間関係という点からみても、すべて同じことが言える。
人と深く向き合うことで、逆に今まで以上に強い関係、つまり「本当のつながり」が生まれることも往々にしてあるのだ。