本当のつながりより「つながっている感」を求めがち…心の奥の「傷つきたくない」心理を逆から見ると/君は誰と生きるか
公開日:2022/11/16
本との出会いは、
人との出会いを超える
この日だけでなく、師匠はことあるごとに、本のすばらしさや重要性を僕に話してくれた。
のちに僕が出版の道に進んだのは、この教えの影響が大きい。
現に、講演はどんな依頼でも受けなかった師匠自身が、自身の本の出版には力を入れていた。
その理由として、
「本のほうがよっぽど多くのことを伝えることができるし、買う側にとってもそのほうが経済的だから」
とよく言っていたことを思い出す。
「本は読んでおけよ。今からの超情報化時代、本くらい読んでないとやっていけないよ」
「年間に何冊くらい読んだらいいですか?」
「多くなくていいんだよ。それより、いいと思う本と出会ったら、何回も徹底的に読み込んで、さっさと実践するんだ。それこそがどんなセミナーに参加するよりも効果的に結果を出すための最短距離だ」
「はい。すでに好きな本があるので、何度も読んでみます」
「それにね、本は本当にコストパフォーマンスがいいんだよ。1500円の本を10回読めば、一回のコストが150円になるだろ。100回読んだらいくらになる?」
「15円です」
「そう考えると安いもんだよ。それに加えて、読めば読むほどコストに反比例して、自分の実力がついてくんだからね。
私だって、君に教えられることはいくらでも教えるよ。でも、よく考えてみると、本を読んで実際に試してみることのほうが、結果的には得るものが多いかもしれない。君みたいにまだ若くて忙しいときこそ、なおさらね」
この言葉と出会っていなければ、僕はどれくらい経費を無駄遣いしてきただろう。
今となってはその効果を測ることはできないが、もしあなたがこの言葉に触れることで、ここから先の無駄な浪費が少なくなってくれるとうれしい。
「繰り返しになるけどね、どんな人と生きるかって、つまりは、どんな本と生きるかってことにもつながるんだよ。人との出会いもいいけど、本との出会いも君の人生を大きく変えてくれることになるよ」
この時点では、まさか自分自身が本の著者になるとは思ってはいない能天気な僕がいた。
<第4回に続く>