サツマイモはただの“太った根っこ”!? 明日誰かに教えたくなる身近な植物の仰天トリビア
公開日:2022/11/11
11月になり、秋のサツマイモシーズンも半ばを過ぎた。濃厚な芋スイーツを堪能されているみなさんに問いたい。そのサツマイモは実ではなく、根っこの途中がふくらんでできているものだということをご存じだろうか?
芋掘りに行ったことがある方はおわかりになるかもしれないが、何株かサツマイモを掘ってみると、根っこの一部が太くなっている。じつは、根っこには栄養をためる役割があり、サツマイモの正体も、栄養がたまった“太った根っこ”だったのだ。
こういった根っこは貯蔵根(ちょぞうこん)と呼ばれている。身近なところでいうと、ゴボウやニンジンも貯蔵根。よく似たジャガイモも貯蔵根……と思いきや、これは地下茎という部分が膨らんだもの。同じ芋でもその成り立ちはいろいろなのである。
こういった植物のおもしろ知識を教えてくれたのは『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』(KADOKAWA)だった。身近な植物の観察の仕方やおもしろがり方が綴られており、「えっそうだったの?」と驚いてしまうような植物の意外な一面は大人の私でも興味がそそられた。せっかくサツマイモの根っこの話をしたことだし、今日はほかの根っこのふしぎな話を紹介しようと思う。
よわよわなトウモロコシを支えるふしぎな根元
トウモロコシを食べたことはあっても、その根元に注目したことがある人は少ないかもしれない。トウモロコシの根元は、茎から細い枝のようなものが出ていて、地面に何本もブスブスと突き刺さっている。じつはこれ、枝ではなく支柱根(しちゅうこん)と呼ばれる根っこ。根っこが地面に出ちゃっているのである。
著者によれば、トウモロコシは不安定な形をしている植物だ。背丈が2mほどあるくせに茎は太くなく、さらにそこに大きな実がつく。強い風が吹いたら倒れてしまいそうなか弱い彼らを支えるのが、支柱根。地面から顔を出し、トウモロコシの体をガッチリ支える支柱となっているのだ。
おもしろいことに、根っこは地上からも体を支えることが多々ある。公園などで見られるムクの木やエノキの根元を見ると、幹の下の部分がこんもり盛り上がっている。
これは板根(ばんこん)と呼ばれる根っこで、地上部の幹を支えている。「根っこは土の中にあるもの」という既成概念を軽々とぶっ壊してくる植物たち、恐るべしである。
謎のニョキニョキが顔を出す、ラクウショウ
地上から体を支えるだけではなく、なんと地上に顔を出し“呼吸”までする根っこがいる。
ラクウショウという北米原産の樹木がある。大きめの公園などに植えられているこの木のまわりには、たくさんの謎のニョキニョキが土から生えている。じつはこのひとつひとつがラクウショウの根っこ。樹木の生育には不適な沼地や湿地に生えるラクウショウは、呼吸をするために根っこを外に出しているのだ。なんという生命力と生きる知恵!
植物の多様な生き方には驚かされることばかりだ。ちなみに本書には、根っこの話だけではなく、「花」「葉っぱ」「タネ」などジャンルごとのおもしろい身近な植物のはなしも掲載。読めば明日誰かに話したくなる植物の秘密にふれられることは間違いないだろう。
文=オカムラカナヲ