“中年の危機”を迎えた40代男性は、いかにして人生を転換させるのか! ? 大ベストセラー「LIFE SHIFT」シリーズのコミカライズが2作同時刊行!
公開日:2022/11/12
双葉社から刊行された『マンガでわかる年収400万円からのライフシフト2』は、『LIFE SHIFT2』のコミカライズ版だ。このライフシフトシリーズは多くの人が100歳を超えて生きることになる長寿時代を生き抜くための人生戦略と行動戦略を説き、そのロールモデルを示すもので、シリーズ累計70万部を突破するベストセラーとなっている。
このコミカライズは双葉社だけではなく、東洋経済新報社の『まんがでわかる LIFE SHIFT2』も同時刊行。東洋経済新報社版がグローバルに事業を展開する大手企業に勤める30代サラリーマンを主人公にしていることに対し、双葉社版では資源回収会社で働きながらつつましい暮らしを送る地方在住の40代男性が主人公。普段からビジネス書や自己啓発書を読んで自己研鑽に努めているような意識の高い人だけでなく、あらゆる人にとって「ライフシフト」が人生における重要な指針になることを解説する一冊だ。
主人公となるのは、41歳の浦床一心。かつてプロボクサーとしての成功を夢見たこともあったが、現在は妻とふたりの子どもを養うことに精一杯の日々を送っている。人生の先行きに漠然とした不安を抱えながらも仕事に励んでいたところ、勤め先のガンガン・エコロジーが急な合併を発表。一心はさらなる不安を感じつつも仕事に大きな変化がないのなら、家族を養って老後の資金のためにこのまま働き続けようと思うのだが、新人の秋川は「不安を感じるって事は――ありうる自己像や自分だけの人生の物語が描けていないせいなのかもしれませんね」と言い出して――。
本作では、この秋川がライフシフトの案内人。時にライフシフトについて熱く語りすぎる秋川に反発をおぼえながらも、一心は少しずつ自分の不安と向き合っていく。さらに、ガンガン・エコロジーの社長が合併後に会社を辞めて海外に出ようとしていることや妻の翔子がいつの間にか子どもの中学受験の準備を進め、さらに新しい仕事を始めようとしていることを知り、一心は周りの人たちが“自分だけの人生の物語”を描いている状況に衝撃を受ける。そこで、一心も自らの“無形資産”を築いたボクシング経験、年齢と経験を重ねて強まった“結晶性知能”である指導力、“地元コミュニティとのつながり”を活かす道のりとして、ボクシングジムの週末トレーナーとしての一歩を踏み出すことになるのである。
本作は“中年の危機”を迎えた男性が妻との“ストーリー共有”を経て、これまでの人生を転換させようとする物語でもある。そうした一心が抱える悩みは多くの読者にとっても身近に感じられるものだろうし、それだけにライフシフトの重要性が実感をもって理解できるはず。また、一心だけでなく、新入社員の秋川をはじめ、妻の翔子や勤め先の社長とその婦人など、さまざまな人がライフシフトを実践していくところを描いていくことで、それが老若男女を問わず、これからの時代に必要な考え方、生き方だということが、コミカルなマンガでわかりやすく伝わるようになっている。ライフシフトというものに興味はあっても、長い本を読む時間がなかなか作れない……という人にはうってつけの入門書だ。
文=橋富政彦