理想的な硬さや色は? 宇宙船で起きたウンチ袋破裂事件とは? 読み出したら止まらないウンチの真実!
公開日:2022/11/12
人は日々、何かを食べて“ウンチ”をする。しかし、ウンチそのものについて考える機会はそう多くはない。書籍『面白くて眠れなくなるウンチ学』(左巻健男/PHP研究所)は、タイトルのとおり、ウンチについて学べる1冊だ。優しく丁寧な口調で、さまざまな切り口からウンチについて解説する本書は、ひとたび読みはじめるとその内容に引き込まれてしまう。
ウンチの成分は“70~80%”が水分という驚き
人間の体は「ちくわ」のようなもの。食べ物を摂取したときは「口―胃―小腸―大腸―肛門」を通って、ウンチとなって排出される。主な成分は「消化されなかった食べ物のカス」と、口に入れた食べ物が通る「消化管上皮が剥がれたもの」、「腸内細菌とその死骸」だという。
さらに、驚くのは「水分」がおおかたを占めるということ。本書によると、理想的とされる「練り歯磨き程度」の硬さで、その量は全体の“70~80%”程度だ。人間は日々、飲み物と食べ物から1日に“約2L”の水分を摂取していて、体内で消化される間に唾液や胃液など“約7L”の「分泌液」を含む水分が加わるため、1日あたりで合わせて“約9L”の水分を摂取している計算になる。
ただ、ウンチ全体では“70~80%”程度が水分だと述べたが、排出されるのは1日あたり“0.1L”か多くても“0.2L”未満と意外に少ない。1日に摂取する“約9L”の水分のうち“約7L”は「栄養素」と共に小腸で吸収され、ウンチをつくる大腸で大半は吸収されるという。
理想的なウンチは「黄色~黄色がかった褐色」で「バナナ状」
ウンチは健康のバロメーターでもある。本書によると、健康なウンチは「黄色〜黄色がかった褐色」だという。ウンチの色は「脂肪の消化吸収に大切な役割を果たす」とされる「胆汁」によって決まるが、脂肪分の多い食べ物を摂取すると胆汁が消化に使われ過ぎてしまい、「白っぽい」ウンチが排出される場合がある。また、胆汁が流れにくくなるという「肝臓がんや胆のうがん、膵臓がん」なども考えられるというので注意が必要だ。
ウンチの形は「バナナ状」が理想的。先述のように「練り歯磨き程度」の硬さが健康的なウンチの目安となる。ただ、バナナ状であっても水分不足の場合は「便秘」になり、あまりに硬いと「切れ痔」の原因にもなりうる。
また、見た目でも分かるとおり、下痢のときは「かゆ状や液状」になり、下痢が“3日以上”続くようなら「食中毒」の疑いもある。あまりにも柔らかい場合には「ストレスや消化不良、水分をとりすぎて」いる可能性も考えられる。
宇宙空間でウンチ袋が破裂したトンデモ事件
トイレでウンチをするのは常識だが、日常とかけ離れた宇宙空間ではどうしているのか。そんなユニークな問題にも、本書は斬り込んでいる。
実はかつて、アメリカの宇宙船・ジェミニで「ウンチ袋破裂事件」というとんでもない事件があった。2人乗りのジェミニにはトイレがなく、お尻に「防腐剤入りの特製袋」を当てて排せつし、その後は袋をよく揉んで収納箱にしまうという手段を取っていた。
しかし、2週間の予定であった滞在期間が折り返し地点にさしかかった頃、収納箱を開けたときに、防腐剤が上手く混ざっていなかったため発酵がすすみ、ガスの充満していたウンチ袋が暴発。のちに、宇宙飛行士は帰還後の会見で「君は、トイレの中で一週間過ごしたことがあるか」と“名言”を残したそうだ。
本書によると、現在、日本など世界各国により運用される「国際宇宙ステーション」ではトイレが設置されている。形は洋式トイレに近く、無重力空間で「体が浮かないように固定」でき、「掃除機のような機器」でウンチを吸い取る。宇宙飛行士は地上で、トイレの使い方も訓練するという。
普段は“出すだけ”で、ほとんどの人は気にもとめないであろうウンチ。しかし、本書を読むと私たちの体にとって欠かせないものであると分かり、見方がちょっと変わってくるはずだ。
文=カネコシュウヘイ