内向型の人だって活躍できる! ありのままの自分で現代を生き抜くための戦略

ビジネス

更新日:2022/11/24

「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法
「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン:著、神崎朗子:訳/ダイヤモンド社)

 話すよりも書く方が気持ちを伝えやすい。

 考えるのに時間がかかり、話し合いの場で黙ってしまう。

「自分のこと?」と、ドキッとした人もいるのではないだろうか。上記は「内向型」によく見られる特徴。内向型とは、興味・関心が主に自分の内面に向けられる特性で、一般的に内気・社交性に乏しいとされる。かくいう私もどちらかといえば内向的。会議の場で意見を求められても、すぐに言葉が出てこなかったりする。

 そんな内向型の特性を「静かで控えめは、賢者の戦略」であるとして、利用すべきと教えてくれるのが『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン:著、神崎朗子:訳/ダイヤモンド社)だ。

 性格診断テストで内向型指数が96パーセントであった著者が、内向型が自分らしく生きるためには戦略が必要であると説く。内向型の特性と、それらをどう戦略として活かすのか、以下で紹介しよう。

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戦略1 自分の特性を知る

 内向型と外向型にはさまざまな違いがある。まず、自分にどちらの傾向があるのかを知ることが戦略のひとつだ。本書の冒頭、質問に答えてどちらのタイプか診断するテストが掲載されている。いくつか抜粋しよう。

1 たくさんの人と話すより、一対一で話すのが好きだ
2 新しい環境ではテンションが上がる
3 観察が好きで、細かい部分を重視する
4 口実をつけてイベントに参加しないことがある
5 人の話に耳を傾けるのは得意ではない
6 退屈しがちだ

 あなたはいくつ当てはまるだろうか。上記は、1・3・4が内向型、2・5・6は外向型の特徴となっている。このような質問が全部で35問あり、最終的にどちらの特徴に多くチェックをしたかでタイプが分かる。その差が3個以上であれば、多かった方の傾向が強く、2個以内であれば両方の特性を持つ「両向型」タイプだ。ちなみに私は「両向型」。診断することで、自分では気付かなかった部分を発見することができたのも収穫のひとつだった。

戦略2 特性を魅力に変える

 内向型は黙っていることが多い。だが、決してアイディアや野心がないわけではない。ただ夢を追うためにわざわざ騒ぐことはしない「静かな人」なだけなのだ、と著者は語る。このように、少し見方を変えれば、内向型の特性は、そのまま魅力になる。

 他にも内向型は、外向型に比べて聞く力に長けているという特長があり、大勢と話すよりも一対一での会話が得意だ。この特性を活かし、一人一人とじっくり話すことで、相手に「この人は私の話を聞いてくれる」という安心感を与えられる。

 細かい部分を重視するという特性も「こまやかな気遣いができる」という能力だ。自分がすでに持っている性質を、改めて魅力として捉え直してみよう。そうすることで、周りの目にも静かで魅力ある人に映ることまちがいなしだ。

戦略3 正反対の人と組む

 内向型と外向型という組み合わせは、相性が良い。アップル社の顔として脚光を浴びたスティーブ・ジョブズ、天才エンジニアとして開発に携わったスティーブ・ウォズニアックのふたりが良い例だろう。正直、社交的な人にはちょっと近づきがたい……と勝手に距離を感じてしまう内向型。だが、仕事をする上で、相反する内向型と外向型が一緒にいることはメリットが多い。

 たとえば、交渉や人前での発表は、内向型にとってかなりエネルギーが必要な仕事だ。しかし外向型にとってこれは苦にならないことが多い。逆に内向型が得意とする細かな確認作業や書類の作成などは、外向型にはストレスに感じる場合があるそう。得意な仕事を分担すれば、効率よく作業できる。正反対の人と組むことで、ストレスなく仕事の成果もあげられるのだ。

 本書の魅力は紹介されるエピソードの親しみやすさにある。向こうから知り合いが来たときに挨拶するのが嫌で逃げてしまう、エレベーターでは誰とも乗り合わせないよう閉めるボタンを連打してしまう……など、内向型なら共感してしまうものばかり。

 そんな内向型の思考に寄り添いながら「こう考えてみるのはどうか」と提案してくれる。単に「気の持ちようだ」と言われるよりも自然に、ありのままの自分でいるにはどうすればいいかを考えられるはずだ。静かな人として世界と戦っていくために、本書で戦略会議をしてみてはいかがだろうか。

文=冴島友貴