3年ぶりの開催! 京極夏彦氏も店番!? 本好きが待ちに待った祭典「神保町ブックフェスティバル」で街が熱気に包まれる
公開日:2022/11/17

2019年の開催からコロナ禍での2年の中止を挟み、本好きが待ちに待ったイベント「神保町ブックフェスティバル」が今年10月29日と30日の土日の2日間に、3年ぶりに開催された。
神保町ブックフェスティバルは、本の街・神保町のすずらん通りでサイン本や割引価格になった本を、出版社や近隣店舗が一堂に会してワゴン販売をする。同イベントが開催された2日間を含む11月3日までの間、読書週間にあわせて古書店街では恒例の「神田古本まつり」も開催された。
3年ぶりの開催の今年、出店社数は3年前から約半分の130社、開催場所も白山通りを挟みさくら通りまで伸びていたそれまでのスペースからすずらん通りのみと規模は縮小。またオープニングセレモニーや飲食の出店も中止となったものの、これまでと同様、いやそれ以上の熱気に本の街は包まれていた。
(取材・文・撮影=すずきたけし)



10月29日、天気に恵まれた初日は午前中からすでに多くの本好きが訪れ、人気の出版社のワゴンには早くから多くの人が本に手を伸ばしていた。

神保町ブックフェアで一番人気は早川書房のサイン本販売コーナー。著者直筆のサイン入りの本にファンが詰めかけ行列ができるほど。またジョージ・オーウェルのディストピア小説の古典『一九八四年』をモチーフにしたトートバッグや、「扇子・オブ・ワンダー」と銘打った扇子などオリジナルグッズも販売。早川書房の販売担当者も「『1984』の数字だけ見てタイトルだとわかるお客さんが多いのはさすが神保町ですね」と笑顔を見せた。
たまにサインをした作家も顔を見せ、ファンにとって嬉しいサプライズもあった。

そしてもう1社、行列ができる出版社が東京創元社。早川書房とならびミステリとSF作品のファンが多い出版社だ。










全国各地の出版社が出店
神保町ブックフェスティバルでは、都内や神保町近辺の出版社だけでなく日本各地の出版社も参加している。各地の郷土出版物や特産品などを探すのもイベントならではの楽しみだ。









3年ぶりに開催された神保町ブックフェスティバルに訪れてみると、出店している出版社の人たちが一様に笑顔だったことが強く印象に残った。来場客の多さだけでなく売り上げも好調だったようで、ワゴン2台態勢だった3年前の前回からワゴン1台となった今回の早川書房や東京創元社では、結果的に前回よりも待機列が途切れることもなく売り上げも前回を超えたという。人文書を多く刊行している作品社では前回より1.5倍もの売り上げになり、開催期間2日間分として用意した冊数も初日で8割が売れてしまったという。ほかにもメインの商品が初日早々に売り切れてしまい、「どうしよう、売るものがない!」と嬉しい悲鳴をあげる出版社の声も聞こえたり、神保町界隈に社を構える出版社では慌てて自社に戻って本を運んだりしている姿も2日通して見られた。
そしてもっとも喜んでいたのは来場した本好きの人々。「3年分の本を買いに来た」と笑顔を見せる人や、持参した大きなトートバッグにたくさんの本を入れて重そうにかついで歩く姿も多く見られた。出版社のブースで本を手に出版社の人に熱心に本に関する質問をしている姿を見て、神保町にいつもの賑やかなブックフェスティバルの光景が戻ってきたのを実感する。
夕方の6時、終了のアナウンスが流れると自然と周囲から拍手が起こり、出店者、来場者ともども、3年ぶりのブックフェスティバル開催の喜びと満足感で満たされていた。
このほか、同日にはすずらん通りのほかに三井ビルの公開空地で「こどもの本広場」も開催され子ども連れで賑わい、ブックフェスティバル開催前後の10月28日から11月3日の期間は恒例の「神田古本まつり」も開催。こちらもたくさんの人たちが本に触れていた。


