非モテアラサー女がモテを具現化した“あざかわ女“に出会って

　彼氏いない歴＝年齢の地味なアラサー女性・戸田ちづるは一縷の望みをかけ、婚活アプリを利用。やっとの思いで、ひとりの男性と会う約束を交わしたが、当日、相手は待ち合わせ場所に現れなかった。

　やっぱり婚活なんてするんじゃなかった…。そう落ち込んでいると、女性と待ち合わせをしている様子のイケメンを目撃。その男性は超高級時計を身につけており、ハイスペックのようであった。

　一体、どんな女性が現れるのだろう。そう気になり、様子をうかがっていると、男性受けするファッションに身を包み、甘ったるい声で話す、モテを具現化した“あざかわ女性”が登場。会話を盗み聞きしたところ、どうやら2人も婚活アプリを介して出会ったようだった。

　ちづるは婚活リサーチのため、2人を尾行。同じ店に入り、近くで話を聞くことにした。

　“あざかわ女性”こと、安西マリ子は意外にも35歳。ハイスペ男性はマリ子に対して、「女の子は若くないと」と口にしたり、言動に点数をつけたりするなど、失礼なクセ強男だった。

　そんなハイスペ男性の言動を笑いながら受け止めるマリ子を見て、ちづるは、そんな思いまでして結婚したいのか…とドン引き。しかし、どうせなら、最後まで見届けてやろうと、食後、2人に続いて店の外へ出た。

　店外で見たのは、自分のご飯代を差し出すマリ子に75点だと評価を下し、100点満点の自分とお似合いだと豪語するハイスペ男性の姿。ちづるは憤りを感じたが、次の瞬間、マリ子の口から出た予想だにしない言葉に驚き、あっけに取られてしまう……。

　自分は一方的に選ぶ側だと思い込むクセ強男に対するマリ子の反撃は痛快。最初、マリ子に対していい印象を抱けなかった読者も、彼女が繰り出す渾身の反撃を目にすると、マリ子というキャラクターが大好きになり、応援したくもなるだろう。

　そして、自分もマリ子のように相手の失礼な言動に屈せず、堂々と婚活をしようと、パワーをもらえもするはずだ。

　本シリーズでは、今後も強烈なクセ強男が続々と登場。そんな婚活相手を、マリ子がどう痛快にぶった切るのか、期待したい。

　男性を虜にするモテ女のマリ子と恋愛経験ゼロのちづるは、どう交流を深めていき、幸せを掴むのか――。世の婚活女性には物語の行方を見守りつつ、自分を卑下しない婚活に励んでほしい。

文＝古川諭香