読書がセルフケアに。生田絵梨花が、お守りにしている一冊【私の愛読書】

文芸・カルチャー

公開日:2022/12/1

 俳優やタレント、経営者やスポーツ選手など、さまざまなジャンルで活躍する著名人にお気に入りの一冊をご紹介いただく連載「私の愛読書」。第3回にご登場いただくのは、女優として快進撃を続ける生田絵梨花さんだ。

 乃木坂46の一期生としてデビューした生田さんは、2021年12月31日に同グループを卒業した。以降、大好きだと公言するミュージカルを中心に、ドラマや映画などで女優として活躍し続けている。この冬には『映画 かいけつゾロリ ラララ♪スターたんじょう』で、本格的な声優デビューも果たす。ひとりになった生田さんの活躍の幅は、どんどん広がっている。

 そんな生田さんには「お守り」のような一冊があるという。それは尊敬する人からプレゼントされたもの。落ち込んだときにはカバンに入れて持ち歩くというくらい思い入れのある一冊とは、一体どんな本なのだろうか。

(取材・文=イガラシダイ 撮影=干川修)

尊敬する人からプレゼントされた一冊が、お守りに

しあわせを生む小さな種 今日のベリーグッド
しあわせを生む小さな種 今日のベリーグッド』(松浦弥太郎/PHP研究所)

――「愛読書」と聞いて思い浮かぶ一冊はなんですか?

生田絵梨花さん(以下、生田):『しあわせを生む小さな種 今日のベリーグッド』(松浦弥太郎/PHP研究所)という、ささやかな幸せを感じる方法がまとめられているエッセイです。これはすごく尊敬する方がプレゼントしてくださって。

――本のプレゼントって素敵ですね。そのとき、かけられた言葉も覚えていますか?

生田:当時、忙しくてピリピリしたり、ちょっとしたことで落ち込んだりしていたんです。そんな自分の状況をその人に相談していたら、あるとき「幸せはやって来るものじゃないんだよ」と本をプレゼントされました。開いてみると、「自分で選んだ種を、自分で蒔いて、水をあげて、栄養もあげて、大切に育てていく」というようなことが書いてあるんです。素敵な考え方だけど、やれそうでやれないことですよね。ただ、この本を読むと、そういった気持ちを思い出させてくれる。それ以外にも温かい言葉が溢れていて、いまだに大切にしている一冊です。

――持ち歩くこともありますか?

生田:普段は棚のなかに飾っているんですけど、追い詰められたときはカバンに忍ばせて出かけることもありますよ。忙しさのあまり落ち込んでいたときは、楽屋に持ち込んでいました。わたしにとって、お守りみたいなものなんです。

――エッセイ集はどこから読んでもいいのが魅力ですよね。

生田:そうそう! プレゼントしてくださった方は物凄い読書家で、舞台袖でも本を開いているくらいなんです。でもそれが彼女の集中力を保つ方法らしくて。そういうときに、どこから読んでも楽しめるエッセイ集ってぴったりだと仰っていました。ただ、彼女の真似をしてみたんですけど、舞台袖で本を読むなんてわたしには無理でした(笑)。

本を読むことで、自分自身をケアしている

――普段、読書はしますか?

生田:小説はあまり読まないんですが、こういったエッセイや自己啓発本などは読みますね。特に追いかけている作家さんがいるわけではなくて、そのときの自分の悩みに対して答えをくれるような本を選ぶんです。「○○(そのときの悩み) 本」と検索をして、出てきたラインナップからピンときたものを購入して読みます。

――自分自身を本でケアしているんですね。

生田:その感覚が近いと思います。作家さんってすごくもがいて、どうにか導き出した答えを本にされるじゃないですか。それを読むことで、本当に助けられていますね。気になったものは電子書籍で購入して、移動中や就寝前によく読んでいます。

――読書時間は増えましたか?

生田:そうかもしれません。単純にひとりの時間が増えたのも関係しているでしょうし、本を読むことで“つながっている”感覚になれるんです。それに救われているんだと思います。グループにいるときから、自分の悩みを解決してくれそうな本を読んでいましたけど、ひとりで活動するようになってからはそれが顕著になりました。ひとりで立たなきゃいけないですもんね。

<第4回に続く>