「自分の人生、これでいいの?」サクッと読めてモヤモヤが晴れる、世界的ベストセラー『7つの習慣』の解説&入門書

ビジネス

公開日:2022/12/2

13歳から分かる! 7つの習慣 自分を変えるレッスン
13歳から分かる! 7つの習慣 自分を変えるレッスン』(「7つの習慣」編集部:監修/日本図書センター)

 人生で大切なことは、誰が教えてくれただろう。子どもの頃、学校で道徳を習ったり、親や周りの大人から日々の生活の中でモラルを教えてもらったりしたことはあるものの、生きる術を話して聞かせてくれる村の長老のような存在は、もはやいないこの時代。豊かな人生を送る上で必要なものは何か、理解しないまま大人になったという人も多いのではないだろうか。

 組織コンサルタントや教育者として活躍したスティーブン・R・コヴィー氏による書籍『7つの習慣』は、世界でもっとも読まれたビジネス書のひとつ。人生に悩める世界中の大人を良い方向へと導いてきた、「村の長老」的なベストセラーだ。本書『13歳から分かる! 7つの習慣 自分を変えるレッスン』(「7つの習慣」編集部:監修/日本図書センター)は、日本でも多くの人に影響を与えたこの『7つの習慣』の内容を、パン屋で働く青年と老人を中心としたストーリーと解説でまとめた入門書である。

 本書の魅力は何より、そのわかりやすさだ。「13歳から分かる」とうたわれているとおり、7つの習慣が、要点を絞り、平素な言葉で短くまとめられていて読みやすい。しかし、「パラダイムシフト」「影響の輪」「ミッション・ステートメント」といった原書にも登場する重要なキーワードがしっかりおさえられていて、大人にも読み応えたっぷりの1冊だ。

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 主人公は、パン屋で働いて2年目の青年。厳しい親方や難癖をつけてくる先輩にイライラやモヤモヤを募らせていた。しかし、ある老人と出会い、対話し、人生で大切なことを学んでいくうちに、人として自立して生きていくための力や、将来のビジョン、周りと協力して成功をつかむための力を身につけ、人生を切り開いていく。

 老人が青年に伝えるのは、「人格」を磨くことで、自分にとって本当に大切なものを見極め、充実した人生を送るための「7つの習慣」だ。それは、コヴィー氏が原書で伝えている、「主体的である」「終わりを思い描くことから始める」「最優先事項を優先する」「Win-Winを考える」「まず理解に徹し、そして理解される」「シナジーを創り出す」「刃を研ぐ」の7つ。そのひとつひとつが、なぜ人生の成功において重要なのか、具体的にどうすれば良いのか、そして、第1の習慣から積み重ねていくことで、全体的な効果が高まるということが、具体的に、かつシンプルに記されている。

 ネットの記事などで、この7つの習慣の項目だけを知っているという人もいるのではないだろうか。そういう人も、「主体的である」とはどういうことなのか、「終わりを思い描く」ことがなぜ大切なのかといった内容がすぐに理解できる。そして、13歳でもわかるかみ砕いた表現によって、難解に見えた「7つの習慣」を、とてもシンプルなものとして、身近に感じることができるはずだ。

 モヤモヤを解消したい、もしくは、ビジネスパーソンとして世界的ベストセラーはおさえておきたいと思っているものの、原書のボリュームを前に読むのを断念してしまった人もいるだろう。しかし本書は、活字に慣れた人なら、電車の移動や昼休みなどのすき間時間を使えば、長くても数日あれば読めるため、忙しくて読書にまとまった時間が割けない人にもぴったりだ。

 具体的なエピソードが豊富な原書を読むほうが、7つの習慣を行動へ移すモチベーションはより高まるかもしれない。しかし「いつか読もう」と原書を寝かせたまま「7つの習慣」を理解せずに時間を過ごすのは、あまりにももったいない。この入門書でポイントをつかんでから原書を読めば、初見で原書を読むよりスムーズに読めて、納得感がさらに深まることも期待できる。限りある人生の時間をムダにしないためにも、まずはこの入門書を手にとってみてはいかがだろうか。

文=川辺美希