あなたも当てはまる!? 普通の人が「ゆるサイコパス」になってしまう5つの心の癖とは

暮らし

公開日:2022/12/13

攻撃する人の心理がわかる本
攻撃する人の心理がわかる本』(高品孝之/自由国民社)

 些細なことで激怒した同僚や友人を見て、「なぜ、あんなことで?」と疑問を感じることはあるもの。そんな経験がある人にぜひ手に取ってほしいのが『攻撃する人の心理がわかる本』(高品孝之/自由国民社)だ。

 本書では、公認心理師の高品孝之氏が事例を交えながら、ごく普通の人がサイコパスのような状態(=ゆるサイコパス)になる理由を解説。自らが「ゆるサイコパス」にならない方法や、攻撃を受けた時の対処法も説明している。

あなたも「ゆるサイコパス」になっていませんか?

 著者いわく、人は時と場合によって誰もがサイコパスのような性質を示すことがあるそう。本書ではそうした状態を「ゆるサイコパス」と呼び、人を「ゆるサイコパス」に変身させるスイッチが無意識のどこにあるかによって、「浅ゆるサイコパス」と「深ゆるサイコパス」の2種類に分けて説明する。

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攻撃する人の心理がわかる本

 無意識の浅いところにある「ゆるサイコパス」化のスイッチを持つ状態が、「浅ゆるサイコパス」。そのスイッチの正体は、育っていく過程で身につけた以下の5つの「心の癖」から湧いてくる感情だと著者は指摘する。

①人を喜ばせたい…繊細タイプ
②努力したい…頑張り屋タイプ
③急いでやりたい…せっかちタイプ
④強くありたい…強がりタイプ
⑤完全でありたい…完璧主義タイプ

 例えば、自己を犠牲にしてでも他人に尽くす「繊細タイプ」は厳しくしつけられて育った人に多いそう。いつも大人の顔色を気にして自分を出せないという癖が心に残り、対人関係で自己主張ができず、自分の判断に自信が持てないので、自分のことよりも他人を優先してしまいがち。

 一見、攻撃性とは無縁なように思えるが、実は本心から人に尽くしたいわけではなく、いやいやながら自分に強いている状態であるため、優しくした相手が自分を正当に評価してくれないと攻撃性が出ることがあるのだとか。例えばプレゼントや言葉がけなど、相手を喜ばせようとしたのに、相手が思い通りに喜んでくれないと「やってあげたのに」という怒りが攻撃性に変わるのだという。

 すべての人は5つのどれか、または複数の心の癖を持っていると指摘する。だからこそ、自暴自棄になったり、他人を攻撃したりしないためには、まず自分の内側にも「ゆるサイコパス」が潜んでいる可能性があることを自覚して心の癖に振り回されない対策を行っていく必要がある。

 そのひとつが、心の癖を書き換える「アロワー」という対処法。繊細タイプであれば、「人より自分を大切にしていいんだよ」、強がりタイプは「どんな感情を持ってもいいんだよ」と何度も自分に言い聞かせ、少しずつ思い込みを修正していく方法だ。

 また、激しい怒りが湧いてきた時に、ものづくりやスポーツなど夢中になれることにとことん向き合い、心を駆り立てる強いエネルギーを別方向へ向ける「健全な没頭」も対処法のひとつ。

 瞬時に没頭モードに入れない人は「心の癖を活かした特定の動作を行う+アロワーを与える」ことで、攻撃性をコントロールしよう。完璧主義タイプであれば、今日できたことを3つリストアップして完璧さを確認。強がりタイプならば、軽い筋トレをして自分の強さを確認するといった方法がおすすめだ。

 なお、著者は、より攻撃性が強い「深ゆるサイコパス」のスイッチとなる12個の怒りの元も詳しく解説。そちらもチェックし、気づかなかった心の癖との付き合い方を考えていこう。

「ゆるサイコパス」から攻撃を受けた時は…?

 著者は「人間ドラマの三角形」を用いて、「ゆるサイコパス」から攻撃を受けた時の解決策も紹介。これは攻撃する「迫害者」、攻撃を受ける「犠牲者」、攻撃を受ける者を援助する「救済者」、この3つのポジションを入れ替えていくことで解決へと導いていく方法。

攻撃する人の心理がわかる本

 攻撃を受けている人がまずすべきは、心配してくれる両親や配偶者などを心の中で新たな犠牲者にし、自身は救済者のポジションに移動すること。

 すると、「攻撃を受けると妻(夫)が悲しむ」など、自分への攻撃が間接的に新たな犠牲者への攻撃になるとの認識が持て、「妻(夫)を守らなければ」という気持ちになれ、攻撃から抜け出すきっかけを掴めるようになるのだとか。

 こうした気持ちになった後は家族や上司、公的な相談機関や専門家などを救済者仲間にし、解決への歩みを進めていこう。本書では救済者の選び方や事例をもとにした具体的な解決法も知れるので、参考にしてほしい。

 サイコパスは、関わることがない存在だと思っている人はきっと多い。けれど、「ゆるサイコパス」になる可能性は誰にもある。

 私は、誰のどんな言動に心がささくれるのだろう。本書との出会いを機に、そんな視点で心の癖を抱きしめられる人が増えてほしい。

文=古川諭香