愛でるも愛、食べるも愛。――生き物を食べまくる野食料理系YouTuber・ホモサピ×カブトムシ&クワガタマニアなVTuber・成瀬鳴(にじさんじ)のマニアック対談!
公開日:2022/12/8
2021年にYouTubeチャンネルを開設、現在、登録者数120万人を突破した野食料理系YouTuber・ホモサピさん。2022年7月に初のエッセイ『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』(KADOKAWA)を上梓し、こちらも小学生やその親世代から大きな注目を集めている。
本書では、野草から昆虫にいたるまでいきものを撮影して食べるホモサピさんの日常生活の裏側、幼少期から現在にいたる体験談などを明かしながら、人間と生き物の関わり方についてわかりやすく解説。さらに、ザリガニ、カミキリムシ、オオスズメバチといった生き物を実際に食べてきたホモサピさんが、その味わいとレシピについて語る一節もある。
本稿ではホモサピさんと連絡を取り合う仲で、重度のカブトムシ&クワガタマニアとして知られる人気VTuber・成瀬鳴さん(にじさんじ)との対談をお届け。マニアックなトークから溢れ出す“生き物への愛”をお見逃しなく!
■小学生の時はクワガタの強さでマウントを取り合ってた
――成瀬さん、ホモサピさんの『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』を早速読んでいただいてようですね。
成瀬鳴(以下、成瀬):ファンとして楽しく読ませていただきました! ホモサピくんの動画は本当にプライベートでずっと注目してたんです。登録者数が1万人いってるかいってないかの頃に見つけたときから、ずっと追っかけてますから。
ホモサピ:ありがとうございます! 僕も成瀬さんがカブクワ(カブトムシとクワガタ)好きって知ってリプを送ったり。今回初めて直接話すんだけど……全然初対面の感じがしないです(笑)。
――成瀬さんから見て、ホモサピさんの動画の魅力ってどんなところでしょうか。
成瀬:ホモサピくんの動画は知識の量がとにかくすごい。ドブにいたコイをさばいて食べながら、コイの種類やら生態やらをわかりやすく説明してくれるんですよね。
ホモサピ:全然大したものじゃないんですよ。僕、思いついたことを喋ってるだけなんで。
成瀬:その思いつきで話してる内容がホモサピくんの場合は濃いから。動画を見てるといつの間にかこっちも生き物博士になってる気がする。
――ホモサピさんも成瀬さんもカブトムシやクワガタがお好きなんですよね。
成瀬:今は手元に1匹もいないんですけど、本当にハマりにハマってた時期があってその頃は300匹とか400匹とか飼ってました。
ホモサピ:なんで手放しちゃったんですか?
成瀬:仕事が忙しくなって、世話する時間がなくなっちゃったんですよね。
ホモサピ:飼ってる生き物が増えてくると、毎日のルーティンワークで数時間かかるみたいなこと、ありません?
成瀬:いや、そうなんですよ! 土の入れ替えも重労働だし、その土も虫がわかないように冷凍処理が必要だし。土を冷凍するために、わざわざ140リットルぐらいのでっかい冷凍庫買いましたから。
ホモサピ:そこまで熱中してるってことは、あれですか。タランドゥスオオツヤクワガタ、いましたか?
成瀬:(大きくうなずいて)飼ってました!
ホモサピ:うおー! あこがれのタランドゥス!
成瀬:かわいいですよね! タランドゥスは手に持った時に、威嚇するために振動するんですよね。体を震わせてるのが超かわいい。なんか携帯のバイブレーションみたいな音がする。
ホモサピ:僕は子どもの頃に友だちが飼ってるタランドゥスを見せてもらったことがあって。外見がニス塗ったみたいにピカピカなんですよね。
成瀬:そうそう、ツヤツヤで宝石みたい。
ホモサピ:カブトムシもクワガタも、見た目がカッコよくて、しかも強いってところが魅力なんだよな~。小学生の時は持ってるクワガタの強さでマウント取り合ってた。
成瀬:わかる……!ホモサピくんの本(『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』)を読んでてもそうなんだけど、ホモサピくんの子ども時代の話ってすごく共感しちゃう。
ホモサピ:小学生にとって、クワガタとかカブトムシの強さってステータスだから(断言)。
成瀬:それは間違いない(断言)。
■大人になって生き物への愛が深くなった
――クワガタやカブトムシの強さっていうのは、子どもたちの間ではどうやって決めるんですか?
成瀬:クワガタ同士を戦わせるんです。カブトムシよりもクワガタのほうが闘争心が激しめなんで、クワガタバトルが多かったかな。僕はクワガタの中でも気性の荒いマンディブラリスフタマタクワガタで戦ってました。
ホモサピ:僕のところもギラファノコギリクワガタとか、みんな普通に海外のクワガタで戦ってたな。たまに国産のミヤマクワガタで戦いに来るやつもいたけど。
成瀬:勝てるんですか、ミヤマで。
ホモサピ:ミヤマは逃げてたかな、確か。
――エッセイでも紹介しましたが、ホモサピさんは子どもの頃、バトルにカニを出したんですよね。
ホモサピ:友だちのノコギリクワガタに勝てなかったんですよね、僕の手持ちだと。カブトムシを出したりもしたんだけど、カブトって何回やってもひっくり返されて負けちゃう。もう打つ手がなくて「しょうがねぇ、カニ出すか」って。そのカニも甲羅をカチ割られてやられちゃいましたけど。
成瀬:やっぱりクワガタは強いですよね。闘争本能がしっかりとありますから。
ホモサピ:少し不思議なんですけど、大人になるとクワガタ同士で戦わせたいっていう気持ちがなくなってくるんですよね。
成瀬:それ、わかります。子どもの頃って「強い」ってことが大事だったけど、今は愛情のほうが強い。自分の手で育てた子がタマゴからサナギになって、すごい綺麗な形をしたクワガタやカブトムシになって生まれてくる。その行程そのものに魅力を感じちゃうんですよ。今はもう、自分のクワガタを戦わせたいって思わないですね。傷ついちゃうのは見たくないし。
ホモサピ:そうなんですよ。小学生の頃から今も仲のいい友だちがいるんですけど、そいつも小学生の頃はカブクワを戦わせるのが大好きだったのに、大人になった今は「傷ついちゃうのがかわいそうで戦わせられない」って言ってたから。
成瀬:愛が深くなっちゃうんですよねぇ。成長していくプロセスを見守ってるから。
■初めて野食に挑むなら…昆虫? カメノテ? ウツボ?
ホモサピ:成瀬さんはクワガタバトルって学校でやってました?
成瀬:やってたやってた。学校にクワガタやカブトムシを持っていって、休み時間になると友だち同士で見せ合ったりして。
ホモサピ:僕は学校にクワガタとか持っていくと先生に「持ってくるな」って注意されてたんですよね。クワガタがダメっていうか、僕の学校はカメもダメって言われた。
成瀬:あ、そういえばカメも飼ってたことあるな。近所の池で拾ってきた超でっかいカメを水槽で飼ってました。
――成瀬さん、ホモサピさんに引けを取らないくらい子どもの頃から生き物好きなんですね。
成瀬:小さい頃のほうが生き物と触れ合う機会が多かったから。クワガタもカメも近所で獲れたし、ザリガニ釣りもしたことあるし。でも、ホモサピくんみたいに「食べる」ってところまではたどり着かなかったな~。
――そんな成瀬さんに初めての野食をおすすめするとしたら?
ホモサピ:うわぁ、迷うなぁ……。無難に美味いやつからいったがいいと思うけどなぁ。
成瀬:ホモサピくんの動画を見てると何でも美味しそうに食べてるから、ちょっと興味はあるんだよな。
ホモサピ:ちなみに、野食にチャレンジするとして、昆虫は食べようと思えば食べられます?
成瀬:うーん、どうだろ……正直食べられるかわからないです。食べてみたい気持ちはあるんだけど、実物を目の前で見たらやっぱり抵抗あるかもって気もするし。チャレンジはしてみたい。
ホモサピ:じゃあ最初は導入として、昆虫じゃないけど“ちょっと変わったもの”あたりがいいかもしれないです。“ちょっと変わったもの”を食べてみて「意外に美味い」ってなったら、その後は昆虫もイケると思うんですよね。おすすめは……なんだろう……カメノテとかウツボとか。
成瀬:あ、カメノテはすでに食べたことあります。美味しかったです。奇妙な見た目ではあるけど、見た目を気にせずに口に放り込めば味のほうは普通に食材って感じだったかな。それに見た目も僕は気にならなかったかも。殻をむいて身が出てきたら「美味しそう」って思った。
ホモサピ:お、なるほど。それならカメノテじゃなくて本物のカメの手はどうですか? あれはスープにすると美味いんです。
成瀬:カメはちょっと食べてみたい。
ホモサピ:ちなみにカメは美味しいだけじゃなくて、顔がかわいい。あいつのかわいい顔を見ると食べられなくなっちゃうんだよね。めっちゃ腹減ってないと無理。
成瀬:めっちゃ腹減ってたら食べるんだ(笑)。
■セアカゴケグモが美味い季節になったらお誘いします
ホモサピ:カメノテが食べられるなら、ウツボもイケると思いますよ。ウツボは結局のところ魚だから。海洋生物とか水辺にいる生き物は抵抗なく食べられる気がする。
成瀬:まあ、虫に比べたらウツボは食べやすいかも。ホモサピくんはウツボだろうとミルワームだろうと抵抗なく食べてるけど。
ホモサピ:ミルワームはザ・イモムシみたいな見た目だから難易度高いかもしれない。虫食べるならクモはどうですか?
成瀬:クモかぁ。どうなんだろうなぁ……イケる気がするなぁ……クモ。カニだと思えば抵抗ないかもなぁ……。
ホモサピ:マジっすか。ちなみに、クモはYouTubeに動画あげるとなぜか年齢制限つきやすいんですよね。成瀬さんもクモを食べる動画あげる時は気をつけてください。でも、なんで年齢制限付きやすいのかな。気持ち悪いんですかね。
成瀬:でも、クモの生食はちょっと怖いかも。食べるならちゃんと揚げたやつね。
ホモサピ:揚げると本当に美味しいですから。つい一昨日もね、セアカゴケグモ獲ってきたんですけどね。美味しかったです。
成瀬:ホモサピくん、動画でも美味しそうに食べてたからなぁ。あれ見ると「美味しいのかも」って思っちゃうんだよね。
ホモサピ:揚げて美味いのはセアカゴケグモとジョロウグモ。美味い季節になったら今度食べに行きましょうね。
■子どもたちが生き物と触れあえる施設を作りたい
成瀬:生き物に愛を注いでるホモサピくんとしては、将来は自分の動物園みたいなものをやってみようか、って思ったりします?
ホモサピ:動物園じゃないかもしれないけど、子ども向けの施設みたいなものを作りたいなっていう気持ちはあります。
成瀬:エッセイにも書いてたもんね。
ホモサピ:子どもたちが楽しみながら生き物と触れあえるような、そういう施設。今はまだ、ぼんやりとした将来像ですけど。
成瀬:生き物を集めたカフェとかもありそうだけど。
ホモサピ:カフェはやらないかもなぁ。あ、でもあれやりたい。ザリガニ料理の店。でっかいザリガニの看板を出して。ザリガニは普通に美味いやつもちゃんとあるから、みんなにも食べてほしいんですよね。
成瀬:ザリガニ、僕も食べてみたい。
ホモサピ:ザリガニ、美味しいですよ、マジで。そうだ、一緒にザリガニ獲りに行きましょう。
成瀬:いやー食べてみてぇ…! しっかり熱を通さないといけないんだよね、あれは。ホモサピくんの動画見てるからわかる。ちなみにウチダザリガニとアメリカザリガニだったら、完全にウチダ?
ホモサピ:もう間違いなく、ウチダのほうが美味いです。
成瀬:そういう食べ比べもしてみたいな。どんなふうに味が違うのか知りたいもん。
ホモサピ:ウチダザリガニ、食べたことないっすか。
成瀬:普通は食べないから(笑)。
ホモサピ:そっか……アメザリは?
成瀬:たいていの人はどっちも食べたことないってば(笑)。
――ちなみにですが、ウチダザリガニとアメリカザリガニ、味はどう違うんですか?
ホモサピ:ザリガニって基本はエビの味なんです。その中でもウチダザリガニは別格。オマールエビより美味い(断言)。 エビのブリブリした食感がありつつもカニの風味もめちゃくちゃ感じる、そういう味です。
成瀬:カニに近いって聞くとなおさら美味しそう。でも、ウチダザリガニって野生で見たことないな。
ホモサピ:確かに、関東圏だとあんまりいないんですよね。もう少し北寄りだと思います。ザリガニは暖かい時期がいいんで、その季節になったら一緒にザリガニ獲り、お誘いしますね。
成瀬:ぜひお願いします!
■エッセイを読んで感じた安心感「これって僕だけじゃないんだ」
――お話を聞いていると、おふたりとも子どもの頃から生き物が好きだったんだなっていうのがすごく伝わってきます。
成瀬:今回、ホモサピくんと生き物について語り合えて本当に楽しいですよ。周りに生き物好きの子があんまりいなかったから、こんなふうにマニアックな話題で語り合うのは初めてかも知れない。
ホモサピ:確かに、生き物がめちゃくちゃ好きっていう子は、小学校に1人か2人っていうイメージですもんね。
成瀬:それに、エッセイを読んでいるときにも思ったんだけど、ホモサピくんと僕って似てる部分があるというか、共通点がけっこうあるなって感じていて。ちなみに僕、ラグビー部だったんですよ。
ホモサピ:え、僕もラグビー部!
成瀬:それだけじゃなくて、小学校の時に生き物係やってたのも同じだし、生き物を夢中で集めて帰ると親から「またそんなことやって!」って言われてたのも同じ。
ホモサピ:生き物好きはみんな同じかも知れないですね。外で生き物を見つけると持って帰りたくなっちゃうし、飼いたくなっちゃう。大人たちにいろいろ言われるのはわかってるけどやっちゃうんですよね。
成瀬:そうそう。だから、ホモサピくんのエッセイを読んで「あ、これって僕だけじゃないんだな。みんな通る道だったんだな」って、僕はある意味安心したんですよね。子どもの頃にこういう本を読みたかったし、子どもの頃にホモサピくんみたいな子と友だちになりたかった。そんなふうに思います。
ホモサピ:このエッセイを子どもたちがおもしろがって読んでくれているみたいで、それは僕もうれしいんです。
成瀬:子ども時代って、ちょっとしたきっかけで視野が大きく広がる可能性があると思うんですよ。この本、小中学校の図書館に置いてほしいな。
◆ホモサピ
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@homosapi
Twitter:https://twitter.com/hommsapi
◆成瀬鳴
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@NaruseNaru
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