何かに夢中になり、まっすぐ前を向く瞳は美しい『ブレス』/斉藤朱夏のしゅか漫画⑫
公開日:2022/12/17
![斉藤朱夏_1](https://develop.ddnavi.com/uploads/2022/12/unnamed-2.jpg)
「天才なんかじゃないし、才能もないし」(斉藤朱夏1stアルバム曲「ワンピース」より)
このフレーズを歌い続け、自分の軸にずっとある言葉。
そんな私には、この作品は刺さりに刺さりまくった。
今回紹介するのは、『ブレス』(園山ゆきの/講談社)。
元モデルの宇田川アイアは、メイクアップアーティストになる夢を持っていたが、
周りから否定されることを恐れ、夢を諦めていた。
学園祭でモデルに選ばれるアイア。
実行委員でスタイリスト役に選ばれた、大人しい女の子・炭崎純と学園祭コンテストに出るところから物語は始まる。
夢を諦めていたアイアの過去には自分と通ずるものがあった。
自分がこうなりたいと言葉にしてみたら、否定されたり、
まるで必要とされていないような言葉を浴びせられる。
その瞬間に自分って何者なんだろうと思う。
きっと否定した人にとっては軽い気持ちの言葉でも
言われた本人は深い傷を負って、
その後もずっとその言葉が後ろからついてくるようになる。
気づいた時には狭い道を歩いている自分がいる。
周りから求められる自分らしく歩けない道へ。
人生は一度きり。
だけど現実問題、なりたい自分になるのも程遠い一本の道が待っている。
何を選ぶかは結局自分次第かもしれないけど、
諦めない心を持っていたらいつかは誰かが見てくれる。
そこからがまたスタートライン。
足掻いて失敗を繰り返して悲しみや寂しさを知っている人間は強いと思う。
アイアと炭崎がお互い刺激しあって、どんどん前に進む姿が素敵で
自然とふたりを応援している自分がいた。
何かに夢中になって真っ直ぐ前を向く瞳は美しい。
この作品を読んでいて学生時代のことを思い出していた。
自分が学生だった時は夢に対してどのくらいの熱量だったのか、
そんなスタートラインにいた自分だからこそ
初心の気持ちを改めて思い出させてもらえた。
目の前に壁があり続けると一点しか見ることができなくて
今自分がどこにいるのか分からなくなる。
そんな時は視野を広げてもっと広い空間で、自分と、
そして仲間のことを見る。
そこでやっと一人では道を歩けないことに気づく。
人と人のつながりで人生を走っていることに。
この先アイアと炭崎がどう走っていくのか楽しみで仕方ない。
ふたりがなりたい自分へとなれる日が来ることを願ってこれからも見守っていきたい。
初心を思い出したい方
メイクに興味がある方
熱い気持ちになりたい方
そんなあなたにおすすめしたい一冊です。
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