『ひぐらしのなく頃に』新作は大正時代が描かれる! 園崎天皇こと「お魎」の少女時代が明らかに

マンガ

公開日:2022/12/21

ひぐらしのなく頃に 鬼
ひぐらしのなく頃に 鬼』(竜騎士07:原作、旭:原案・漫画/双葉社)

時をループさせながらさまざまな人物の視点で物語を織りなす『ひぐらしのなく頃に』。出題編と呼ばれる謎めいた4編、それぞれの謎が解き明かされる解答編と呼ばれる4編を中心として、これまで番外編やアニメオリジナルが展開し、始まりから約20年の月日が経ってもその人気は衰えることがない。 そして今年、新シリーズ『ひぐらしのなく頃に 鬼』(竜騎士07:原作、旭:原案・漫画/双葉社)の連載がスタートした。

本編『ひぐらしのなく頃に』は村落・雛見沢での祟りが物語の軸となる。今回の『ひぐらしのなく頃に 鬼』では本編よりだいぶ前の大正時代から戦前戦中の昭和の時代を舞台に、雛見沢で圧倒的な影響力を持つ園崎お魎の少女時代が描かれる。

お魎の幼少期の名前は「お両」だった。お両がいつも遊んでいるのは古手葎花、公由清治、そして折口宗平である。この4人が入ってはいけないと言われている祭具殿に入ったことから思わぬ悲劇が起き、兄を失ったお両は跡継ぎになる必要が生じて「お魎」と名を改める。

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本編のシリーズではお魎と宗平しか名前が出てこないのに、本作で初めて葎花と清治の名前が出てくることに注目したい。ただ葎花の名字・古手は、本編のシリーズとも関連性があり、本編の重要人物の祖先なのではと思わせる。

現時点では、公由清治は本作でどのような役割を果たし、なぜ数十年後の本編に名前すら登場しないのかがまったくわからず謎めいている。ヒントがあるとすれば村長と公由喜一郎と名字が同じで、清治が「母の本家」という言葉を発するシーンもあることくらいだ。4人の中でも特に辛い立場に置かれる清治は後に名前を抹消されるほどの悲しい運命を辿った人物なのだろうか。読者にそう思わせる伏線は、清治の母・千代子である。彼女は元遊女で村の男たちから言い寄られるほどの美女なのだが、ある事件をきっかけとして姿を消す。本作でキーポイントとなる存在だろう。

単行本1巻の見どころは後半にある。4人が祭具殿に入り事件が起きてから15年後、村を出ていた宗平が雛見沢に帰ってきて、成長した4人が再会するのだが、何か様子がおかしい。唯一、本編との関連性がまだわからない清治がじょじょに狂気を帯びていく姿は不穏な未来を感じさせる。いったい彼は『ひぐらしのなく頃に 鬼』でどのような役割を果たして、昭和58年の本編での出来事に影響するのか一切不明である。

一方、時代の波も容赦なく4人に押し寄せる。宗平が雛見沢に戻ったのは昭和13年、日中戦争が始まったのは昭和12年だ。時を経ずして、4人に戦争の足音が忍び寄ることとなる。本編シリーズの時代と、そこから数十年前の過去がリンクする……その様子をぜひ楽しんでほしい。

文=若林理央