ついに連ドラ化! 来春放送のキムタク主演&月9ドラマ『教場』原作の魅力に迫る

文芸・カルチャー

公開日:2022/12/18

教場
教場』(長岡弘樹/小学館)

 2021年と2022年のお正月にスペシャルドラマとして放送された『教場』。小説家・長岡弘樹さんの「教場」(小学館)シリーズが原作で、警察学校を舞台にした物語です。隻眼白髪の主人公・風間公親を木村拓哉さんが演じたことを覚えている方も多いのではないでしょうか? そんなドラマ『教場』、来年・2023年はお正月ではなく4月からの連続ドラマ、しかも月9枠で放送されることが発表されました。そこで本稿では、原作である小説の「教場」シリーズの魅力をお伝えしたいと思います。

 まず「教場」シリーズ一番の特徴は、主人公・風間公親にあると言えます。警察学校の教官である風間は隻眼白髪という特徴的なビジュアルだけでなく、まるで警察学校で起きていることはすべてお見通しとでもいうような観察眼と推理力を持つ人物。生徒にすぐ退校を突き付ける一方で、本人からの退校の申し出を却下したり、何を考えているのかわからない風間に学生たちは翻弄され、時に追い詰められていきます。

 小説の「教場」シリーズは、風間が警察学校の教官である時と、県警の刑事である時、ふたつのシチュエーションがあります。第一作『教場』と第二作『教場2』は、警察学校が舞台。風間ではなく、風間のクラスの生徒側の視点、それも章ごとに違う生徒の視点という、群像劇の形で物語は進行します。強い理由を持って警察官を志望した生徒たちの中には、その理由のせいで問題を抱える人も。彼らにとって、風間は怯えや警戒の対象になります。しかし、彼らを救うのもまた風間教官。風間は生徒たちの微細な発言や挙動で事態を察知し、時に荒療治ながらも彼らを救います。それぞれの印象で語られる風間の姿はミステリアスで、それが物語全体の緊張感を生み出します。どちらもページをめくる手が止められなくなる一冊です。

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 三作目であり、今回のドラマの原作ともなる『教場0』での風間は、県警本部捜査一課強行犯係に所属。そこでは各署に所属する新米刑事の中から一名が選ばれ、定期的に風間のもとに送られる「風間道場」と呼ばれる刑事育成システムが存在し、マンツーマン指導が行われます。章ごとにひとつの殺人事件の発生、解決までを描くスピーディーな展開。バディとなる新米刑事も毎回変わり、犯行のシーンは犯人目線、捜査のシーンは新米刑事の視点で描かれます。刑事と風間との関係は、警察学校編と同じく緊張感がありつつもあたたかいもの。読者は最初から犯人を知っているので、その犯人に風間がどうたどり着くのかを楽しむ、ドラマ『古畑任三郎』のような楽しみ方もできる一冊です。

 最新巻である『風間教場』では、警察学校に戻った風間が、「退校者ゼロ」という難題を新米校長から突き付けられます。シリーズ初の長編、そして初の風間視点というのもあり、これまでとはまた違う風間の魅力を感じられる一冊。ぜひシリーズを通して読んでみてください。

文=原智香