「読み終わった後、無性に掃除がしたくなる」大掃除に役立つ情報も満載!? 読むと掃除したくなる“片づけ小説”が文庫化!

文芸・カルチャー

公開日:2022/12/31

片をつける
片をつける』(越智月子/ポプラ社)

 小説家・越智月子氏の話題作『片をつける』(ポプラ社)がついに文庫化。2023年1月4日(水)に発売されることに。内容の面白さもさることながら、掃除や片づけの仕方までも教えてくれる“片づけ小説”を、この機会にぜひチェックしてみてほしい。

『きょうの私は、どうかしている』『恐ろしくきれいな爆弾』など幅広いジャンルの作品を手掛けてきた越智氏。政治をテーマにしたダーティな作風で大きな話題を呼んだ『恐ろしくきれいな爆弾』とは一転、今回の『片をつける』は“人生”がテーマのあたたかい作風となっている。

 2021年3月17日に単行本が発売されると、こちらも瞬く間に読者の間で話題となり、ネット上には「一気に読んでしまいました」「読み終わった後、無性に掃除がしたくなる」「読み終わりの爽やかさがすごく良い!」「片づけと再生の話だった…」「二人の関係性がよかったです」といった感想が続出していた。

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 同作の主人公は、独身の阿紗。隣に住む謎の老婆・八重を助けたことがきっかけで、阿紗は彼女の終活を手伝うことに。阿紗は過去に生活雑貨店で働いていた経験から得た掃除のテクニックを、八重に教えながら片づけを始める。片づけを進めるうち、徐々に八重の隠された過去が明らかになっていくが、同時に阿紗もまた、母子家庭に生まれ母親によって荒れ果てた部屋に閉じ込められていた幼少期の記憶が蘇るのだった――。

 本当に自分に必要なもの、いらないもの、欲しかったもの、嫌だったものなど、あらゆる思い出や物と向き合っていく同作は、まさに“片づけ小説”と呼ぶにふさわしい。

 さらに、終活をテーマにしつつ実用的な掃除・片づけ方法が紹介されているのも魅力的。「部屋の片づけであり終活であり、心のモヤモヤを払うお話だった。掃除や整理整頓の豆知識もあり、大掃除の今読むと気合が入る。片づけなきゃいけないのは物だけじゃないのよね」「出てくるテクニックに感心して、片づけをしようかなという気になりました」などなど、自身の人生を考えるきっかけになったという人もいるようだ。

 日常生活の中でつきまとう片づけ問題と、いずれ誰もが向き合わねばならない終活の問題…。難しい話にも思えるが、きっと誰にとっても身近なテーマであるはず。小説『片をつける』を読んで、掃除をした時に味わえるような爽快感を堪能してみてほしい。