「第15回MOE絵本屋さん大賞2022」が決定! 第1位は、子どもも、“元子ども”の大人も楽しめる1冊
公開日:2022/12/29
全国3000人の絵本専門店・書店の児童書売場担当者によるアンケートで選ばれた、 2022年におすすめしたい絵本30冊を紹介する「MOE絵本屋さん大賞」(主催:白泉社/協力:朝日新聞東京本社メディアビジネス局)が、2022年12月28日、月刊『MOE』2023年2月号(白泉社)誌上で発表されました。本の目利きである絵本専門店・書店の児童書売場担当者による絵本ランキングは信頼度バツグン。そして2022年の映えあるベスト1は、鈴木のりたけさんの『大ピンチずかん』(小学館)が獲得! ダ・ヴィンチWebでも、著者の鈴木のりたけさんの喜びの声と共に、ベスト10の結果をお届けします。
(取材・文=荒井理恵)
第1位 『大ピンチずかん』(鈴木のりたけ/小学館)
牛乳をこぼした! シャンプーが目に入った! 犬のうんちをふんだ! …この世の中には子どもたちの大ピンチがいっぱい。本書はそんな子どもが出会いがちなさまざまな大ピンチを「大ピンチレベル」の大きさと、5段階の「なりやすさ」で分類し、対処法や似ている大ピンチなどを教えてくれるユーモアあふれる画期的な図鑑ともいえる1冊。この本があれば、もう大ピンチもこわくない!?
〈鈴木のりたけさん受賞の声〉
僕が「面白い」と思って作っている本を、書店員さんが同じテンションで喜んでくれたのが、気持ちが通じ合った気がして報われたというか、晴れ晴れとしています。時代が変わっても子ども時代のピンチってあんまり変わってなくて、「ああ、こういうことあるよね」って親世代も共感できるんですよね。ぜひこの本を真ん中にして、大ピンチについてお子さんと話してほしいですね。
それで「電車に乗り遅れた!」とか親御さんの大ピンチも話してもらえたら、子どもたちも面白がると思います。もちろん大ピンチといっても人によってレベルは違いますが、この本ではあえて「世界標準の指標です」みたいに言い切っています。そこが面白さでもあるし、こうやって基準を出すことで大ピンチを「客観視」できるようにもなったらいいな、と。
僕には3人子どもがいて、実はこの本は小2(当時)の次男が牛乳をそそぐのを見ていて「大変そうだな」と思ったことから生まれたんです。そんなふうに絵本のアイディアは子どもと接する中から出てきたりしますが、子どもたちって「こういうことが面白い」って頭で考えるんじゃなくて、テンションとか熱とかで面白がったりするんですよね。そういうのはリサーチしてもなかなかわからないことなので、子どもたちに日々影響を受けつつ、それに負けないように自分ももっと身の回りの足元にあるものを拾い上げて面白がろうと思っています。
もともといろいろなことに興味があるタイプなので、これからも自分が面白いと思ったことを楽しく伝えていきたいですね。
第2位 『かみはこんなに くちゃくちゃだけど』(ヨシタケシンスケ/白泉社)
歌手になりたいと願う女の子、自分が何に向いているかわかったおじいちゃん、朝顔の花が咲いたのを発見した女の子…「理想の状態」ではないけれど、それでも前向きに生きる人や自分なりの幸せを見つけた人たちが、きっとあなたの背中を押してくれる。日常の小さな幸せにあらためて気づかせてくれる1冊。
第3位 『さかなくん』(しおたにまみこ/偕成社)
ゴムのズボンをはいて、水でいっぱいのヘルメットをかぶって、ひれにはクリームを塗って…毎日、一仕事でも大好きな小学校へ通う「さかなくん」。私たちと同じ普通の毎日のようだけどやっぱりどこか違う、「さかなくん」の暮らす世界が魅力的に描かれている。
第4位 『くみたて』(田中達也/福音館書店)
分解された日用品をミニチュアの作業員たちがせっせと組み立てると、さて何ができる? どう使う? 海外でも大人気のミニチュア写真家・見立て作家の田中達也氏が初めて手がけた写真絵本は、身近なものが別のものに見えてくる驚きと面白さがいっぱい!
第5位 『ねこいる!』(たなかひかる/ポプラ社)
バゲットやリコーダーなどの思わぬところから、ただ、ただ、ねこが現れる絵本。シンプルな展開と言葉の繰り返しが、子どもたちの笑いのツボを刺激すること間違いなし。
第6位 『ノラネコぐんだん ラーメンやさん』(工藤ノリコ/白泉社)
ラーメン屋をのぞいてラーメンの作り方を覚えたノラネコぐんだん。お腹をすかせたさるたちがお悩みとともにやってきて!? 大スケールの冒険が楽しい人気シリーズ第9弾。
第7位 『ぼく』(谷川俊太郎:作、合田里美:絵/岩崎書店)
「ぼくはしんだ じぶんでしんだ」90歳を迎える詩人・谷川俊太郎氏が「自死」を想い、言葉をつむいだ絵本。新進気鋭のイラストレーター・合田里美氏が美しい日常風景で彩る。
第8位 『ドーナツペンタくん』(柴田ケイコ/白泉社)
ペンギンのペンタくんは移動販売のドーナツ屋さん。あげたてのドーナツが人気でお店は大繫盛! だけど、ペンタくんにはみんなには言えない秘密があって……。
第9位 『ひよこは にげます』(五味太郎/福音館書店)
「ひよこが にげます」「みんなで にげます」――おうちから元気に逃げ出したひよこたちは、好奇心いっぱいに転がるように駆けていく。リズムと疾走感が心地よいシンプル絵本。
第10位 『バスが来ましたよ』(由美村嬉々:文、松本春野:絵/アリス館)
全盲になった男性が、「バスが来ましたよ」という小学生の声に助けられながら続けたバス通勤。その声は次々と受け継がれ…。小さな親切がリレーする心あたたまる物語。
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