「『ONE PIECE』からチームマネジメントを学んだ」黄皓さんの原点は少年マンガ! 恋愛がきっかけで「心理学が好き」になった諒子さん【私の愛読書】
更新日:2023/1/20
さまざまな分野で活躍する著名人にお気に入りの本を紹介してもらうインタビュー連載「私の愛読書」。今回ご登場いただくのは、恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』シーズン4(Prime Videoで配信中)でカップルとなった、4代目バチェラーで実業家の黄皓(こうこう)さんとモデルでパーソナルトレーナーの秋倉諒子さん。
中国出身の黄さんが両親と来日したのは、中学生の時。今や中国人であることを忘れるほど日本語はネイティブで多くのスタッフを率いる経営者だが、来日当初は日本語がわからないことで嫌がらせを受けるなど苦労もあったという。そんな日々の支えになったのが少年漫画だ。
一方の諒子さんは、パーソナルトレーナーとして自身の会社を持ちながら、番組出演をきっかけにモデルなどの芸能活動をますます幅広くこなす日々。より多くの人と接するようになったことで、「深くて学びになる」と心理学の本を多く読むようになったという。
「文字だけは苦手」という黄さんと「文字好き」という諒子さん。対照的な二人が、時にお互いをフォローしたり、逆にツッコんだりと仲睦まじい様子で語ってくれました。
(取材・文=松山ようこ 撮影=後藤利江)
「人としての道徳心が培われる」「チームマネジメント」の学びがあるジャンプ漫画
――愛読書について教えてください。漫画でも本でもジャンルや年代は問いません。
黄さん 僕はね、やっぱり少年漫画なんですよ。日本に来た時からずっと漫画を読んで育ったので。でも最初はアニメです。当初、僕の言語能力では難しかった漫画が、アニメだと聴覚情報、抑揚とかも含めて、音の情報があるので。日本語の勉強だけでなく、人の感情を読み取るのにもすごく適してたんです。
――具体的にはどんな作品がありますか?
黄さん 最初は『SLAM DUNK』(井上雄彦)や『ドラゴンボール』(鳥山明)などですが、『週刊少年ジャンプ(以下、『ジャンプ』)』の作品が好きで、最近で言えば『ONE PIECE』(尾田栄一郎)や『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平)も読んでいます。
――どんなところが、それらの漫画の魅力でしょうか?
黄さん 往年の『ジャンプ』作品には「友情」「努力」「勝利」という、大きなテーマがありますが、これらの漫画を読んでいたら、僕は人間としての道徳心が十分に培われると考えているんです。「人を大事にしよう」「努力をちゃんとしよう」「勝った時の喜びを共有できる」というのもそうだし、時には報われないかもしれないけど、何か得るものがあると思うんです。
――なかでも得るものが大きかった作品と理由を教えてください。
黄さん 『ONE PIECE』ですね。僕はワンピース信者ではないんですけど、ここから「友情」「努力」「勝利」に加えて、「チームマネジメント」を学ぶことができました。主人公ルフィのマネジメントは、仲間を対等として一人ひとりが力を発揮しながら前に行くタイプですが、大海賊“白ひげ”は「トップダウン」で求心力を持って進んでいく。現実社会でもチームを率いていくのに、『ONE PIECE』から学べることがたくさんあります。
『バチェラー・ジャパン』シーズン4でも役に立ちました。あの旅のなかで、僕はまさに船頭でしたから。女性17人と一対一でお話しする場面がありましたが、同じ船に乗ってくれたこのクルーたちに、船頭としてどんな夢を見せるべきなのか、何で悩んでいるのか、何ができるのかみたいなことを絶えず考えていました。どんな時もバイブルになり得るんです。
――発想や語彙が豊かなので、ビジネス書もたくさん読んでいそうです。
黄さん いや実は…本はあまり読めないんです。文字だけというのは、なぜか寝るための魔術になってしまって…。語彙も、話したり聞いたりするなかで培ってきたのかもしれません。ビジネスでも知りたいことがあったら、僕はそのことを知る経営者にコンタクトして、直接聞きに行くようにしてきたので。やっぱり会話のほうが、インプットもアウトプットもできる気がしているんです。
でも諒子は逆に、文字を読むのが得意だし、話しながら書き留めてるもんね?
諒子さん うん。
「偉人の言葉を読むのが好き」「愛することは技術である」恋愛や仕事に活きる心理学
――では、ぜひ諒子さんの愛読書についても教えてください。
諒子さん はい。私は文字で読んだり、メモに書いたり。SNSでも偉人の言葉を読んだりするのが、すごく好きなんです。
『バチェラー・ジャパン』シーズン4の旅から帰ってきてからは、心理学の本をよく読むようになりました。『嫌われる勇気』で知られるアドラーの『1分間アドラー 人間関係の悩みをゼロにする77の原則』でも、いろんな語録を読んでは、ああなるほどな、本当にそうだなってかみしめてます。
あとは、『愛するということ』(エーリッヒ・フロム)という本です。これは「愛は技術である」って謳っているんですけど、技術として自分で努力して磨いていくという意味なんですね。すごく深いなと勉強になっています。
――番組をきっかけに恋愛や対人のコミュニケーションについて、興味がより深まったからなのでしょうか?
諒子さん そうですね。やっぱり恋愛についてが最初だったんですけど、好きな人と長く一緒にいたいって思った時、何も考えないで行動してしまうと、今までのように別れてしまったり、つらい思いをしたりするのかなと思っていて。読んでいても、あの時はああだからそうだったのかっていう気づきがあるんです。
心理学でいろいろと学んだうえで相手と接することができたら、やっぱり違うのかなと。パーソナルトレーナーの仕事にも活かされている実感があるんですよ。お客さまに気持ちよくトレーニングしてもらえるよう活用しています。
――ちなみに、どういったところが良くなかったり、気づきになったりしたのでしょうか?
諒子さん 昔に付き合っていた人に尽くしすぎていたことです。私は尽くすことで愛を返してもらえると信じていたんですけど、それは相手が欲していた愛ではなかったんですよ。そうやって自分が一方的に尽くしていたから、疲れてしまって。
心理学でもあったと思うんですけども…。
黄さん 「返報性の原理」だね。好意を持って行動すると、相手も同じぐらい返したくなることがあるっていう。
諒子さん そうそう! でも当時の彼の場合、それは求めていた愛ではなかったみたいで…。お互いの愛のかたちが合致するものを探っていかなければならなかったんです。
――黄さんの場合、むしろ尽くされたら何倍にもして尽くしたいというタイプだと仰ってました。
黄さん そうなんですよ。僕なんかは尽くしてくれたら、もっと返したくなっちゃう。なのに、諒子はまだ昔の彼のことを引きずってるのか、僕にはそこまで尽くしてくれないんですよ(笑)。
この後、「それは違うよ」という諒子さんと黄さんとで議論が勃発(!)。でもすぐに、何だかんだと言いながらお互いの良いところを常にフォローし合う仲睦まじい様子が伝わってきました。こうして本気で言い合えるコミュニケーション方法もまた、これらの愛読書から学んでいるのかもしれません。