今使っている「枕」は本当に合っている? パフォーマンス維持に欠かせない良質な「睡眠」のヒント

暮らし

公開日:2023/1/17

今すぐそのマクラを捨ててください
今すぐそのマクラを捨ててください』(井上剛志/主婦の友インフォス)

 登録者数110万人突破(2023年1月現在)の人気YouTubeチャンネル「美容整体アピアランスTV」を運営、東京・表参道などで3店舗のクリニックも経営する美容整体師・井上剛志さんが著書『今すぐそのマクラを捨ててください』(主婦の友インフォス)を上梓した。

 自身も不眠に悩んだ経験を持つ井上さんは、睡眠に悩む人びとに寄り添ってきた。タイトルからも分かるとおり「枕」の話題を中心に、優しく丁寧な解説を展開する本書からは、睡眠の質を向上させるためのヒントを学べる。

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疲労回復だけではない「睡眠」のさまざまな効果

 健康のためには、内臓の活動などを支える「自律神経」を正常に機能させる必要がある。なかでも大事なのは、人間がリラックスした状態の時、優位に働く「副交感神経」を「最大限に活躍」させることだという。

 自律神経を整えるために、効果的なのが「睡眠」だ。睡眠中は「血圧や心拍数、呼吸数、体温が低下し、代謝も低下」する。この働きにより「疲労回復して次の活動への準備」を整えられるのだ。

 さらに、起きている間に覚えた内容を「整理」して「必要な情報を定着」させる働きや、人間の「疲労回復」に欠かせない「ホルモン」の分泌。食欲をコントロールする「ホルモン」の「増減」を調整するなど、睡眠にはさまざまな効果が期待される。

日頃から使っている「枕」の心地よさをチェック

 良質な睡眠を得るために、欠かせないアイテムが「枕」だ。日頃から「いい枕はないですか?」「どんな枕を使えばいいですか?」とたくさんの悩みを聞く著者は、まず、今使っている枕について以下のチェック方法をすすめる。

①寝たまま、バンザイをするように両腕を頭の上に持っていく
②両腕を肩が上がるぐらいまでグーッと伸ばす
③伸ばした左右の手をパチンと合わせる
④左右の手がピッタリと合っているかどうか確認する

書籍『今すぐそのマクラを捨ててください』(pp.81-82)から引用

 枕には「首」と「肩」を「リラックス」させる役割がある。上記のチェックで「首の下に空洞ができている場合」は、枕が体に合っていない可能性も考えられる。その場合は、「バスタオルをまず2つ折りにし、さらにそれを2つ折りにしてから、上からクルクルと」巻き、バスタオルを「首元に差し込んで」空洞を埋める対策もあるという。

オーダーメイドで作りたい「良い枕」の条件

 よりよい睡眠環境を得るならば、あらかじめ「良い枕」を用意しておくのもひとつの方法。本書では、著者が考案した「良い枕の条件」も、以下のとおり紹介している。

①首の後ろが布団から浮かないよう、空洞を埋める厚みがある
②頭が落ちないよう、寝返りしても余裕のあるサイズ
 ⇒体格によるが、横幅60cmくらいを目安に
③頭が沈み込まないほど良い固さがある
④寝返りで横を向いても肩が巻かないように、ある程度の高さ(10cmくらい)がある
 ⇒横向きで寝た際に背筋と首のラインが床と平行になるようにするのが理想

書籍『今すぐそのマクラを捨ててください』(pp.108-109)から引用

 なお、「枕の素材が柔らかい場合は、少し高めにする」のもおすすめで、「あおむけで腕を交差させて両肩に手を置いてみて、そのまま左右にストレスなく自然に寝返りが打てる枕が良い」という。昨今はオーダーメイドで枕を作れる専門店もあるが、足を運ぶ際にはぜひ参考にしてほしい。

悩みに応えるべく著者みずからが作った「理想の枕」

 本書のタイトルで「マクラを捨ててください」と主張する著者は、執筆にあたり「『捨てなさい』とまで言い切ってしまうなら、捨てさせた後もフォローするべきなのでは?」と、周囲からアドバイスを受けたそう。その意見を聞いて、以下の条件を揃える「理想の枕」を作ってしまったのは、驚きのエピソードだ。

★首をリラックスさせて頭部から首をリラックスさせる
★肩の高さに合わせて、硬くて高い枕が必要
★1日8~20回も寝返りするすべての人が寝返りをしやすい機能を
★横向きに寝たときに巻き肩にならないような構造
★起床時もしっかり枕が動かず、頭も枕に残っていること

書籍『今すぐそのマクラを捨ててください』(p.142)から引用

 自身のもとを訪れる人たちの「寝返りしやすい枕がほしい」「体に負担をかけず眠りたい」「首もリラックスしたいし、頭も包み込まれたい」といった声に応えるべく、周囲の協力もあおぎながら実現に向けて奮闘した。

 この「理想の枕」の発表を控える今、「世界中のどこを探しても、これだけの機能性が高い、理想の枕はないと自画自賛できるほどのものになりました」と手応えをみせる著者は、自信をのぞかせながら「あなたのその枕、捨ててください!」と強く主張する。

 本書ではこの他にも「質の良い眠りのためのルーティーン」など、書籍を手に取った日から実践したくなる、睡眠の質を向上させるための方法がたくさん収録されている。日々のパフォーマンスを維持するために欠かせない睡眠を、いま一度、見つめ直してみよう。

文=カネコシュウヘイ