11歳上の彼に猛アプローチされ結婚! 幸せな新婚生活のはずが、待ち受けていたのは地獄の嫁姑戦争だった――
公開日:2023/2/3
結婚生活は互いの身内も関わってくる分、予想外の方向に舵が切られてしまうことがある。義父と義母との関係に苦しみ、幸せだったはずの暮らしが涙色に染まってしまった……という人は少なくないのではないだろうか。
『義母クエスト ~結婚したらいきなりラスボス戦でした~』(赤星たみこ:著、かづ:企画・原案/KADOKAWA)は、そんな人の共感を呼ぶ、38年間にわたる嫁姑闘争の回顧録である。
本作はAmeba公式トップブロガーのかづ氏が原案を担当した実話漫画。ウェブメディア「毎日が発見ネット」で配信された際には累計2200万PVを獲得するほど、大きな注目を浴びた。
猛アプローチの末に11歳上の彼と結婚! だが待っていたのは義母の嫁イビリ
看護師を目指していたかづは、実習先の病院で11歳上の結城明彦から猛アプローチを受けて交際。自身の両親への紹介を済ませ結婚前提の仲になるも、明彦の母はふたりの結婚に大反対。
かづの両親が挨拶に赴いても、「結婚をするなら息子とは縁を切る」と冷たい言葉を向けてきた。
そんな義母の態度を受け、かづの父も結婚に反対するように。しかし、互いの両親から結婚を認めてもらえないという悲劇的な展開が、恋の炎を燃え上がらせた。
そこで、明彦は親との縁を切る決心をし、かづは妊娠を提案。一緒になることを諦められなかったふたりは半ば強引な手段で新婚生活をスタートさせた。
すると結婚後、義母からの嫁イビリが始まる。最初は自宅への執拗な電話。息子と縁を切ったはずなのに、義母は「嫁になったからには、私の言いなりになれ」と理不尽な要求をしてきたのだ。
義母からの電話“口撃”は毎日続き、冷蔵庫の中身や献立の内容を言わされるなど、どんどん激しくなっていく。
明彦に相談するも親身になってくれず、かづはショックを受ける。
「この人たちは、どこかおかしい…」。そう思うようになったが、かづはお腹の中にいる我が子のためにも、自分を励まし、義母との闘いを乗り越えようとした。
ところが出産後に待ち受けていたのはさらなる地獄。なんと明彦の提案によって義母宅の近くにある市営住宅への引っ越しが決定してしまったのだ。
さらに明彦が新居の鍵を義母にも渡したため、かづは突然やってきた義母に嫌味を言われたり、カーテンを切り刻んで捨てられたりするなどの嫌がらせも受ける……。
義母の嫁イビリは、日を増すごとにエスカレート。それでも明彦は味方になってくれなかったため、かづは自身を鼓舞しながら、義母というラスボスへの立ち向かい方を考え始める――。
本作はドロドロな話であるものの、合間に挟まれるバトル漫画のような描写のおかげで重苦しくなっていない。
こうした工夫があるからこそ、現在、似たような暮らしの中でもがいている人もクスっとでき、「私にできることは何だろう」と、目の前の状況に前向きに立ち向かう勇気を貰えるのではないだろうか。
どれだけ愛しいパートナーであっても、その家族まで愛せるとは限らない。だからこそ、想像以上に苦しい結婚生活となってしまった時に頼れて元気をくれるお守りに、そして未婚の方や新婚夫婦にも、今後のもしものために本書を役立ててほしいと思う。
果たしてかづは、強敵すぎるラスボスに打ち勝ち、平和な世界(日常)を手に入れることができるだろうか!?
文=古川諭香