ブラック企業で働いていた男が大人の心を持ったまま赤ちゃんに転生! 育児の知識も学べるコミック『赤ちゃんに転生した話』

マンガ

公開日:2023/2/21

赤ちゃんに転生した話
赤ちゃんに転生した話』(茶々京色/KADOKAWA)

 異世界を舞台に冒険が繰り広げられる転生ものは多くあるが、いまネットを賑わせている茶々京色氏の転生漫画は斬新。なぜなら、ブラック企業で過労死した男性が大人の心を持ったまま、現代社会の赤ちゃんに転生するというオリジナリティ溢れる内容であるからだ。

 そんな『赤ちゃんに転生した話』(茶々京色/KADOKAWA)は茶々氏がTwitterやインスタグラムで公開するやいなや話題に。「毎日が発見ネット」でも配信されるなどホットな一作となっている。

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ブラック企業での労働で過労死した成人男性が“赤ちゃん”に転生したら…?

 医薬情報担当者である撫倉和史はブラック企業での過労がたたり、ある日突然、命を落としてしまった。

 しかし、女神(?)から「若い命を散らした哀れな者よ。転生の機会を授けましょう」と言われ、和史はなんと成人男性の心と記憶を持ったまま、赤ちゃんに生まれ変わる。

赤ちゃんに転生した話

 思いもよらない現実に和史は戸惑いつつも、赤ちゃんであれば寝放題だと歓喜。早速、思う存分睡眠を満喫しようとするが、周囲の大人たちはなかなか寝かせてくれない。

赤ちゃんに転生した話

 さらに、すぐ空腹になったり、感情の抑制ができなかったりと、大人の自分との違いに驚愕。食べて寝るだけで最高だと思っていた赤ちゃんライフだったが、現実は想像以上に不自由で歯がゆいものだった。

赤ちゃんに転生した話

赤ちゃんに転生した話

 それでも、和史は母親の温もりに癒されつつ、意外にせわしない日常を乗り越え、退院。すると、退院当日、衝撃の真実が明らかに。なんと、和史は笑稔(えみ)という女の子に転生しており、しかも義祖母は転生前に理不尽な要求を突き付けていた主任だったのだ。

赤ちゃんに転生した話

 大嫌いな主任に抱っこされるという耐えがたい状況を看護師に救われ、和史は無事退院。大人の心についてきてくれない体に戸惑いつつも、自宅で少しずつ成長していく。

楽しみながら育児の不安を和らげられるお役立ち漫画

「育児に携わるすべての方々へ。抱く不安を減らす一助になりたい」そんな思いでこの漫画は生まれました。

 こんな作者の思いにより、本作は笑えるだけでなく、小児専門医の監修のもと、正しいチャイルドシートの付け方や赤ちゃんに見られがちな謎行動の理由など、育児で役立つ知識も豊富に掲載されている。

「赤ちゃんまめちしき」と題したプチコラムもあるため、夫婦で楽しみながら読むのもおすすめだ。

赤ちゃんに転生した話

 本作を役立てれば、我が子の泣く理由が分からず、育児のストレスに圧し潰される日が減るかもしれない。

 子育て中ではない方も、これまで知らなかった育児の知識や和史の心理描写に触れると、街中で赤ちゃんを見かけた時には優しくしたいと思えるはずだ。

 また、個人的には転生した和史と向き合いながら育児に奮闘する母親の姿に心打たれた。

赤ちゃんに転生した話

赤ちゃんに転生した話

 自分の親も、こんな風に私を愛し、思い、育ててくれたのだろうか。そう思い、目頭が熱くなったのだ。

 我が子や自分の両親を、より愛おしく思える本作。子どもを持つ人だけでなく、持たない人生を歩んでいる人にもぜひ手に取ってほしい。

文=古川諭香