「でも」「だって」はサ行の言葉に変換! 職場にいる「困った人」との上手な向き合い方
公開日:2023/2/2
入社する会社は選べても、職場の同僚や上司は選べない。厄介な仕事仲間は「悪質なクレーマーと同じ」。そう主張するのは、元・警察官で現在は悪質なクレームを処理する専門家として活躍している援川聡氏の著書『攻撃的・メンタル弱すぎ・手柄の横取り・やる気なし・自己中心的な 職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)である。
本書では、職場の「困った人」たちを「グレーな攻撃型」「油断できない被害者型」「自己顕示欲の強い策略型」「伝わらない無気力型」「悪気のない押し付け型」の5つに分類し、現実のシチュエーションに沿った対処法を紹介している。仕事仲間との関係に悩む人たちには、必携の一冊だ。
自分を棚に上げて叱責する相手には「とりあえず、聞きます」程度で受け流す
例えば、「グレーな攻撃型」の人は「水面下で相手を追い詰めるステルス攻撃」を重ねてくる。分かりやすく「大声で怒鳴る、叱責する、物に当たるなど」の攻撃をしてこない。「会社・環境・相手が悪い」「自分は良くするために指摘をしているにすぎない」として、攻撃の自覚すらない人も多く、次第に周囲を「怖くて話しかけられない」と萎縮させてしまうという。
このタイプの人は「表情や言葉に出さないときでも、たいてい怒りの感情」を抱いている。そのため、実際に向き合うときは「何よりもまず、相手をクールダウンさせることが先決」と援川氏はアドバイスしている。
まず「あなたの話をきちんと聞いていますよ」という態度で、相手に寄り添う。黙って聞くだけではなく「失礼しました」「そうですね」など、ほどよく相づちを打つのも必要だ。ただ、相手の言うことすべてに従わなくてもいい。
これは「自分の失敗や指導不足を棚に上げてぐちぐちとこちらを責めたり、重箱の隅をつつくように、小さいことばかりを指摘したりすること」があるためだ。すべて真正面から受け止めていたら、自分の気持ちが沈みかねない。そのため「とりあえず、聞きます」程度の心持ちで、相手の言葉に耳を傾けるのがよいという。
相手を逆なでする「でも」「だって」は「サ行」で始まる言葉に置き換える
「グレーな攻撃型」の人から注意を受けたとき、「でも」「だって」と返すクセがある人たちに著者は「要注意」と釘を刺す。こうした言葉は神経を逆なでするNGワードであり、場合によっては「相手の怒りを増幅させ、さらに面倒な事態」を招く引き金になってしまうからだ。
第一声の「でも」は「(それは違うんじゃないかという)反抗的な態度」という印象、「だって」は「(そんなこと言われても困るという)逃げ腰」の印象、を与えてしまい、相手が「グレーな攻撃型」の場合には「ニュアンスを敏感に感じ取り、過剰に反応」してくる可能性もある。
これを回避するには自身のクセを見直す必要が出てくるが、著者は「でも」や「だって」など頭文字が「ダ行」で始まる言葉を、「サ行」で始まる言葉に置き換える方法をすすめている。
例えば、「でも」は「すみません」に、「だって」を「承知いたしました」に言い換えてみると、相手へ伝わる印象も変わるはずだ。無駄に事を荒立てる必要はない。援川氏は「すぐ逆上する相手に正論をぶつけても仕方ありません。ここはぐっと堪えて、冷静に対応してください」と、職場での人間関係に悩む読者の背中を押す。
本書ではこの他にも、職場の「困った人」に関する事例や対処法が多数掲載されている。今まさに困っている人たちに向けて書かれているが、自分の態度を見直すためにも役立つ本である。
文=カネコシュウヘイ