平野レミが提案、うなぎと野菜を美味しくいただくレシピ「『土用の丑の日』の不思議」/エプロン手帖
更新日:2023/2/20
『エプロン手帖』(平野レミ:著、和田誠・舟橋全二:絵/ポプラ社)は、平野レミさんが、28年前に出した書籍を大幅にリニューアルしたエッセイ集です。51の食材にまつわるエッセイと、レミさん撮影によるお料理の写真、レシピがエッセイとともに楽しめます。料理を盛る器にこだわり、背景に夫の和田誠さんのポスターや自身のブラウスを敷くなど、スタイリングもご自身で手がけたそう。リニューアルした本書から、厳選した8つのエッセイとレシピをご覧ください。
「土用の丑の日」の不思議
土用の丑の日にうなぎを食べると夏負けしなくていいと昔からいわれていて、その日のうなぎ屋さんは満員になる。私は子どものころ「土曜の牛の日」だと思っていたから、どうして土曜日にうなぎを食べるといいんだろう、どうして牛の日なのに牛肉じゃなくてうなぎなんだろう、と不思議に思っていた。
今では「土用の丑の日」と字は知っているけど、その日とうなぎの関係ははっきりとはわからない。いろんな説があるらしいが、平賀源内があるうなぎ屋の宣伝のために考えたという話が有名らしい。私の父が書いたたくさんの本の中に『平賀源内の生涯』というのもあって、その中に源内が看板に「土用の丑の日」と書いたというお話が出てくる。父は「源内がただ漫然と思いついた奇智」と書いているが、とにかく夏の暑い盛りにおいしいうなぎを食べると元気が出る、ということなのでしょう。
うなぎの蒲焼きは日本独特のものだけれど、ヨーロッパでもうなぎを食べる。夫はオランダでうなぎのソテーを食べたそうだし、私はスペインでうなぎの稚魚を食べた。しらすのような稚魚をにんにくと唐辛子とオリーブ油で炒めたもので、あつあつでおいしかった。
うなぎの蒲焼きはスーパーでも売っている。たれつきだからあつあつご飯にのっけてたれをかけて食べれば簡単。でもそれだけで満足しちゃうから、野菜が足らない。そこで私は別の食べ方を考えた。
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